日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
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口頭発表
  • クン ヤン, ゼン ワン, 西成 勝好, 菊崎 泰枝, 早川 文代, 神山 かおる
    セッションID: 1A-a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    目的  食品の呈味成分や香気成分が咀嚼により放出される場合、その放出の度合いは呈味成分や香気成分が食品の骨格構造内部にどの程度強く束縛されているかにより異なると考えられる。放出度合いと骨格構造および力学特性、官能評価で知覚される強度との関係を明らかにする事を目的とする。
    方法 寒天ゲルを食品のモデルとして、各種濃度のショ糖を添加した各種濃度の寒天ゲルを調製した。水または人工唾液の存在下で一軸圧縮試験を、圧縮速度、圧縮回数、クリアランスを変えて実施した。水または人工唾液中のショ糖濃度から、ゲルが破壊された時に放出されるショ糖の度合いを調べた。寒天ゲルを圧縮して放出されるショ糖濃度を測定した。訓練されたパネルにこれらのゲルを試食させ、食べ方および甘味強度に対する影響を調べた。
    結果と考察 ショ糖濃度が一定の場合、寒天濃度の増加に伴い、破壊応力および破壊歪は増加し、放出ショ糖量は減少した。寒天濃度を一定にした場合、ショ糖濃度の増加に伴い、破壊応力および破壊歪は増加したが、35-40%以上のショ糖濃度ではショ糖濃度の増加に伴いこれらのパラメータは減少した。また、放出ショ糖濃度はこのショ糖濃度以上で急激に増加した。これまでの報告と照らし合わせると、ゲルの構造がこのショ糖濃度を境に変化するものと考えられた。ゲルの甘味強度はショ糖濃度が高い場合に強くなるが、寒天濃度に影響された。また、ゲルが柔らかい場合には歯を用いずに舌と硬口蓋の間で潰して食されるが、ある程度以上硬くなると歯で噛むようになる。舌で潰す場合には歯で噛む場合より甘味が強く感じられる傾向がみられた。
  • 河村 美穂
    セッションID: 1A-a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    研究目的) 家庭科の調理実習は普通教育として調理を学ぶ重要な機会である。家庭科教育は最終的に生活者としての自立を目指すことから、調理を学ぶことも日常使用することを目標としている。しかし、限られた授業時間のなかで調理技能の定着を図ることは難しく、調理実習が単なるつくって食べる体験となることも指摘されている。そこで、本研究では高等学校の家庭総合の時間に実施した一連の調理実習において、個々の学習者が調理を学ぶ際に、計量を含めた調理技能とそれにかかわる知識がどのように習得されるのかを検討することを目的とする。
    研究方法) 男女共学の私立高校2年生を対象として、1学期に実施された調理実習(計量方法・親子丼・味噌汁・きゅうりの塩昆布和え)における知識および調理技能の習得の状況を質問紙調査、観察調査の結果をもとに分析した。実施時期は2011年5月~6月である。質問紙調査では220名の生徒の調理に関する知識および調理技能の習得に対する認知の実態をみた。観察調査では調理経験のほとんどない生徒6名を抽出し、事象見本法を援用して調理実習中の行動を分析し、調理技能をどのように習得するのかを考察した。
    結果と考察) 計量方法を学習し、その後親子丼の調理を行うという一連の学習を経て、質問紙調査で対象とした生徒のほとんどが計量に関する知識を習得することができた。ただし、調理の手続き(調理方法)とその意味を十分に理解するには至っていない。調理場面では調理以前の手続きも合わせて次に行う調理活動を判断している様子が見られ、教師が指示すべき内容と生徒に考えさえるべき内容を吟味する必要があると考える。
  • 高橋 ひとみ, 大野 治美, 山口 真由
    セッションID: 1A-a3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    <目的>現在、外食産業や中食といわれる惣菜などの利用が多くなり、以前は主に家庭内で行われていた食事作りが減少のする傾向がみられる。また高校までの家庭科教育での調理実習の機会も減少している。本研究は、大学入学時の学生の調理技術を明らかにし、大学入学までの調理経験が調理技術にどのような影響を及ぼしているかを検討した。<方法>栄養士・管理栄養士を目指ざし入学した女子学生(高校卒業後2年以内)95名に対し、入学時の4月にアンケート調査を行った。アンケートの内容は小学生から高校生までの調理に関する手伝いの頻度、高校での実習回数、現在の料理頻度、また高校の家庭基礎、家庭総合の教科書、大学生対象の調理学実習のテキストから日常的な料理を100品選び、何も見ないで作れる、レシピを見れば作れる、名前を知らない等6段階で質問した。<結果>高校3年間の実習回数は、3~5回が48.4%、6回以上が30.5%であった。自分の料理に自信があるかの問いには「あまりない」「ない」が計77.9%で「やや自信がある」の22.1%を大きく上回った。調理技術についての質問では炒飯、ポテトサラダ、カレーライスなどは50%以上の学生が何も見ないで一人で作れると回答した。また名前も知らない料理には潮汁49.5%、ブラマンジェ45.3%、紅白なます29.5%、白和え16.8%、かきたま汁15.8%などが挙げられた。調理経験に関する質問では、小学生と中学生の手伝いは相関係数0.86と高い相関が認められ、手伝う子どもは中学生、高校生でも手伝う習慣がある事がわかった。高校生の手伝いの頻度と現在の料理頻度には低い相関がみられた。しかし現在の料理頻度と料理に対する自信、高校での実習回数は相関がみられなかった。
  • 澤田 崇子, 山田 正子, 瀬戸 美江, 藤本 健四郎
    セッションID: 1A-a4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】2009年、厚生労働省から、食を通して健康寿命を伸ばすことを目指した「噛ミング30」が公表された。また、早食いと肥満との間には強い関連が認められることが明らかになり、「咀嚼法」が臨床の場で肥満症や糖尿病患者などに対して行動療法として行われている。平成20年厚生労働省国民健康・栄養調査報告では、やせの者(BMI<18.5)の割合は、女性では20歳代で22.5%と最も高くなっている。食べる器官である口腔の健康と関連させて、健康づくりの視点から「食育」を推進していくことが求められているが、やせの割合が高い20代の女子学生が、より多く噛むことで、食事量が今より少なくなるのは問題である。そこで、女子学生を対象に普通の咀嚼と一口30回を目標に咀嚼した時の食事量を調査し、今後の課題を検討した。
    【方法】噛むことに関するアンケート調査は女子学生471名を対象に自記式記述法を用いて行った。食事調査は、女子学生10名を対象に秤量記録法を用いて、普通咀嚼の場合と30回咀嚼を行う場合の各7日間行った。また食事の様子をデジタルビデオカメラなどで撮影し、数取器で噛む回数などを計測した。
    【結果】噛むことに関するアンケート調査では、30回噛んでいる、できる限り多く噛むように意識している女子学生は全体の25%程度で、噛むことを意識していない女子学生が50%程度認められた。また食事調査から、よく噛むことによって、エネルギー量は減少することはなかったが、よく噛むことを続けるためには、元々よく噛んでいたという習慣がなければ、食習慣の変容につながらなかった。ゆっくりとよく噛んで食べるという正しい食習慣を、早くから身につけさせる必要が求められる。
  • 明神 千穂, 西口 のどか, 村田 真希, 小澤 一哉, 宮田 麻代, 土川 嘉代, 湯川 夏子
    セッションID: 1A-a5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】料理活動は、人をいきいきさせ、豊かな人間関係を構築し、自立支援や高齢者の生活の質(QOL)の向上が期待される。先行研究において1施設の認知症高齢者グループホーム(以下GH)にて料理活動を実施したところ、認知症周辺症状の改善が見られた。そこで本研究では別の施設の対象者に対して料理活動を実施し、同様の効果が得られるか検討を行った。
