日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-47
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ポスタ-セッション
低塩化サバ糠漬け製造方法の実用性
*松田 真依村上 亜由美末 信一朗
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キーワード: サバ, 糠漬け, 低塩
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抄録


【目的】 サバ糠漬けは,塩漬けの後,糠床に漬け半年から1年間発酵させて製造する。保存性は高く,独特の風味を持っているが,塩分含量は高い。そこでこれまで,製品の低塩化を目的として,あらかじめ一定条件下で発酵した糠を用いて,実験室における少量の試料により製造方法の検討を行ってきた。本研究では,従来法の製造に用いられる樽にサバ30尾を漬け込み,本製造方法の実用性について検討した。
【方法】 調味料を合わせた糠に乳酸1%と食塩3%を添加し,重石をして25℃で2週間発酵させた(発酵調味糠)。サバの下処理は,背開きしたサバに食塩5%(サバ重量)を振り塩し,一晩おいた。これらと発酵調味糠を層にする過程で,下処理時に滲み出てきた水分(生しえ)を加えたものと加えないものの2試料とし,3ヶ月間発酵させた。食用の可否について一般性菌数,大腸菌数,発酵の程度の指標としてpH,ペプチド量,脂質栄養の指標として脂質量,過酸化脂質量を測定した。また,食味の好ましさについて,製造した2試料と従来法で製造された市販品の3点を試料とし,順位法による官能検査を行った。
【結果】 食用における安全性が確認された。脂質量には有意差はみられなかった。過酸化脂質量においては,市販品は製造した2試料よりも有意に高かった。食味の好ましさは「塩辛さ」において生しえを加えたものが,生しえを加えなかったものと市販品より有意に好ましく,「総合評価」においても生しえを加えたものが好ましかった。よって,本製造方法では,過酸化脂質を低く抑えることができ,食味も好ましいということから,大量に製造する上で実用可能であると考えられる。

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© 2009日本調理科学会
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