日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: B1p-29
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ポスター発表
両手動作と片手動作での調理動作の比較
脳血管障害を想定して
*中村 眞理子後藤 葉子
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キーワード: 日常生活, 片麻痺者, 料理
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抄録

【はじめに】女性の日常生活に大きな時間を占める「調理・料理」は、障害者の家庭内役割としても注目される.小川ら、Allenらは家事行動をよく行う者に日常生活活動維持傾向があることを指摘している。障害者の調理では熱傷への配慮や片手動作に対しての道具の工夫をされることが多い。しかし,両手と片手の動作の質的違いから,指標を特定することには困難であることから,経験的に感じている身体の動きや動作の違いや特徴を明確に示したものは少ない。今回我々は動作解析装置を用い,片手と両手の動作の違いの一側面を分析した。
【対象】本研究に関する説明し,同意の得られた健常成人3名(男性1名、女性2名、平均年齢34.2±8.7歳、日常調理頻度4,4日/週)を被験者とした。【方法】被験者の両肩峰・両肘頭・体幹側方中点に標点を付け,課題遂行中の様子を上方および側方からビデオ撮影し,3次元動作解析装置frameDIAS(DKH)で標点の軌跡・総軌跡長および動作時間を解析した。動作課題は以下の一連の動作を両手と片手(非利き手:左)で実施した。測定動作は_丸1_クッキングヒーターの電源を入れる_丸2_油を入れる_丸3_具材を入れる_丸4_味付けをする_丸5_炒めるの5工程とした。使用する物品はすべてクッキングヒーターから30センチ以内に準備した。
【結果と考察】片手動作では両手動作に比して肩峰の移動距離・作業時間が長く,体幹の回旋が頻繁に行われた。また,体幹の前屈は両手動作の方が多かった。立ち位置は,手の到達距離を補うため両手動作時よりも調理台に近くなる傾向にあった。 動作特性を分析し,残存能力を上手く引き出せる,適切な物品配置などワークスペースを検討することにより,障害者の調理参加にアプローチ出来る可能性が示唆された。

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