    【方法】調査対象は奈良県内のGHのA、B2施設の入居者18名で、料理活動参加者9名を介入群、不参加者9名を非介入群とした。期間は、A施設は平成22年9~10月、B施設は平成23年9~11月とした。介入回数は計8回で昼食5回、おやつを3回実施した。評価は、行動観察式で認知症の重症度を評価するCDR、質的差異を評価するGBSスケールを用いた。またQOLの評価は高齢者生活健康スケールで行った。さらに料理活動の全体評価及び個人評価、スタッフに対するアンケート調査も行った。 
    【結果】A施設の介入群のGBSスケールは介入後で23%の改善がみられ、知的機能の「場所・時間に関する見当識」、「冗漫さ」、精神症状の「錯乱」が有意に改善した(p<0.05)。一方B施設は26%の改善がみられ、知的機能の「最近の記憶障害」、運動機能の「用便の管理不能」に有意な改善がみられた(p<0.05)。またCDRはA施設が24%、B施設は20%介入後に改善され、認知症の進行に緩和がみられた。両施設において特に「介護状況」で改善される人が多くみられた。QOLは両施設とも介入後に多くの項目で改善された。施設や対象者が異なると改善される認知症周辺症状に違いはみられるが、料理活動は認知症周辺症状の改善に効果があることが示唆された。
  • 石井 克枝, 竹之内 美香
    セッションID: 1A-a6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】わが国においては飯を主食として位置付けてきた。米の摂取量は1962(S37)年をピークに減少している。そこで本研究では大学生を対象に食意識と実態を把握し、現代の食生活において米飯を主食としてどのようにとらえているのかを明らかにすることを目的とした。
    【方法】1)主食に注目した食事実態調査は千葉大学の学生19名を対象として、連続した7日間の食事の写真を対象とした。2)千葉大学の学生100名を対象とし、米の摂取に関する意識及び実態、複数の主食からなる食事に関するアンケート調査を行った。
    【結果】7日間の食事調査(19名)結果から、主食は米飯、パン類、麺類の順に多かった。朝食ではパン、昼食では、米飯、夕食では、米飯が多かった。一食あたりの品数を主食別にみると、米飯食では平均3.46品と最も多く、パン食では2.33品、麺食では1.57品であった。米飯の摂取量は、一食当たりの平均は160.3gであった。一週間の米飯摂取量はおよそ600~2675gと、個人差が大きくみられた。米飯摂取のアンケート調査結果では、80.0%の者が毎日米飯を食べたいと回答し、86.0%の者が主食として最もよく食べるもの、75.0%の者が主食として米飯を最も好むと回答した。複数の主食の組み合わせ15種類について、摂食の実態と主食意識の結果では、多くの者が食べると回答したラーメンとチャーハン等は外食の割合が高く、複数の主食からなる食事は外食を通して普及、定着していると考えられた。複数の主食の食事をよく食べる者は主食を副食として捉えるなど、主食に対する意識が低いと考えられた。
  • 高澤 奈々世
    セッションID: 1B-a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    雑穀由来糖化液添加食パンのレオロジー特性
    高澤奈々世*,** 石田奈々瀬** 土田幸一*** 粟津原理恵** 榎本俊樹 
    石川県立大学 **金沢学院短期大学 ***日穀製粉(株) 
    【目的】自然食や伝統食が見直される中、雑穀への関心が高まりつつあるが、雑穀は主要穀物に比べて加工利用例が少ない。そこで新たな雑穀利用法を提案するために、その主成分であるデンプンを酵素処理により糖化させ、雑穀由来糖化液(以後、糖化液と略記)を調製した。本研究では、これらを用いて食パンを製造した際のレオロジー特性からその利用適性を検討した。
    【方法】雑穀はヒエ・キビ・アワ・ソバ(日穀製粉(株))を用い、既報に準じてアミラーゼにより糖化液を調製した。石川県の郷土菓子である米糖化液の「じろ飴」も添加試料として比較した。食パンの基準配合は、強力粉、上白糖、水、ドライイースト、食塩、バターとし、ホームベーカリーで調製した。砂糖を糖化液に代替する場合には、加水量および糖度が一定となるようそれぞれ配合量を調整した。各試料のレオロジー特性は破断強度測定、テクスチャー測定およびクリープ測定により評価し、比容積、すだちの形状とともに各食パンの特性を考察した。
    【結果】破断強度測定の結果、食パンの表皮、内部ともに他と比較してヒエ糖化液で破断エネルギー値が低く、じろ飴で高かった。テクスチャー特性では、砂糖に比較して各糖化液では付着性が高くなる傾向を示した。ヒエ糖化液は、かたさ、凝集性の項目で砂糖に似た特性を示した。ヒエ糖化液に比べてじろ飴では比容積が小さくすだちが細かく膨らみが悪かった。以上から、ヒエ糖化液は各糖化液の中で最もやわらかく噛み切りやすい特性を有し、じろ飴は硬くかみしめ感のある食パンであることが示唆された。その他の糖化液は類似したレオロジー特性を有するが、いずれも喫食者の食感の嗜好に合わせて食パン製造に利用可能であると考える。
  • 長野 宏子, 玉岡 ひかり, 堀 光代, 粕谷 志郎
    セッションID: 1B-a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    目的 紀元前から世界各地に多くの発酵食品が人々の生活を支えてきた。パンもその一つであり、世界中で食されている。パンは、市販酵母により一般的に作られているが、世界のパンと日本の天然酵母パン欠片から、パン作りに関与する微生物の実態把握とパン中のタンパク質の特徴を探ることを目的とした。実験方法 試料は、世界から収集したパン欠片約800種の中から小麦や大麦、米、いも、とうもろこしなど主要農作物の異なる世界各地のパンと日本各地の天然酵母パンとした。パン中の微生物をライト染色法により観察し、パン欠片を凍結乾燥後、0.5MNaClにより抽出した。タンパク質含量はフォーリン法により、またSDS電気泳動法および抗原抗体反応法、HPLCによるアミノ酸組成分析を行った。結果および考察 主要農作物に関わらず、世界のパン全てに酵母以外にも形態の異なる乳酸菌などの微生物が存在しており、小麦タンパク質の分解が多く見られ、小麦アレルギー患者の反応するタンパク質が減少していた。天然酵母パン中のスターターにより微生物の形態や存在に違いが見られた。また、世界各地のパン同様、小麦タンパク質の分解が多く見られ30kDa付近の小麦タンパク質の減少が見られたものもあった。今回、用いた低アレルゲン表示のある天然酵母パンは、アレルゲン部分が残っているものもあり、卵や牛乳などを含んでいないことを表示にしたことが考えられる。日本各地の天然酵母パンは、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、GABAを多く含んでおり、これらによって、天然酵母パン特有の風味が生まれることが明らかとなった。
  • 福山 紗由実, 井村 智郁, 佐藤 之紀
    セッションID: 1B-a3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】トマトの食べず嫌いや食わず嫌いの幼児や児童の意識改善として,まず食べてもらう方法の考案と,トマト粉末を添加した赤色ベースの食品をハレの日の儀礼食へ発展させる目的の一環として行った。
    【方法】本学フィールド科学教育研究センター内の圃場で栽培された2011年産トマト(桃太郎)の凍結乾燥粉末(<850μm)をトマト粉末とした。臭化ナトリウムなどの飽和塩類水溶液を共存させた30℃のデシケータ内(相対湿度RH 6-97%)にそれぞれトマト粉末を保存し,トマト粉末の色L*a*b*を色彩計(CR-13, コニカミノルタ)でモニターした。さらに,市販ホームベーカリー(SD-BM103, Panasonic)でドライイースト-食パンモードにてトマト粉末添加食パンを焼成し,AACC変法を用いて力学物性測定を行うとともに,トマト粉末無添加の食パンを対照(評価点0)として,色,香り,力学物性などの項目につき7点評価法の官能評価を行った。
