日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-12
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口頭発表
泡立て条件を変えて調製した卵白メレンゲ内部の熱移動速度の測定
*水 珠子長尾 慶子
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抄録


【目的】
 メレンゲ調製時の含有気泡量の存在が内部熱移動に及ぼす影響を追跡するために、卵白の泡立て条件を変えて、気泡の分散量や平均気泡径と熱移動速度との関係を検討した。
【方法】
 材料は卵白およびグラニュー糖とし、家庭用ハンドミキサーを用い、回転速度2 で、攪拌時間を2分~4分30秒まで変えた泡立て度の異なる4種類のメレンゲ試料を得た。これらを用いて以下の実験をおこなった。試料品温20,40,60および80℃での熱伝導率 λ、定圧比熱容量 Cp および密度 ρ を実測し、熱拡散率 α (=λ/Cpρ)を算出した。同時に鍋焼きをモデル化した容器内に試料を入れ板焼き加熱した際の加熱面から内部一次元方向0,1,3,5,7および10mm各位置での昇温曲線より遅延時間定数 τ(x) を求めた。クリープ試験より、各試料の瞬間弾性率(E0)とニュートン粘度(ηn)を得た。検鏡観察を行い、解析ソフト(三谷商事 Win Roof)を用いて含有気泡の分散状況を解析した。
【結果】
 泡立て度の低い試料から泡立て度の最も高い試料までの平均気泡径は122.6~68.5μmまで分布し、良く泡立てるほど含有気泡量が増加し比重が小となった。気泡径の分布幅と平均粒子径も泡立て度につれて小となった。熱伝導率および密度は泡立て度の高い方が低値を示し、比熱容量は逆に増加した。熱拡散率および遅延時間定数 τ(x) の逆数も泡立て度の高いメレンゲほど小となった。クリープ試験より、瞬間弾性率およびニュートン粘度も泡立て度の高い方が大となった。以上より、良く泡だてた含有気泡量の多いメレンゲは、気泡径が小さく気泡数が増すことにより、粘度が増大し、水分子の運動が抑制され、内部の熱移動速速度が低下すると考えられる。

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