日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-45
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ポスタ-セッション
蒸し調理加工におけるヒラ(Ilisha elongata)の揮発性成分の変化
*我如古 菜月川上 育代池上 由美大坪 佑香湯之上 祐子北野 直子白土 英樹
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キーワード: ヒラ, 蒸し加熱, 揮発性成分, SPME
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抄録


【目的】魚類は多価不飽和脂肪酸を多く含み、良質なたんぱく質源であるが、風味劣化防止の面や保存面から、練り製品などに加工することが多い。練り製品の主原料はスケトウダラが一般的だが、近海魚などを混合することで、独特の風味を出している。熊本でも同様な製品も多く見られるが、近海魚の有無による風味の差異を検討した報告は少ない。そこで本研究では、熊本県近海で比較的大量に漁獲可能であり、殆ど市場に流通していないヒラに着目し、その加工品に関する基礎データを得ることを目的とした。
【方法】試料のヒラは熊本県漁連より入手した。頭部・内臓を除去後、実験に供するまで冷凍保存し、使用時に流水中で解凍した後、可食部のみを用いた。血合肉・表皮を残した混合試料と、除去試料に分けてすり身化した。この2種類のすり身を成型して蒸し加熱を行い、蒲鉾のモデル系を作製した。これらの試料を蒸留水でホモジナイズした後、バイアル瓶に入れて密封し、インキュベートした。その後、SPMEファイバーで揮発性成分を抽出し、ガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ-質量分析計に供した。
【結果】未加熱の場合、除去試料と比較して混合試料では、揮発性成分量が増加する傾向にあり、特に1-penten-3-ol(金属臭)が2倍程度増加していた。蒸し加熱をすると更に揮発性成分が増加し、混合試料の香気総量は、除去試料と比較しておよそ3倍に増加していた。下処理の簡略化を考えると、混合試料のように、皮や血合肉を混ぜてすり身化することが効果的であり、そのためには皮や血合肉を混ぜても魚臭が抑制できる調味料の添加、加工法の工夫が必要と考えられた。

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© 2009日本調理科学会
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