    【結果】トマト粉末のみを種々のRHに2週間保存しても,保存直後のトマト粉末の色を保持しており,ほとんど変化しなかった。さらに,トマト粉末を1%のレベル(小麦粉の質量に対しての百分率)で添加して調製した食パンクラムには,トマト粉末無添加食パンクラムの色との差が外見上みられたのみならず,色彩計での色のパラメータにも差がみられた。さらに,トマト粉末を添加した食パンクラムの官能評価を行った結果,パネラーは色や香りが異なることに気づいたものの,何が添加されたのかを認識できない場合が多かった。力学物性値も,機器測定および官能評価ともに,トマト粉末を添加して調製した食パンは粉末無添加の食パンとほとんど変わらなかった。
  • 上中 登紀子, 花﨑  憲子, 大喜多 祥子, 倉賀野 妙子, 和田 淑子
    セッションID: 1B-a4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】焼菓子に用いる甘味料は菓子に甘味を付与するだけでなく、焼成時の生地の広がりや膨化に影響し、製品の焼き色や食感形成に関与する。ショ糖の異性体のパラチノースを用いた焼菓子は表面は固めであるが、ほどよい口溶け感も合わせ持っている。非う蝕性で甘味の少ない機能性を有するパラチノースを用いて、幼児の歯固めに適した焼菓子の基礎データを得ることを目的とした。【方法】焼菓子としてビスコッティを取り上げた。配合割合は、小麦粉100g、B.P.1g、糖50g、卵40g、精製水20gとした。卵を水で溶き、糖を加えて撹拌し、小麦粉とB.P.を加え60回混捏し生地とした。パウンドケーキ型に入れ170℃で18分焼成後10㎜幅に切断し、径30㎜の型で抜き、150℃で10分焼成した。60分放冷後デシケーターに保存し、翌日実験に供した。糖はパラチノースと上白糖の2種類を用い、両製品の形状、官能評価、咀嚼筋筋電位測定、人工唾液の吸着量測定、定速圧縮破断試験、水分活性測定を行い比較検討した。【結果】咀嚼筋活動の特性値(筋活動量、咀嚼回数、咀嚼時間、咀嚼周期)は両製品間に有意差が認められなかったが、パラチノース製品は噛んだ時に固い、噛み砕きにくい、噛んでいる時間が長い、砕ける大きさが大きい等の官能評価を得た。人工唾液に浸漬時の製品の重量・破断特性値の変化からパラチノース製品は人工唾液の吸水速度が砂糖製品の約50%であった。このことはパラチノース製品が口腔内で固さを持続する時間が長いことを示すものであり、乳幼児の歯固め用菓子としての要素を備えていると考える。パラチノース製品は水分活性値が低く保存性に富むことが示唆された。製品の食感・総合評価における嗜好性の向上に向けた工夫が今後の課題である。
  • 佐藤 幸子, 四宮 陽子
    セッションID: 1B-a5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
    会議録・要旨集 フリー
    目的 麺のコシは物理的な要素が複合した食感だが、麺表面から中心部への粘弾性分布の影響が大きいと言われている。昨年度は粘弾性分布を直接クリープで測定するために、麺外側を荷重をかけてつぶし、その状態で応力緩和をしてから改めて荷重をかけてクリープを行い、麺内部の粘弾性測定を試みた。今年度はこの方法を一部改良し、かける荷重の調整によって、麺表面から中心部への粘弾性分布測定を試みた。方法 試料は冷凍ゆでうどん(テーブルマーク㈱)、茹で時間75秒、3cmに切断、乾燥を防ぐためにシリコンオイルに浸漬した。外側にかける荷重は破断曲線から0N・0.8N・2.0N・3.92Nとし、これらの荷重による試料厚さの変化と厚さを固定して応力緩和を測定した。クリープ測定は麺厚さを固定し、応力緩和後1Nの荷重をかけ、クリープメーター(RE2-33005B㈱山電)に電子恒温システム(ETC-3305㈱山電)を取り付け、麺中心温度を26℃で行い、解析はクリープ解析(BAS-3305㈱山電)を用いた。結果 それぞれの荷重でつぶし始めてから10秒で試料厚さは安定し、歪率に換算すると平均22%(0.8N)、33%(2.0N)、44%(3.92N)であった。応力緩和は測定により10秒とした。麺表面から内部4ヶ所の粘弾性は6~8要素で、弾性要素は104~106〔N/m2〕、粘性要素は104~107〔Pa.s〕であった。食感に大きく影響すると考えられるE0は、歪率0%、22%、33%、44%と麺中心へ行くにしたがって増加し、それぞれ危険率5%で有意差が認められた。ηNは逆に麺表面が最も大きくなった。
  • 藤本 健四郎, 菊池 節子, 岡部 聡子, 横田 和子, 渡辺 睦行, 渡辺 剛
    セッションID: 1B-a6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】植物ステロールの脂肪酸エステル(植物ステロールエステル、PSE)は、食用植物油に含まれており、日常的に摂取している成分である。植物ステロールは、コレステロールに類似した構造を持っているが、消化管からは吸収されない。PSEが固形油脂の性状を持っていることに着目し、製パン用あるいはカレールウ用固形油脂の低カロリー代替物として使用した時の食品の食味と物理的性状に与える影響を評価した。
    【方法】PSEはタマ生化学製で、ステロールとしてはシトステロールおよびカンペステロールが、脂肪酸としてはリノール酸がそれぞれ主体なものを使用した。製造したパンは、食パン(油脂含量4%)とバターロール(油脂含量18%)であり、ショートニングを対照とし、試験試料は油脂全量をPSEで置換した。パンのレオロジー特性は、山電レオメーターRE-3305を用いて測定した。カレーについては、ラードを比較対照とし、50%あるいは100%をPSEで置換して、風味について官能検査を行った。
    【結果】食パンについては、テクスチャー解析および官能検査の両者について、有意差は認められなかった。バターロールでは、PSEで置換すると、ショートニングより凝集性が強くなったが、官能検査ではにおいが好まれなかった。バターロールで両者に差があったのは、パンへの添加量が多いためと推定された。 カレーについては、50%置換では風味に影響が認められなかったが、全量置換すると、PSE独特のにおいが好まれなかった。
  • 石渡 奈緒美, 福岡 美香, 酒井 昇
    セッションID: 1C-a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】畜肉を加熱調理すると,タンパク質の熱変性によって,収縮が生じ,それに伴って,離水した水や融解した脂肪などの油分が流出する物質移動現象が起こる.この時,畜肉の主要旨味成分である遊離グルタミン酸(以後,Glu)は,離水した水と共に,系外へ排出されるため,著しい重量損失は品質低下を招くと考えられる.そこで本研究は,伝熱および物質移動解析によって,加熱調理途上における畜肉内の水分およびGlu残存量の変化を予測することを目的とした.
    【解析方法】有限要素法による二次元非定常伝熱解析を行った.また,畜肉加熱時の物質移動現象は,加熱変性に伴う収縮により対象物内部に生じる圧力差を駆動力とするダルシーの法則で説明できると考えた.
    【実験方法】等温実験より,熱変性度の異なる試料を用意し,以後測定に用いた.ダルシーの法則に必要となる透過係数は,PFG-NMR法により決定した.試料中のGlu残存量は,L-グルタミン酸キット2(ヤマサ)を用いて定量した.
    【結果および考察】透過係数ならびにGlu残存量は,筋原線維タンパク質の変性に伴い低下し,特にアクチンが変性すると,著しく低下する傾向であった.そこで,タンパク質変性度と,測定した定量結果の相関式をそれぞれ導出し,物質移動解析に用いた.その結果,試料重量および体積変化の解析値は,実験値と傾向が一致した.またこのことより,実験より算出した透過係数は妥当であると判断した.さらに,調理途上の水分分布とGlu残存量分布の変化をアニメーションで示すことで,水分移動が進行し,その結果生じた水分含量の低い場所から,Glu量が減少する様子を明確に提示することが可能となった.
