日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: B1a-4
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ポスター発表
ORAC法および化学発光法を用いた和食献立の抗酸化能評価
*長尾 慶子佐藤 久美粟津原 理恵遠藤 伸之原田 和樹
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抄録
【目的】活性酸素による酸化ストレスから身体を守るには食品の抗酸化成分の摂取が有効だといわれている。しかし食品の抗酸化能は調理法で変化するため、食事全体の抗酸化能評価においては実測値に基づいた考察が必要である。我々は和食献立の抗酸化能を高める食事設計法を具体的に検討するために、壮年期女子の食事摂取基準を参考に調製した数種の料理や献立全体の抗酸化能をORAC法および化学発光法により実測評価した。
【方法】各料理の凍結乾燥試料を0.2g/20mL超純水で抽出して2種の抗酸化能測定に供した。化学発光法ではペルオキシラジカル捕捉活性をIC50値で求め、ORAC法ではペルオキシラジカルにより分解される蛍光物質の蛍光強度からORAC値を求め、料理単位での抗酸化能を比較した。その結果から抗酸化能の高い料理を組み合わせたモデル献立を作り、基準献立との比較を行った。
【結果】主菜の[鶏つくね]では電子レンジ加熱が、副菜の[金平ごぼう]では水浸漬なしのごぼうを用いた方法が、汁物の[野菜味噌汁]では鰹だしと赤みその味噌汁にナスを加える方法が、それぞれ抗酸化能を高める料理と決定した。それらに主食の玄米飯と副々菜にホウレンソウの白和えを組み合わせたモデル献立にすると化学発光法のIC50値(%)は平均1.11、およびORAC値(μmol trolox等量/100g乾燥重量)は平均2,475となり、基準献立における同測定値の平均1.46および平均2,115に比べて抗酸化能が高くなり、共にp < 0.05であった。以上より、日常の食事づくりにおいて抗酸化能の高い料理を組み合わせることで、酸化ストレスに対応する理想的な和食献立を提案できることが示唆された。
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© 2011日本調理科学会
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