土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第54巻
流域における下水処理場の物質・エネルギー循環ポテンシャルに関する研究
福嶋 俊貴
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 73 巻 7 号 p. III_439-III_448

詳細
抄録
 流域における下水処理場の物質・エネルギー循環拠点化を目指して,人口50万人規模のモデル都市を対象に,消化ガス発電量の増加のための可溶化処理や余剰消化ガスの受入を検討し,併せて物質回収(リン回収)も検討した.地域バイマスとして,モデル都市で共通に実施されている合併処理浄化槽汚泥を対象とした.また,流域が一体となった取組を意識し,複数の下水処理場を統合して評価する指標として,流域電力自給率や流域リン回収率を導入して各種施策を比較した.松山市・宇都宮市・岐阜市を対象とした評価では,宇都宮市は流入水BODが100mg/Lと低いために流入下水中の有機物をエネルギー換算したエネルギーポテンシャルは18.6万kWh/日と松山市の1.2倍に留まった.発電量は松山市と宇都宮市でほぼ同じであったが,エネルギーポテンシャル利用率が松山市は20%と宇都宮市よりも2ポイント高く,最も高い流域電力自給率57.4%に貢献したものと考えられた.物質循環として流域リン回収率で評価したところ,岐阜市では焼却灰からのリン回収を既に実施しているため,水処理でのリン除去量は615kg/日(除去率91%)と最も多く,流域リン回収率も46%と最も高い結果であった.リン回収量は307kg/日であり,浄化槽汚泥受入によりさらに7kg/日増加していた.
著者関連情報
© 2017 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top