日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-61
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ポスターセッション
日常調理活動をおこなっている女性片麻痺者のQOL
*後藤 葉子中村 眞理子後藤 美奈子濱中 香也子小林 和幸
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キーワード: 調理, QOL, 片麻痺
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抄録
【はじめに】 脳卒中による片麻痺者では麻痺側の相違に関われず、日常の生活を片手動作でおこなうことによる多大なストレスが推測される。本調査は家庭で調理という役割をもつ女性片麻痺者と同年代の健常女性群のQOLを比較し、調理活動が及ぼす影響を検討した。
【対象・方法】 対象は日常生活において、ほぼ毎日調理をおこなっている女性片麻痺者7名(平均年齢65.4+/-6.7歳)と対象群として同年代の健常女性7名(68.6+/-1.4歳)。本調査協力の同意を得て、身体機能評価、料理に対するイメージ調査およびQOL評価をおこなった。
【結果・考察】 片麻痺者7名のうち右麻痺は3名、左麻痺は4名であった。そのうち6名は非麻痺側による片手動作で調理活動をおこなっていた。歩行障害のため4名は下肢装具、6名は杖を使用していた。非麻痺側の握力の平均は、右麻痺3名の左手15.1kg、左麻痺4名の右手21.7kgであり、健常群は右手24.6kg, 左手20.9kgであった。片麻痺群は調理に対して良好なイメージを有していた。QOL評価の結果において、身体機能に関するスコアで片麻痺群は健常群に比べ有意な低下が認められたが、全体的健康感と日常役割機能(精神) スコアでは片麻痺群の方が健常群より高値を示した。片麻痺群の麻痺側の違いによるQOLスコアに差はなかった。
片手動作は日常生活のすべての活動を制限してしまう。身体的な障害を抱えていても調理という家族に還元できる活動を通し、家族の一員としての役割を担っていたことが、QOLを高く維持できていた要因の一つではないかと考える。今後、生活機能やQOLを維持するためにも障害者の調理に関する研究が必要である。
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© 2010日本調理科学会
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