日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-11
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口頭発表
ナトリウム型ジェランガムの力学特性に及ぼす降温速度の影響
*森高 初惠船見 孝博宮下 知美杉本 悠貴
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抄録


【目的】
 高分子多糖類のゲル形成は共存物質や環境温度等によって影響を受けることが知られている。本報告では、塩化ナトリウム(NaCl)添加あるいはNaCl無添加ナトリウム(Na)型ジェランガムの力学特性へ及ぼす降温速度の影響について検討した。
【方法】
 0.3% NaCl添加あるいはNaCl無添加Na型ジェランガムを試料とし、動的粘弾性測定装置(MCR-300)を用いて貯蔵弾性率ならびに損失弾性率を測定した。降温速度は6.0、3.0、1.0、0.3℃/minの一定降温速度と、降温速度の遅い0.3℃/minから速い1.0℃/min、3.0℃/min、6.0℃/minへと貯蔵弾性率が立ち上がり始める温度(Ts)で変化させる「遅い→速い降温速度」と、降温速度の速い6.0℃/minから遅い0.3℃/min、1.0℃/min、3.0℃/minへと変化させる「速い→遅い降温速度」の3種類とした。また、Tsの5℃前後で降温速度を変化させる測定も実施した。
【結果】
  貯蔵弾性率は一定降温速度測定では降温速度の遅いものほど大きくなった。「遅い→速い降温速度」と「速い→遅い降温速度」では、貯蔵弾性率は一定速度で冷却したゲルあるいはゾルの貯蔵弾性率の間の値を示した。その値は「速い→遅い降温速度」よりも「遅い→速い降温速度」において得られた貯蔵弾性率のほうが高く得られた。この傾向はNaCl添加とNaCl無添加の両測定方法において認められたが、NaCl添加Na型ジェランガムにおいてより顕著に確認された。また、Tsよりも5℃高い温度での降温速度変化より、5℃低い温度での変化において貯蔵弾性率はより高い値を示した。

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