日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 1A-a1
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口頭発表
ショ糖添加寒天ゲルからのショ糖のリリースと甘味強度
クン ヤンゼン ワン*西成 勝好菊崎 泰枝早川 文代神山 かおる
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抄録
目的  食品の呈味成分や香気成分が咀嚼により放出される場合、その放出の度合いは呈味成分や香気成分が食品の骨格構造内部にどの程度強く束縛されているかにより異なると考えられる。放出度合いと骨格構造および力学特性、官能評価で知覚される強度との関係を明らかにする事を目的とする。
方法 寒天ゲルを食品のモデルとして、各種濃度のショ糖を添加した各種濃度の寒天ゲルを調製した。水または人工唾液の存在下で一軸圧縮試験を、圧縮速度、圧縮回数、クリアランスを変えて実施した。水または人工唾液中のショ糖濃度から、ゲルが破壊された時に放出されるショ糖の度合いを調べた。寒天ゲルを圧縮して放出されるショ糖濃度を測定した。訓練されたパネルにこれらのゲルを試食させ、食べ方および甘味強度に対する影響を調べた。
結果と考察 ショ糖濃度が一定の場合、寒天濃度の増加に伴い、破壊応力および破壊歪は増加し、放出ショ糖量は減少した。寒天濃度を一定にした場合、ショ糖濃度の増加に伴い、破壊応力および破壊歪は増加したが、35-40%以上のショ糖濃度ではショ糖濃度の増加に伴いこれらのパラメータは減少した。また、放出ショ糖濃度はこのショ糖濃度以上で急激に増加した。これまでの報告と照らし合わせると、ゲルの構造がこのショ糖濃度を境に変化するものと考えられた。ゲルの甘味強度はショ糖濃度が高い場合に強くなるが、寒天濃度に影響された。また、ゲルが柔らかい場合には歯を用いずに舌と硬口蓋の間で潰して食されるが、ある程度以上硬くなると歯で噛むようになる。舌で潰す場合には歯で噛む場合より甘味が強く感じられる傾向がみられた。
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© 2012 日本調理科学会
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