抄録
【目的】
昆布は昔からカツオ節、シイタケと共に調味料の一つとして利用されており、和食のだしとして欠かせない食材である。昆布は産地、成熟度、部位等により味に相違があり、比較検討が困難であるため、昆布だし汁中の呈味成分についての研究の報告は少ない。本研究では、昆布だしの味に大きく影響する遊離のアミノ酸含量について、国内、中国および韓国産を含め、産地による比較を行った。
【方法】
昆布は、日本産4種(羅臼、日高、利尻、尾札部真昆布)、中国産2種、韓国産1種の合計7種類の食用昆布を用いた。一般的な方法に従いだし汁を抽出し、HPLCを用いて遊離のアミノ酸含量を定量した。また、国内産2種、中国産、韓国産各1種の合計4種類の昆布だしについて、官能検査を実施した。
【結果】
いずれの昆布だしにおいても、グルタミン酸とアスバラギン酸の含量が高かった。うま味に関係が深いグルタミン酸に関しては、日本産の羅臼、日高および中国産の1種で高く、利尻はそれらの約1/8程度の含量であった。ほとんどのアミノ酸に関して、日高では高濃度、利尻では低濃度であり、中国産や韓国産は、その中間の濃度を示す傾向を示した。また、官能検査の総合評価においては、日高が有意に高く、利尻が有意に低く評価された。