  • 松本 美鈴
    セッションID: 1C-a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】明治期に日本に紹介されたハンバーグステーキ(以下ハンバーグとする)は、幼児から高齢者まで幅広く好まれる料理である。挽肉にいもや海藻などさまざま食品を添加した多様なハンバーグが作られている。近年は、イソフラボンをはじめとする機能性を期待した大豆加工食品を加えたハンバーグも一般的である。しかし、これら大豆加工食品がハンバーグの品質に及ぼす影響を調べた研究は多くない。そこで、本研究では、おから、豆腐、高野豆腐を添加したハンバーグの品質を機器測定および官能評価により検討した。
    【方法】基本ハンバーグ配合割合は、挽肉100、鶏卵10、加熱玉ねぎ24、食塩1、白胡椒0.1とした。大豆加工食品添加量は、おからは肉重量に対して25、50、100%、裏ごし豆腐は50、100、200%、水戻しみじん切り高野豆腐は25、50、80%とした。なお、挽肉には、鶏胸肉と合挽肉(牛:豚=2:3)を用いた。ハンバーグ調製方法は、挽肉に食塩を加えて粘りが出るまで混ぜ、残りの材料を加え、均質になるように混ぜ合わせた後、ハンバーグ種25gを厚さ16㎜の円柱状に成形し、230℃のオーブンで8分焼成した。5分放冷後、測定に供した。加熱重量変化、色(色差計)、多汁性(テクスチュロメーターによる圧縮試験)、かたさ応力および凝集性(クリープメーター)を測定し、順位法による官能評価を行った。
    【結果】おから添加により、いずれのハンバーグも色が薄くなり、多汁性の値が減少し、官能評価ではジューシー感が失われた。豆腐添加により、ハンバーグのかたさ応力が減少し、官能評価でもやわらかくなることが認められた。高野豆腐添加により、ハンバーグがかたくなることが機器測定および官能評価より分かった。
  • ―黒酢麹菌由来酵素の利用による熟成期間の短縮―
    青木 五百子 , 宮田  梨杏 , 小城 勝相 , 岩崎 泰介
    セッションID: 1C-a3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    Abstract:[目的]魚醤油は大豆醤油に比べ、旨味に富んだ発酵調味料で、近年加工食品の隠し味などで需要が増えている。今回、従来の魚醤油の長期間熟成に代えて、黒酢麹菌由来の酵素使用による熟成促進、更には本魚醤油の特性を生かした料理について検討した。
    [方法]キビナゴの頭部、内臓および骨を除去し、魚肉濃度37.5%、食塩濃度25%にしたもの各800gを6試料調製し、各3試料をpH5.0とpH8.0に調整した。それぞれ1試料を酵素無添加の対照とし、他の2試料を酵素添加群とした。供試した酵素は黒酢醸造に使用する麹菌の小麦フスマ培養物から抽出し、硫安濃度60-100%飽和沈殿画分の透析内液を酵素標品として用いた。黒酢麹菌は酸性域に活性を持つものと中性からアルカリ域に活性を有する2種類のプロテアーゼを産生することから、本速醸試験では、pH5.0とpH8.0に調整したものに、酵素液を1.25%と3.75%添加して熟成を行った。30℃で30日間培養し、その間の熟度指標として、全窒素、アミノ態窒素、275nmの吸光度測定と、薄層クロマトグラフィー(TLC)による生成アミノ酸の定性を行った。旨味の生成は官能評価によった。
     [結果]酵素添加群は培養1日目から旨味の生成が認められ、培養日数が増すにしたがって旨味は顕著となり、いずれの熟度指標測定値も顕著に上昇した。官能評価では、pH8.0のアルカリ処理群では魚臭さが後味として残り、一方、pH5.0の酸性処理群では魚臭さがなくすっきりした旨味を呈した。TLCによる生成アミノ酸の定性結果から、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、ロイシン、イソロイシンなどが顕著に増加した。種々のだしとの併用で相乗効果により旨味が増強される傾向にあった。
  • 坂口 守彦, 石村 哲代, 奥田 玲子, 松田 有加, 荻野目  望, 吉岡 立仁, 山岸 海
    セッションID: 1C-a4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
    会議録・要旨集 フリー
    目的 すでにかつお節の普通肉のみから調製した「だし」は「あっさりしたうま味」をもつが、血合肉のみから調製したそれは、うま味が弱く異味や「くせのある味」をもつこと、さらに普通肉に血合肉を一定の割合で混合したものは「あっさりしたうま味」のほかに、深みや「こく」が備わり、調和のとれた風味を与えることなどを明らかにした。そこで、今回は普通肉と血合肉の主要な成分を分析し相互に比較して、それぞれの肉の特性を解明することを目的とする。
    方法 かつお節(本枯れ節と荒節の雄節)から血合肉および普通肉を削りとったのち、常法により「だし」を調製したのち、遊離アミノ酸、核酸関連物質、有機酸などの含量を測定し、相互に比較した。
    結果 普通肉のみから調製した「だし」には本枯れ節と荒節にかぎらず、血合肉のそれに比べてヒスチジン(遊離アミノ酸)、アンセリン(ジペプチド)、イノシン酸(核酸関連物質)および乳酸(有機酸)が多いことが明らかとなった。一方、血合肉はタウリン(荒節)およびイノシン(荒節)に富むこともわかった。これらの成分のなかでイノシン酸はうま味に、ヒスチジンと乳酸は酸味、うま味、「こく」などの発現に寄与するとみなされているので、このような成分が普通肉の呈味を構成する主要なものであると判断された。しかし、血合肉のもつ特有の、異味や「くせのある味」については不明で、今後検討を必要とすることがわかった。
  • 村上 恵, 吹山 遥香, 岩井 律子, 酒井 真奈未, 吉良 ひとみ
    セッションID: 1C-a5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】肉の煮込み料理における水の硬度の違いが、肉の硬さにどのような影響を与えるかについては多くの報告がされているが、その見解は異なっている。そこで本研究では、煮込み料理における水の硬度の違いが牛肉の硬さに及ぼす影響を、官能評価と物理化学的測定により検討した。
    【方法】20代の女子大学生を被験者として7段階評点法、2点比較法による官能評価を行った。水は硬度300の硬水と硬度50の軟水を使用した。3cm角の牛もも肉を重量の4倍量の水で60分加熱したものを試料とした。また、硬さに影響を及ぼす要因を調べるために、牛肉の破断測定、ゆで汁のカルシウム量、ヒドロキシプロリン量についても測定を行った。
    【結果】官能評価の結果から硬度300が硬度50に比べてにおい、味、総合評価の項目において有意に高い値となった。硬さについては、硬度50に比べ硬度300を軟らかいと感じる人がわずかに多かった。評価間の相関を調べると、硬さが総合評価に最も関与していることがわかり、硬度300を使用した肉は軟らかく、好まれる傾向にあった。また、破断エネルギー値においても硬度300は硬度50よりも有意に低い値となった。ゆで汁のカルシウム量は、硬度300では加熱によって有意に減少したが、硬度50は増加する傾向がみられた。ゆで汁中のヒドロキシプロリン量には硬度300、硬度50での違いはみられず、硬度の違いによるコラーゲンの溶解度には差は認められなかった。以上の結果より、硬度300で調理した牛肉は総合評価でおいしいと評価され、その要因として牛肉の軟らかさが関与していると考えられた。従って、牛肉の煮込みには硬水が適していることが示唆された。
  • 原田 和樹, 福田 翼, 前田 俊道, 和田 律子, 伊豫田 有美, 古下 学, 小川 剛太郎, 中島 豪, 芝 恒男
    セッションID: 1C-a6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】下関の水産伝統加工食品であるアルコール漬け瓶詰ウニ塩辛の歴史は、明治初期、下関市の西教寺の蓬山和尚の考案とされ、ウニに誤って酒をこぼし、そのウニを口に含んで美味であった事がその始まりとされているが、長い歴史の割に、ウニ加工品の研究は少ない。本学会では、アルコール漬け瓶詰ウニ塩辛が、抗酸化能をどれくらい有しているか、イン・ビトロ系のORAC法を用いて、ペルオキシラジカルの消去活性能で調べた結果を報告する。
