日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-1
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ポスタ-セッション
石川県における魚介類の調理文化(9)
漬け物
*新澤 祥恵中村 喜代美川村 昭子請田 芳恵粟津原 理恵嶋田 靖子張江 和子
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抄録

【目的】
 石川県における魚介類の調理の地域性を検討するため、2003・4年に実施した特別研究「調理文化の地域性と調理科学 -魚介類-」より、漬物を取り上げて検討した。
【方法】
 主になる調理法で「漬物」と分類された料理161件(金沢57件、加賀12件、能登92件)について検討した。
【結果】
 1)全出現料理数の内2.18%であるが、地域別に見ると、金沢2.19%、加賀1.42%、能登2.33%で能登地区での出現率がやや高かった。2)出現した魚介類の種類をみると、最も多いのは「かずのこ」(23件)、次いで「身欠きにしん」(21件)、「さば」「いか」(19件)、「ぶり」(11件)、「いわし」(5件)となっている。3)漬ける期間が長期になり、発酵が伴うものが、約1/3にあたる59件(金沢22件、加賀7件、能登30件)であった。この内、「かぶらずし」は18件、「大根ずし」は24件である。4)3)については、ほとんどが冬に調理されているが、季節を問わないというものもあった。中で夏に使われるものとして「あじのなれずし」が1件出現していた。この「あじのなれずし」は奥能登で調理されてきたものであるが、この調査では金沢で到来物として出現していた。5)「かぶらずし」では7件が正月用に調理されていた。「大根ずし」でも1/3の8件で正月を含め行事用に調理されていた。尚、両者とも調理される季節は冬であるが、「大根ずし」で季節を問わないというものが1件みられた。6)「かぶらずし」では「さば」が最も多く使われ、次いで「ぶり」であった。「大根ずし」では「身欠きにしん」が殆どを占めているが、一部に「さば」「ぶり」「さけ」を使う例もあった。また、「大根ずし」では、能登で「いしる」を使う例がみられたが、「かぶらずし」では使われていなかった。
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© 2008日本調理科学会
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