日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: D2p-20
会議情報

ポスター発表
チキン・ブイヨンの風味による減塩効果
真部 真里子*笹井 昭彦長谷川 倫子伊藤 茉美持田 理絵西村 公雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的】生活習慣病予防の見地から減塩が重要であるが、食品の塩味減少は、おいしさを著しく低下させる。おいしさの低下を防ぐため、だし中のうま味物質に減塩効果があることは周知だが、我々は鰹だしのうま味物質以外の風味にも減塩効果があることを明らかにしてきた。そこで、本研究では、和食のみならず広く減塩食のおいしさ向上を目指して、西洋料理にて使用頻度の高いチキン・ブイヨンの減塩効果について検討した。
方法】チキン・ブイヨンの塩分濃度を0.71~0.90%の5段階に調整し、0.80%食塩水とそれぞれ組み合わせて50℃で提供し、被験者(20歳代前半の女性)に、より塩味の強いもの、塩味強度が好ましいものを回答してもらった。
 またチキン・ブイヨンの香気成分について、固相マイクロ抽出法にて抽出し、においかぎによるGC(GC-O)分析を行い、においプロファイルを作成した。
結果】チキン・ブイヨンの風味について、においに関する報告は少ないため、まず、チキン・ブイヨンの香気成分についてGC-O分析を行った。特徴的なにおいとして、RT3分、46分に歯磨き粉様のにおいが、RT63分に強いブイヨンのにおいが認識された。香気成分の同定とブイヨン材料との関連性については今後の検討課題である。
 また、官能評価より得られたデータをプロビット法にて解析した結果、チキン・ブイヨンには塩味増強効果がある可能性が示された。また、全塩分濃度範囲でチキン・ブイヨンは0.80%食塩水の塩味強度よりも有意に好まれた。これらの結果から、チキン・ブイヨンは低塩味食品のおいしさ向上に有効であることが示唆された。
 なお、本研究の一部は、2010年度同志社女子大学研究助成金により実施した。

著者関連情報
© 2011日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top