    【方法】試料は、山口県うに協同組合の商品を中心に、粒ウニ塩辛18種類、練りウニ塩辛5種類、和えものウニ塩辛10種類、生ウニ生殖巣2種類、瓶詰前の塩・エタノール添加の半生加工ウニ1種類の合計36種類を用いた。試料抽出法は水抽出で行い、抗酸化能は、定法に従ってHydrophilic ORAC値を測定し、測定結果はμmol Trolox当量(TE)/100 gで表した。
    【結果】粒ウニ塩辛18種類のORAC値の平均は2,099 μmol TE/100 g(以下、単位略)であり、高い抗酸化能を示すと評価した。一方、練りウニ塩辛5種類の平均は1,420であり、粒ウニ塩辛に比べてORAC値は低くなった。和えものウニ塩辛10種類の平均は1,196であり、さらにORAC値が低い結果となった。一方、バフンウニとチリウニの生ウニ生殖巣の平均は1,909、瓶詰前の塩・アルコール添加ウニのORAC値は、1,941であった。すなわち、生ウニの高いORAC値は、粒ウニ塩辛に比較的反映されているものと推察した。ORAC値の高い順に結果を示すと、粒ウニ塩辛>練りウニ塩辛>和えものウニ塩辛であり、この差は、ウニの含有量の違いによる可能性が示唆された。
  • 三星 沙織, 米山 陽子, 江木 伸子, 前田 康智, 高田 昌子, 齋尾 恭子, 平尾 和子
    セッションID: 1D-a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】前報において、分離大豆たん白質(以下、SPI)を用いたクッキーの大豆由来の特有な不快臭(以下、大豆臭)を軽減する調製方法を水分量、調製手順、焼成温度・時間等の原因になると思わる項目で検討したところ、砂糖が大豆臭軽減に大きく影響すると考えられた。そこで本研究では、Schefféの単純格子計画法を用いて、SPI、小麦粉、砂糖の3成分を変化させて10格子点を求めた。物性値と官能評価の結果から得られた各特性値と材料配合比との関係について検討し、大豆臭の少ないクッキーの最適材料配合比を求めた。
     【方法】材料はSPI(㈱フジプロテインテクノロジー)、小麦粉(薄力粉:日清製粉㈱)、上白糖(三井製糖㈱)、ショートニング(日本製粉㈱)、卵水(卵:蒸留水=1:1)を使用した。ドウはスピードカッターのプッシング機能を使用して調製した。焼成温度は160℃で15分間とした。材料配合比はシェッフェの単純格子計画法を用い、SPI、小麦粉、砂糖の3成分の最小値と最大値を求め、各格子点の水準に従って10格子点の配合を決めた。厚さ、破断特性(㈲タケトモ電機)および官能評価で得られた各特性値と材料配合比との関係を求めた。さらにガスクロマトグラフィーを用いて揮発性成分分析を行った。
    【結果】Schefféの単純格子計画法から、SPIクッキーは小麦粉の配合比が多くなると硬さは小となり、大豆臭が薄まる効果があった。また糖の配合比が多いとカラメル化などで硬くもろい物性を示した。揮発性成分の測定から、格子点③ではアミノカルボニル反応と推察される成分が検出され、大豆臭が軽減したと考えられた。つり合い不完備計画法に従って官能評価を行ったところ、格子点③が嗜好の総合評価の項目で最も好まれた。
  • 米山 陽子, 平尾 和子, 江木 伸子, 三星 沙織, 町田 優子, 齋尾 恭子
    セッションID: 1D-a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】既報において、植物性たん白質、豆類、野菜類、食物繊維の不足がちな栄養素を継続的に摂取するためにSPIクッキーを調製したところ、ドウに多量の水分添加が必要であり、大豆由来の特有な不快臭(以下、大豆臭)が生じた。栄養的に優れ、美味しいクッキーを手軽に作るポイントが分かれば、家庭で簡単に調製し、摂取できると考えた。そこで本研究では大豆臭を軽減するクッキー調製法を検討するため、水分の必要性、調製手順、焼成温度・時間による影響を明らかにする目的で、物性測定・官能評価により検討した。
    【方法】材料はSPI、小麦粉、上白糖、ショートニング、卵・蒸留水を使用し、比較として、トレハロース、食塩不使用バター、食塩不使用マーガリンを用いた。ドウはスピードカッターのプッシング機能を使用して調製した。焼成温度は140~170℃で検討した。水分率測定は加熱乾燥式水分計で求め、物性測定はテンシプレッサーを用いて破断強度を行い、官能評価は7段階評点法により行った。パネルは教職員専門パネル6~20名とした。
    【結果】SPIクッキードウに約14%の水分を加水して160℃で15分間焼成し十分に焼成して水分を減少させること、また糖と共に焼成することで香ばしい香りが付与され、大豆臭が軽減した。これは、SPIクッキーが十分に焼成して水分をとばし、糖によるアミノカルボニル反応と思われる加熱生成物を生成させることにより軽減できたと考える。SPIクッキーの大豆臭は調製手順による影響は小さく、材料配合比が大きく影響すると考えられた。さらにクッキーに用いる油脂をバターに代替すると香りがよく嗜好性が向上し、上白糖をトレハロースに代替すると、きなこの風味が強調され大豆臭を軽減する作用を示した。
  • 荒井 恵美子, 久松 裕子, 長尾 慶子
    セッションID: 1D-a3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的:咀嚼・嚥下困難者の食事において、とろみ調整剤はテクスチャー調整が容易にできことから手軽に用いられている。しかし、これらの添加により呈味成分や香気成分が抑制されるのではないかと推察される。香りは、食欲増進・精神安定など心理的生理的効果が期待されることから、風味を損なわない調理上の工夫が求められる。今回はにおいが特徴的な“煮干し”と“わさび”にとろみ調整剤を添加した場合のフレーバーリリースを比較した。
    方法:煮干しはミルで粉砕後、粒径を揃えた粉末とした。わさびは粉わさびを用いた。とろみ調整剤は原料の異なる2種類(K・T)を用いた。これらを組み合わせた以下の4試料を調整した。S(蒸留水・煮干し)、W(蒸留水・煮干し・粉わさび)、K(蒸留水・煮干し・粉わさび・とろみ調整剤K)、T(蒸留水・煮干し・粉わさび・とろみ調整剤T)に、蒸留水を加えて95℃に加温後、80℃低下時点で試料Kにとろみ調整剤を、35℃低下時点で4試料全てに煮干し粉を、3試料に粉わさびを、試料Tにはさらにとろみ調整剤を振り入れ撹拌した。直ちに4試料全てを密封し、調理科学研究員10名をパネルに5段階評点法で官能評価を行った。さらに、におい識別装置を用いて4試料のにおい成分を分別比較した。
    結果:におい識別装置の結果より、とろみ調整剤を加えた試料のいずれもが煮干しのアミン系のにおいとわさびのエステル系のにおいが、煮干しとわさびのみのW試料に比べて弱く、とろみ調整剤によりにおいの発散が抑制されていることが推察された。一方、官能評価の結果では、とろみ調整剤K、T試料のいずれもがW試料に比べ、口に入れたときのにおいが有意に強いと評価された。これは、咀嚼することによりにおいが口中で強く発散されたためと考えられる。
  • 岩崎 裕子, 大越 ひろ
    セッションID: 1D-a4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 高齢者施設などで提供されている摂食機能が低下した高齢者の食事としての食形態には、均質な状態ばかりではなく、きざみ食にとろみあんをかけたものなど不均質な状態が多く存在する。本研究では、ゾルーゲル混合系試料について、ゲルの特性の相違が混合系試料の力学的特性および食べやすさへ及ぼす影響を検討することを目的とした。
