日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: B1p-22
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ポスター発表
温泉蒸気を利用した野菜の加熱調理
*中嶋 加代子岸本 律子
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キーワード: 温泉蒸気, 加熱調理, 野菜
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抄録

目的】別府は至る所に高温の温泉蒸気が噴出しており、自然エネルギーとして日常的に利用されている。調理に用いる際は噴気を食品に直接、当てて加熱する方法(蒸し調理)が一般的である。例えば、イモ類・タケノコなど繊維が多く硬い食品は、地獄蒸し釜(噴気孔)に入れ噴気を当てる時間を長めに設定するとパサパサ感がなく軟らかく仕上がるので、高齢者が大変食べやすくなる。一方、青菜などは噴気を当てて加熱すると、加熱ムラが生じる。そこで演者らは、地獄蒸し釜で青菜を加熱する際に加熱ムラができない方法を検討し、ガスコンロを用いる方法と比較した。
方法】地獄蒸し釜は、噴気量を調節できるタイプを使用し、試料はコマツナ、加熱容器はステンレスボールを用いた。地獄蒸し釜、ガスコンロともにゆで水温度95℃の時、コマツナを手早く投入した。投入直後、地獄蒸し釜は噴気を止め、ガスコンロは消火し、コマツナを時々かき混ぜながら5分間ゆでた。その後、両者ともコマツナを取り出し、水で冷却したものについて比較した。
結果】地獄蒸し釜のコマツナは、ガスコンロと同様、加熱ムラはみられなかった。これは、釜内に水を入れたボールを置き、噴気で水を約100℃まで加熱し、温度が95℃まで下がった時、コマツナをボールに投入したため、噴気が直接コマツナに当たらなかったこと、かき混ぜる操作ができたことによると思われる。5分後のゆで水の温度は、地獄蒸し釜、ガスコンロともに70℃であった。ゆでる途中のゆで水の温度変化は両者とも類似しており、加熱後のコマツナの外観、食味、食感も大変似ていた。地獄蒸し釜で青菜などを加熱する場合は、噴気を食品に直接当てるのを避け、中間の熱媒体として水を用いると加熱ムラは生じないことが分かった。

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