抄録
【目的】別府は源泉数、湧出量ともに日本で第一を誇る温泉地であり、8世紀に編纂された「豊後風土記」にも記されている。別府八湯のうち鉄輪温泉では、噴出する湯を温泉として使用するだけではなく、噴気を加熱調理に使ってきた。近年、噴気で蒸した料理は「地獄蒸し」として注目されるようになり、現在では旅館やホテル宣伝の一翼を担っている。しかし、地獄蒸しはほとんど研究が行われておらず、この調理方法の特性について基礎的な知見を得るために検討したので、結果を報告する。
【方法】試料としてサツマイモ、豚肉、枝豆を用いて3種類の方法(地獄蒸し、蒸し、茹で)で調理し、芯温の経時変化、成分含量(還元糖・遊離アミノ酸・脂質含量)と機能性(DPPHラジカル消去活性・アンジオテンシン_I_変換酵素(ACE)阻害活性)について検討した。試料の大きさ、調理に使用する温泉水 (ナトリウム‐塩化物泉)、加熱時間を等しくし、加熱操作を行った。
【結果】食品の芯温を測定したところ、枝豆とサツマイモは、3種類の調理方法で芯温の経時変化に差が認められなかった。一方、豚肉の芯温の上昇は、地獄蒸しが最も速く、ゆで、蒸し、の順であった。検討した食品成分の中で、還元糖および遊離アミノ酸含量は、地獄蒸し調理で多いことが認められた。また、枝豆を用い機能性を検討したところ、ACE阻害活性は地獄蒸し調理が最も高い活性を示した。