    方法 ゲル試料には、特性の異なるゲル化剤4種(UP16K、ウルトラ寒天、ゼラチン寒天、大和)を用い、硬さの等しいゲルを調製し、4㎜角の微細ゲルとした。ゾル試料は、市販とろみ調整食品を緑茶飲料に添加して調製した。微細ゲルとゾルを重量比1対1で混合し、混合系試料とした。ゲル試料は、一粒の破断測定、および微細ゲルを容器に一定量充填した試料についてテクスチャー測定を行った。混合系試料については、テクスチャー測定および飲み込みやすさの官能評価を行った。
    結果 いずれの微細ゲル充填試料もゾルと混合することで、硬さは小さくなり、微細ゲル充填試料の中で最も硬いウルトラ寒天ゲルは、混合系試料においても最も硬かった。凝集性も同様に、ゾルと混合することで大となり、微細ゲルの特性が混合系試料のテクスチャー特性に影響することが示された。一方、付着性は測定条件により傾向が異なるため、測定法の検討の必要性が示唆された。官能評価による、べたつき感、口内の残留感の評価は、ゾルと混合することによりゲルの特性が相殺され、4試料間の有意差は認められなくなった。一方、まとまりやすさ、および飲み込みやすさは、ウルトラ寒天ゲルのように変形しやすく付着性が高いものは、ゾルと混合してもまとまりやすさが改善されず、飲み込みにくく、ゲルの性状が顕著に表れることが示唆された。
  • 孟 き, 石川 奈津紀, 熊丸 陽奈, 今村 美穂, 山下 有紀, 小幡 明雄, 菅原 悦子
    セッションID: 1D-a5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的:醤油の香りは品質を左右する重要な要因であり、香りの生成には火入れ工程が重要な役割を果たすことが知られている。近年、火入れをしない生醤油(なましょうゆ)が開発、市販されているが、その香気特性に関する報告は殆どない。本研究では生醤油の香りの特徴を明らかにすることを目的とし、火入れ醤油と比較すると共に、加熱における香りの変化を検討した。 
    方法:生醤油と火入れ醤油からカラム濃縮法により香気濃縮物を調製した。得られた香気濃縮物をGC-MSで分析し、AEDA( aroma extract dilution analysis)法によって香りの特徴と強度を評価した。さらに、加熱調理を想定し、加熱した生醤油と火入れ醤油の香気濃縮物も同様に分析した。 
    結果:GC-Oの結果、加熱前の生醤油は火入れ醤油より甘く香ばしい香気成分が多かった。生醤油は加熱により感知できる香気成分の数が増加したが、火入れ醤油では減少した。AEDAの結果、加熱前の生醤油、火入れ醤油中のFD-factor(FDf)の最も高い香気成分はカラメル様の4-Hydroxy-2(or 5)-ethyl-5(or 2)-methyl-3(2H)-furanoneで、生醤油では加熱後も同様であった。加熱した火入れ醤油では煮たジャガイモ様のMethionalの寄与が高かった。加熱後、FDf 1024以上の香気成分は生醤油で4種、火入れ醤油は1種であり、生醤油は香りが高く保持された。以上の結果は、生醤油は甘く香ばしい香りを持つが、加熱してもこの特徴を保持し、より豊かで複雑な香りになることを示し、このような生醤油の特性は加熱調理にも望ましいと考えられた。
  • 原 知子, 吉永 隆夫
    セッションID: 1D-a6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】食材の調理において適切な加熱条件を知ることは重要である。特に、食材を煮る場合、加熱や放熱による容器内での熱流体運動を考慮する必要がある。本研究では、流体で満たされた容器内で煮汁に浸されたジャガイモを下方から加熱した時,上面での放熱条件による煮汁およびジャガイモの温度や硬さ変化の違いを数理モデルと実験により調べる。
    【方法】容器内でのジャガイモの配置が大きなスケールを持つ多孔質媒質と仮定し、ポーラスメディア理論を用いた定式化を行う。容器内での温度・速度分布を3次元モデルで、平均温度変化を1次元(集中定数系)モデルで数値的に調べる。加熱は一定熱流束条件を課し、放熱は流出熱流束が温度に比例もしくは断熱の条件を課す。実験では対応する条件としてIHクッキングヒータで加熱し、落としぶたが無い場合とある場合を仮定し、二種類の大きさのジャガイモを具材とした場合について調べる。煮汁や具材内部での温度分布や具材内部での硬さ変化に関する計算結果と実験件結果との比較検討を行う。
    【結果】1.ジャガイモが大きい場合、容器内部での場所による温度差は小さい。その場合、実験結果を参考にした適切なパラメータ値を設定することにより、1次元モデルによる煮汁温度やジャガイモの温度、濃度、硬さの変化予測は有効である。2.ジャガイモが小さくなるにつれて、容器内部での場所による温度差が大きくなる。その場合、3次元モデル解析による容器内部での局所的な温度変化が重要になる。3.落としぶたをすることにより、煮汁の平均温度はより大きく上昇するが、容器内での温度差は小さくなる傾向にある。
    本研究は科研費(No.22500749)の助成を受けたものである。ここに感謝の意を表する。
  • 李 温九, 湯川 夏子, 米浪 直子, 須田 あゆみ, 章 貞玉
    セッションID: 2A-a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、日本と韓国では、食の外部化や簡便化が進んでおり、家庭で調理する機会が減少している。特に、大学生は外食や中食が多く、食生活上の様々な問題点が指摘されている。我々は、栄養・食生活専攻の学生は他の学生よりも明らかに食生活への関心が高く、調理教育が食事作りへの意識や関心を高める効果があることを報告してきた。本研究では、現在共通した食生活の問題点を持つ日韓の栄養・食生活専攻の学生を対象に、食事作りに関する意識と調理技術の違いについて比較検討した。 <BR> 【方法】2009年12月~2010年3月に日本では大阪、京都、名古屋の大学に在学中の栄養・食生活・調理専攻の女子学生176名、韓国ではソウルの大学に在学中の女子学生108名、計284名を対象とし、自記式質問紙による調査を行った。 <BR>【結果】両国ともに約35%の学生がほぼ毎日食事作りをしていた。食事作りのきっかけとして日本では「一人暮らしになったから(41%)」、韓国では「親が忙しいから(47%)」の回答数が多かった。「料理を作るのが好き」と答えた学生は日本では55%、韓国では39%であった。調理技術習得状況については、日本では30項目中27項目、韓国では24項目で半数以上の学生が「できる」と答えた。日本では、カレー、スパゲッティ、ハンバーグ、ステーキなどの洋食が韓国に比べて習得率が有意に高かった。食事作りに関する意識調査の結果では、日本が「料理習得意欲」、「健康・栄養」の項目、韓国は「食の安全性」の項目で有意に得点が高かった。得意料理では、日本は外国料理をアレンジした簡便な料理が多かったが、韓国では伝統的な家庭料理が多かった。
  • -2004年岩手県I市における調査-
    髙橋 秀子
    セッションID: 2A-a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 保育所は乳幼児の養護と教育をする場であり、食事は乳幼児の順調な発達・発育には欠かせないもので、子どもの状況に応じて考慮する必要がある。また、2004(平成16)年からは、保育所での食育の実践が求められている。保育所の調理の現場では、幅広い年齢の乳幼児へ給食を提供しなければならない。乳幼児の発育には、食品あるいは献立に対して偏った嗜好性が発生しないことが望ましい。乳幼児の給食の嗜好の傾向を調査し、栄養士および調理員の改善努力の状況をまとめ、課題をまとめた。
    方法 調査は、2004(平成16)年6月に実施した。岩手県I市に設置されていた保育所15所を対象に自由記述の設問(一部選択の設問を含む)の調査用紙を郵送し、回答を依頼した。回答者は、調理を担当する栄養士または調理員等の職員とした。給食について、「昼食は給食か弁当か」(選択による回答)、「開始時刻」、「好まれる献立」(選択による複数回答)、「好まれる献立の具体例」(5例程度の記述回答)、「好まれない献立の具体例とその理由」(5例程度の記述回答)、「献立を立てる際に気をつけていること」(記述回答)、「給食を実施する際に困っていること」(記述回答)の7項目の質問をした。
