抄録
【目的】
種子の 発芽初期を食品化するとGABAなど機能性成分が増加すると報告されている。今回は高リグナン種のゴマ種子の発芽食品をラットに投与した場合の脂質代謝におよぼす影響ならびにハーブを添加した油の酸化安定性および抗酸化機能性について調べた。
【方法】
生後6週齢のWistar系 雄ラットを用い, カゼイン25%、コーンオイル9%、セルロース4%、ミネラル混合4%、ビタミン混合2%、コーンスターチ56%を基本食(対照群)とし, 基本食にコレステロール(以下Cholと略)1%を添加したChol添加食群とChol無添加食群に分け, 試験食群は発芽金ゴマ及び発芽ごまぞう, 未発芽金ゴマ及び未発芽ごまぞうを各々10%添加した。飼育終了後, 解剖・ 採血し, 血清および肝臓の脂質成分(TL, Chol値,TG値,TBARS濃度)について分析した。また基本食にアニス, 二ゲラをそれぞれ25%添加したハーブ添加ゴマサラダ油を投与した場合のラットの血清中リグナン類のHPLCによる分析およびTBARS濃度についても検討した.
【結果および考察】
Chol添加食群の血清Chol濃度は、対照群に比べて発芽金ゴマおよび発芽ごまぞう群が有意に低値を示した。血清TG値は対照群に比べて発芽金ゴマと発芽ごまぞう群が低下の傾向であった。血清TBARS濃度はChol添加食群では、Chol無添加の対照群より低下の傾向となった。またハーブ添加ゴマサラダ油の場合も、対照群に比べてハーブ添加油群の血清TBARS濃度が低下の傾向であった。肝臓の総脂質は、Chol添加食群の発芽ごまぞう群が群間で最も少なかった。肝臓のChol値は、対照群に比べて、Chol添加の発芽金ゴマ群、発芽ごまぞう群およびごまぞう群が有意に低下した。肝臓のTBARS値は、Chol添加食群および無添加食群のいずれも群間に有意差がなく、発芽金ゴマ群と発芽ごまぞう群が低下の傾向を示した。