日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: B1p-21
会議情報

ポスター発表
加熱方法の違いによる、冷凍野菜の食感変化について
*市川 竜太郎戸田 雅之小林 秀田中 孝祐
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】
 我々は、含水不織布に野菜を包んだ状態で電子レンジ加熱する簡便な調理方法を提案してきた。一方、経済性、調理の簡便性や保存性の観点から、予め加熱調理した野菜を冷凍保存し、使用前に解凍調理する行動がなされている。そこで、野菜としてニンジンを選択し、ニンジンを冷凍する前の加熱方法の違いが、解凍後の食感や組織的な変化に及ぼす影響について検討した。
【方法】
 ニンジンは東京都内にて購入した市販品をそのまま供試試料とした。厚さ約2cmの輪切りにしたニンジンを、茹でる、蒸す、および含水不織布で包んだ状態で電子レンジ加熱を行った。次に各方法で加熱したニンジンを家庭用冷凍冷蔵庫にて冷凍し、その後室温まで自然解凍して試験に供した。解凍したニンジンについて、官能評価による食感評価、テクスチャーアナライザーによる硬さの測定、低真空クライオSEMによる組織構造観察を行った。
【結果】
 各加熱方法を経て冷解凍したニンジンの官能評価では硬さの相違が認められ、含水不織布で包んだ状態で電子レンジ加熱したニンジンが最も硬く評価された。また、各々の加熱履歴を経たニンジンの硬さをテクスチャーアナライザーによって測定した結果、含水不織布で包んで電子レンジ加熱を経て、冷解凍したニンジンは、茹でおよび蒸し加熱を経たニンジンと比較して、冷解凍前後での硬さの変化率が小さく、硬さが保持されていた。組織構造観察の結果、電子レンジ加熱を行い冷解凍したニンジンは他の加熱法と比較して組織構造が保持されている傾向にあった。加熱による野菜の軟化には細胞間の接着状態の変化が関与することが知られており、含水不織布を利用した電子レンジ加熱では、これら細胞間の接着状態の変化が生じにくいため、他の加熱方法と比較して解凍ニンジンの食感を維持出来ていると推察された。

著者関連情報
© 2011日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top