日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-8
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口頭発表
乾湿両加熱法およびマイクロ波加熱法による焼成菓子のテクスチャー比較
*井部 奈生子大坪 俊輔肥後 温子
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抄録


【目的】
 近年,焼成菓子の製法が多様化する中で,素朴な焼菓子が見直される動きがある.そこで,製菓材料として基本的な配合生地に,乾湿両加熱法およびマイクロ波加熱法を加えて焼成菓子を作成し,テクスチャーへの影響を検討した.
【方法】
 1)基本生地として,薄力粉100,水40,砂糖20,バター10(重量比)を用い,この基本生地に各々モノグリセリド,ベーキングパウダー,酢を添加した生地,および基本生地から一部成分を除去した生地を作成した. 2)以上の6種類の生地をオーブン焼き,揚げ,蒸し,電子レンジ照射し,自然乾燥をした試料を加えて,破断特性を調べた.3)オーブン,蒸し,電子レンジ加熱をした3種の基本試料を用い,7段階SD法による官能評価を行った.パネルは20歳前後の男女学生計52名である.4)成分組成と焼成法の異なる30種類の試料を調湿し,含水率とテクスチャー変化との関係も調べた.5)各試料を実体顕微鏡で撮影し,組織密度がテクスチャーに及ぼす影響を検討した。
【結果】
 1)成分組成の違いにかかわらず,オーブン加熱,揚げの乾式加熱に比較して,蒸しの湿式加熱,マイクロ波加熱が1.5倍以上硬かった. 2)官能検査では,オーブン,蒸し,電子レンジ加熱の順に硬く歯ごたえがある回答が得られ,蒸し加熱による湿熱効果,およびマイクロ波の湿熱加熱効果により焼成品の組織が強化されたことが示唆される.3)バターとベーキングパウダーがクラッカー性を増す傾向が認められたが,加熱法により添加物の影響が異なること,加熱法自体に生地の膨化作用のある揚げ加熱とマイクロ波加熱ではベーキングパウダーの添加効果が少ないことがわかった.

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© 2008日本調理科学会
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