日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-4
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口頭発表
カリフォルニア産黒米におけるアントシアニンの分析および炊飯によるアントシアニンへの影響
*比江森 美樹Koh EunmiE. Mitchell Alyson鈴木  麻希子木本  眞順美山下  広美辻 英明
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抄録

【目的】
 黒米に含まれる色素成分のアントシアニンは、抗酸化作用をはじめとする様々な機能を有することが知られている。カリフォルニアはアメリカにおける米の主要な生産地の一つであり、黒米が生産されているが、カリフォルニア産黒米のアントシアニンに関する報告は無い。本研究ではカリフォルニア産黒米(ジャポニカ種)のアントシアニンの分析・定量を行った。さらに、炊飯によるそれらアントシアニンへの影響について検討した。
【方法】
 まず、粉砕した黒米より塩酸含有メタノールにてアントシアニンを抽出した。次いで、フォトダイオードアレイ検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーにより各々のアントシアニンを分離し、標準品とのHPLCにおける溶出パターン、UV-VIS吸収スペクトル、および質量分析の比較から、それらアントシアニンを同定した。さらに、黒米を炊飯器、圧力鍋、ステンレス鍋にて炊飯し、凍結乾燥後、粉砕した試料からアントシアニンを抽出して、個々のアントシアニンをHPLCにて定量した。
【結果】
 総アントシアニン含量は黒米1 gあたり630 μgであった。そのうち、91%を占める主要な成分としてシアニジン-3-グルコシドを、4.7%を占める成分としてペオニジン-3-グルコシドを同定し、その他に4つの成分の存在を明らかにした。また、炊飯によりそれらアントシアニンは未処理の黒米に対して有意に減少し(残存率20~35%)、特に、圧力鍋を用いたもので顕著であった。以上のように、カリフォルニア産黒米に含まれるアントシアニンの組成分析の結果をもとに、炊飯による個々のアントシアニンの量的変動を検討した結果、全てのアントシアニン含量は炊飯により劇的に低下することが示された。
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© 2008日本調理科学会
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