日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 1B-a3
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口頭発表
増粘多糖類がうどんの物性,消化性,構造に与える影響
*長野 隆男
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キーワード: うどん, 物性, 消化性
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抄録

【目的】
 うどんは日本人に古くから親しまれ,人気も高い食品のひとつである。近年,メタボリックシンドロームの問題が社会問題となっている。そこで,おいしく食べられ,血糖値をあげにくいうどんの開発を目的とした。本研究では,増粘多糖類を加えてうどんを作製し,官能検査,力学物性測定,消化性,共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)による観察による評価をおこなった。
【方法】
 小麦粉はホクシン,増粘多糖類はグアーガムを使用して,うどん試料を作製した。官能検査は農林61号(小麦粉の品種)で作製したうどんを標準品とし,農林水産省食品総合研究所による小麦のめん適正評価法に基づいておこなった。力学物性測定は,テクスチャーアナライザー(TA-XT2i,英弘精機)を用い,AACC Method 16-50に基づいておこなった。消化性はアミラーゼを用いて測定した。うどんの観察は,蛍光レーザー走査共焦点顕微鏡システム(デジタルエクリプスC1,ニコン)を使用した。
【結果】
 グアーガムは,小麦粉置換で5%まで加えることができた。官能検査から,グアーガムを加えたうどんの評価は,コントロールよりは劣っていたが,標準品とは同等との評価であった。力学物性測定をおこなったところ,グアーガムを添加したうどんはコントロールと比べて,最大荷重は変わらないが,破断ひずみが低い結果となった。消化性を調べたところ,グアーガムを添加すると,120分後のデンプンの消化率は54%から21%まで低下し,消化されにくくなる結果が得られた。さらに,うどんの構造をCLSMで観察したところ,デンプン粒がより多く観察された。澱粉粒の状態は消化性が低下した理由のひとつであると考えられた。
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© 2007日本調理科学会
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