日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-36
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ポスタ-セッション
野菜の苦味を抑制するトレハロースの効果
*名嘉眞 奈月望月 晴美藤井 わか子
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キーワード: トレハロース, 苦味, 抑制
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抄録

【目的】
 トレハロースは特性の一つとして、味に対してその味の増減に影響があるとされており、その中でもコーヒーやビールなどの苦味に対して抑制されると報告されている。この研究では野菜、特ににがうり(ゴーヤー)の調理操作の下処理に使用することで料理のおいしさに寄与することが出来ないかと考えた。そのために下処理時にトレハロースを用いることによってゴーヤーの苦味が抑制されるかを検討する。さらに、学生を対象にトレハロースの認知度や苦味に対する嗜好性を聞くことにした。
【方法】
 試料はゴーヤーとし、トレハロースに浸積し下処理として塩揉み・下茹でにトレハロースを使用する。塩揉みでは1%食塩で塩揉み、10%トレハロース水溶液に10分間浸漬後1%食塩で塩揉み、塩揉みなし(生)の3サンプルとし、下茹では1分間茹で、1分間10%トレハロース水溶液で茹でたもの、下茹でなし(生)の3サンプルとした。パネル16名で官能評価(評点法)を行い、分散分析で検定した。
【結果】
 官能検査の結果、苦味と青臭さの項目で有意差がみられた。塩揉みの苦味は、塩揉みと塩揉みなしに有意な差がみられた。塩揉みの青臭さについては、塩揉みと塩揉みなし、トレハロース浸漬と塩揉みなしに有意な差が見られた。塩揉みとトレハロース浸漬とのあいだに有意差は認められなかった。これらから塩揉みの苦味についてはトレハロース浸積では大きな効果はなかったが、青臭さはトレハロース浸積で抑制されたということができる。下茹での苦味については、トレハロース茹でと下茹でなしに有意な差がみられたが、水茹でとトレハロース茹でとの間に有意差は認められなかった。下茹での青臭さについては、水茹でと下茹でなし、トレハロース茹でと下茹でなしに有意な差がみられた。下茹でではトレハロース茹では下茹でなしに比べて苦味と青臭さを抑制した。これらの結果より食べにくい野菜の摂取増進に寄与できると考える。
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© 2008日本調理科学会
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