    結果 乳幼児では煮物類が好まれ、年齢が上がるにつれて肉料理が好まれていた。食べ物の嗜好は年齢の低い時期からあらわれることがわかった。調理担当者は、0歳児には離乳食として適切なものを、1から2歳児には食体験を増やすことを、3から4歳児に栄養バランスよく好き嫌いの生じないように給食の配慮をしていた。乳幼児への栄養指導には、調理担当者を含めた保育所と家庭が連携することが必要である。
  • 残食と嗜好、食情報及び欠食との関連
    布川 育子, 渡辺 いつみ, 能井 さとみ
    セッションID: 2A-a3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>近年、若者の食生活について、欠食や摂取栄養量のアンバランスなど、様々な問題が挙げられている中、短期大学生に対する食育は有効であると考えられる。本学は栄養士、保育士の養成施設であり、教育の一環として給食を実施している。将来食育の担い手となる学生にとって、給食は正しい食事のあり方を学ぶ場であるとともに、自らの食生活を見つめなおす場であってほしい。そこで、給食の嗜好や食生活に関する調査を行い、短期大学における給食を活用した食育を行うための基礎資料を得ることを目的とした。
    <方法>2010年11月に本学学生を対象に自記式アンケート調査を実施した。有効回答者数は442名であった。調査内容は、給食の量、味、残食及び満足度について、食情報(献立表、卓上メモ)に対する意識及び欠食についてであった。集計及び解析は、給食を「残さない群」と「残す群」とに分け、χ検定を行った。p<0.05で有意差ありとした。
    <結果及び考察>「残さない群」は「残す群」と比べ、給食の量、味及び満足度ともに高い評価であった。また、食情報への意識も有意に高かった。朝食摂取頻度は、「残さない群」が「残す群」に比べ、有意に高く、昼食及び夕食も含めた欠食頻度は、有意に低かった。これらのことから、「残さない群」は「残す群」に比べて、規則正しい食生活をしていることがうかがえ、食に関する情報をとらえ、活用するスキルが身についていると思われる。今後は、継続して嗜好調査を行い、学生にとって魅力的な給食を提供することで給食の残食を減らしていくこと、食情報の提供方法を検討し関心を高めること、給食以外の食事や食生活習慣についてさらに調査研究が必要であると思われた。
  • 芝崎 本実, 渡辺 敦子, 名倉 秀子
    セッションID: 2A-a4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】現代社会における食生活の洋風化に伴い,和菓子の喫食頻度は減少傾向にあるとされ,親世代が和菓子を喫食しないために和菓子の喫食経験や知識が皆無という子どもも多く,食文化の継承が懸念されている.第1報ではそれらのことを踏まえ,関東における将来食に携わる資格を取得する学生と親世代を対象に和菓子の喫食状況調査を行い,世代間,学校間,地域間により和菓子の喫食状況が異なることを報告した.本報ではさらに30種類の和菓子別に喫食状況および飲み物の関係についての結果を報告する.
    【方法】関東に所在する管理栄養士養成校および製菓衛生師養成校3校の学生(18~20歳)とその親(30~50歳代)を対象(373人×親子)とし,平成23年12月~平成24年2月に和菓子についての調査票を配布し,自己記入留め置き式によるアンケートを実施した.質問項目は30種類の和菓子の認知度,嗜好性,喫食状況,調達方法,飲み物,調理意欲といずれも選択肢回答を設定した.
    【結果】調査票は255部が回収された.30種の和菓子の中で串だんごは嗜好性(学生99.1%,親世代89.4%),調理意欲(学生66.6%,親世代55.7%)が共に高く,おはぎ・ぼたもちも同様であった.練り切りは嗜好性(学生33.7%,親世代46.7%),調理意欲(学生22.0%,親世代7.5%)共に低く,和菓子の嗜好性が低いと調理意欲も低い傾向が見られた。串だんごの調達方法は,和菓子店(25.6%)よりも量販店(67.9%)が多く,おはぎ・ぼたもちでは,和菓子の中で家庭で作る(32.4%)が最も多く出現した.水羊羹では到来品(26.9%)の喫食もみられた。特に親世代は到来品による喫食が多かった.和菓子の喫食時の飲み物はいずれの和菓子においても学生,親世代で煎茶が最も多かった.親世代は次いでコーヒーを組み合わせて喫食する傾向が見られた.
  • 西澤 千惠子
    セッションID: 2A-a5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、社会が大きく変化し、食を取り巻く状況や考え方などもめまぐるしく変化している。正月の代表的な行事食の雑煮も、年々変化していると思われる。本研究では、現時点における雑煮の実態をまとめた。
    【方法】平成21年に本学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」で、全国一斉に行事食についてのアンケート調査が行われた。本研究では、このアンケート調査のデータから、正月の雑煮に焦点を当て、都道府県毎に集計した。なお正月と雑煮の認知と経験については回答のあったものについて、他の項目については全ての回答についてまとめた。
    【結果と考察】すべての都道府県で90%以上が正月を認知し経験していた。雑煮は沖縄県を除き96%以上が経験し、「毎年食べる」「時々食べる」の合計は, 全国平均で97.9%であった。もちの形状は糸魚川-関ヶ原-熊野新宮の線で東側は角もち、西側では丸もちとなり、従来いわれているものと同様の結果を示した。味付けでは「すまし」が全国的に行われていた。「白みそ」は近畿地方と四国地方の一部で、「あずき」は中国地方の一部で大きな値を示し、これらの地方では同時に「すまし」も喫食されていた。調理方法では「角もち」と「焼く」で強い正の相関が, 「丸もち」と「焼く」で、強い負の相関が見られた。全国的に従来からいわれている傾向を示したが、境界線が曖昧になりつつあり、均一化していることが示唆された。 
  • 久保田 賢, 山本 悠, 山岡 耕作
    セッションID: 2A-a6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】キューバでは食糧確保の目的で1999年に繁殖力の高いアフリカヒレナマズを導入した。2001年11月に到来したハリケーンにより、世界自然遺産候補であるサパタ湿地をはじめとする自然の淡水域および汽水圏への流出が起こり,貴重な固有種の駆逐が懸念されている。これらの環境保全策の一つとして、移入種の漁獲と利用が効果的であると考え、ヒレナマズ肉を原料とした製品のキューバ人に対する嗜好性を知ることを本研究の目的とした。 【方法】キューバの首都ハバナ市内およびサパタ湿地地区の住民に対して魚食の習慣や嗜好について聞き取りおよびアンケート調査を行なった。ヒレナマズ肉製品の嗜好調査には,ハバナ市内で販売されていた養殖ヒレナマズの冷凍フィレーまたはサパタ湿地で漁獲されたヒレナマズを用いた。フードプロセッサーまたはすり鉢を用いて調製したすり身からフィッシュボールや野菜を入れたさつま揚げを作製して食味試験を行なった。また,煉り製品をはじめとした日本で市販されている様々な水産加工食品についても嗜好性を調べた。 【結果】魚食を好むキューバ人が多かった一方で,半数以上は摂食頻度が2回/月以下と回答した。魚種としては海産の魚や魚介類が,料理法としては主に揚げ物料理やソース料理が好まれていた。板付けかまぼこやちくわなど、食経験のない一部の製品を苦手とする回答はあったものの、日本の加工食品の評価は決して低くはなかった。しかしながら、現地で調達したヒレナマズ肉で作製したフィッシュボールやさつま揚げに対する評価はさらに高かった。
  • 工藤 貴子, 松本 仲子
