日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: B1a-10
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ポスター発表
食品の調理・加工過程におけるビタミンC由来グリケーション反応生成物の健康への影響
*三宅 紀子酒井 清子松井 裕巳吉川 巧鈴木 恵美子倉田 忠男
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抄録
目的】アスコルビン酸(AsA)は調理・加工過程において容易に酸化されてヒドロアスコルビン酸(DAsA)、さらに加水分解されてジケトグロン酸(DKG)になる。AsA酸化生成物は反応性が高いジカルボニル構造を有することから、他の食品成分、特にタンパク質とのグリケーション反応が懸念される。近年このグリケーション反応が生体内においても進行し、糖尿病合併症などに関わることが報告され、飲食物由来のグリケーション反応生成物の健康への影響についても関心が向けられるようになった。本研究ではAsA、特にその酸化生成物と食品タンパク質との反応生成物の生体への影響について検討を行うことを目的とした。
方法】食品の調理・加工のモデル系として、AsA、DKG(50mM)とカゼイン(10mg/ml)との反応をリン酸緩衝液(0.1M、pH6)中、70℃で一定時間行い、透析後、後期糖化生成物(AGE)の生成度を褐色度(吸光度)および蛍光強度の測定により調べた。さらに、グリケーション反応生成物を用いて、ヒト腸管上皮モデル細胞Caco-2への影響をMTT法により調べた。
結果】AGEはAsAの場合ほとんど生成していなかったが、DKGとの反応生成物(DKG-Casein)については、反応性が高いことが知られているグリオキサール(GO)およびメチルグリオキサール(MG)と同程度であり、DKGがAGEの生成に寄与することが明らかになった。MTT法では、DKG-Casein は0.1mg/mlの濃度で細胞増殖抑制が確認され、GOおよびMGの場合よりも低濃度での増殖抑制が示された。よって、食品中のAsA酸化生成物が生体に影響を与える可能性が示唆された。
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© 2011日本調理科学会
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