    セッションID: 2A-p1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】日本料理の味の基本として、食育や調理実習の場では、昆布やかつお節のだしを教材とすることが多いが、近年、一般家庭においては、市販だしの素を利用する傾向にある。本校の家庭を対象に行った調査では、味噌汁の調製には、約9割の家庭で市販だしの素やだし入り味噌を利用しており、昆布やかつお、煮干し等からだしをとっている家庭は1割に満たなかった。こうした背景から、市販だしの素の表示をもとに使用材料やその使用法、嗜好性等を検討することにした。
    【方法】購入しただしの素は65種類である。各製品に表示される使用材料をもとにその数および種類を魚介、昆布、椎茸等の天然材料類、旨味類、調味料類等に分類した。また、嗜好性の評価については、昆布とかつお節でとった天然のだしと数種類の市販だしの素をだしとして汁物や煮物等を調製し、20代の大学生をパネルとして、評点法による官能評価を行なった。
    【結果】市販だしの素を材料数別に分類すると、50%以上の製品に5~7種類の材料が使われており、10種類以上の材料が使用されているものもあった。材料の面からみると、魚介、昆布、椎茸等の天然材料類のみの製品は全体の約2割であり、天然材料に旨味類や調味料類を組み合わせたものは7割以上で、多くの製品に旨味料や調味料が添加されていた。天然材料の中で多く使われていたのは、かつおが最多で、次いで昆布、椎茸、いわしの順であった。旨味類ではアミノ酸、調味料類では食塩、砂糖が多くの試料に含まれていた。天然だしと市販だしの素について官能評価した結果、市販だしの素は天然だしに比べて、旨味が強く、苦味が弱い傾向がみられ、総合的には「やや似ていない」から「似ていない」の間に評価された。
  • 藤原 佳史, 大島 裕子, 朝田 仁
    セッションID: 2A-p2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】 おいしさを損なわずに減塩する調理手法として、鰹節のだしを効かせて減塩することが既に数多く報告されている。しかしながら、それらの報告は鰹荒節のだしに関するものが多く、その他の日本料理に用いられる各種の魚節だしに関する報告は少ない。そこで本研究では、鰹荒節だしを含む4種類の魚節だしを用い、だしの種類による減塩効果の違いを調べた。
    【方法】 だしは4種類の魚節(鰹荒節、鰹枯節、宗田鰹節、さば節)から熱水抽出した。それぞれの3.0%だしに、濃口醤油と食塩を加えて塩分濃度0.8%の吸物(液温は常温)を調製し、塩味の強さをτ尺度により評価した。また、1.0%だしを用いた塩分濃度0.9%の吸物と3.0%だしを用いた塩分濃度0.8%の吸物(液温は約60℃)を調製し、塩味の強さと味の好ましさを2点識別法および2点嗜好法により評価した。パネルは社内味覚試験に合格した20~40代の男女20名以上とした。
    【結果】 鰹荒節だしには、塩味増強効果が認められた。その他の魚節だしも塩味を増強する傾向があった。さらに、すべての魚節だしで、だし濃度を高くすると0.1%の塩分濃度差を識別不能にする効果が認められた。嗜好性評価においては、だし濃度の高い吸物が好ましいと評価される傾向があった。また、供試魚節だしの中では、鰹荒節だしが減塩に最も有効であることがわかった。魚節だしの減塩効果は、塩味増強効果だけでなく、嗜好性の向上や喫食時の品温など、複数の要因によりもたらされることが示唆された。
  • 佐藤 幸子, 田口 裕基, 鏡田 早紀, 数野 千恵子
    セッションID: 2A-p3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】ローリエの葉、およびイタリアンパセリの茎は古くから香味野菜としてスープストックに用いられている。これらを用いた場合、スープストックに香気成分がどのように関与するかを検討した。また官能評価を行ったので、併せて報告する。
    【方法】水1200mLに牛すね肉300g(3cm角切り)を入れ、電磁調理器(600W)で沸騰させた後、灰汁を除去したのち、ローリエ約0.1gまたはイタリアンパセリの茎3gをそれぞれ添加した。その後、弱火(400W)にして2時間または30分間加熱したものをスープストックとした。また、対象として同様に水および肉を処理してスープストックを調製した。香気成分は、GC-MSおよびGC-O分析を行った。また、それぞれのスープストックについて、評点法により5段階の評価尺度を用い、香り、風味、味、総合評価について官能評価を行った。
    【結果】GC-MS分析およびGC-O分析の結果、ローリエを加えたスープストックからはα-テルピニルアセテート(ハッカ様)および肉由来のオクタナールが検出された。イタリアンパセリを加えたスープストックからは1,3,8-メンタトリエン(ハッカ様)およびオクタナールが検出された。対象としたスープストックからほぼ同程度のオクタナールが検出された。官能評価の結果、以上より、ローリエを添加したスープストックは、香りや肉臭(食前後)、後味についてそれぞれ有意差が認められ、脂肪臭は軽減された。しかし、イタリアンパセリの茎では灰汁を除去した後の加熱時間が2時間では有意差は認められなかったが、加熱時間が30分間では「風味が良い」の項目に有意差が認められた。ローリエでは灰汁を除去した後の加熱時間を2時間、イタリアンパセリの茎では、加熱時間を約30分間にすると、賦香作用が期待できることがわかった。
  • 真部 真里子, 谷口 文香, 谷口 惠梨奈, 笹井 昭彦
    セッションID: 2A-p4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】生活習慣病予防の見地から減塩が重要である。しかし、食品の塩味減少は、おいしさを著しく低下させるので、おいしく減塩するために、だしを効かす調理法が勧められてきた。我々は鰹だしのうま味物質以外の風味にも減塩効果があることを明らかにしてきたが、本研究では、和食のみならず広く減塩食のおいしさ向上を目指して、西洋料理にて使用頻度の高いチキン・ブイヨンの減塩効果とその要因について検討した。
    【方法】20歳代の女性を被験者とし、試料にチキン・ブイヨン、野菜のみのブイヨン、うま味強度をチキン・ブイヨンに合わせたMSG溶液と食塩水を用いて官能評価を実施し、チキン・ブイヨンについてはノーズクリップを着用した場合も実施した。各試料の塩分濃度を0.62~1.00%の5段階に調整し、0.80%食塩水とそれぞれ組み合わせ60℃で提供した。各組、より塩味の強いもの、塩味の強さが好ましいものを被験者に回答してもらった。
    【結果】プロビット法で解析した結果、チキン・ブイヨンの塩味増強効果は不明確であったが、野菜のみのブイヨンに塩味抑制効果が確認された。
     また、被験者の塩味強度に対する嗜好は多様で、0.80%食塩水と比較して顕著に好まれる特定の塩分濃度はなかった。しかし、チキン・ブイヨンでは、塩分濃度0.62~0.90%において、0.80%食塩水の塩味強度より有意に好まれた。他の試料の結果と総合的に考えると、チキン・ブイヨンは、スープ類に相当する塩分濃度では主にうま味、それより低い濃度ではうま味以外の呈味物質の効果によって、一方、塩分濃度が高くなると野菜のにおい効果でおいしさを向上させると考えられた。
  • 嶽本 あゆみ, 比嘉 修, 名波 和幸, 松原 瞭, 松井 拓海, 下嶋 賢, 比嘉 勝也, 前原 弘典, 外本 和幸, 工藤 康文, 伊東 ...
    セッションID: 2B-a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    瞬間的高圧による製粉には、圧力媒体となる物質の密度変化面において生じるスポーリング破壊と呼ばれる破壊作用を利用する。物質に対して、音速を超えた速度で高い圧力すなわち衝撃波を負荷すると、密度境界面において(1)音速を維持したまま通過する透過波と(2)音速以下の速度(膨張波)となった反射波とに分かれることで、密度境界面に負圧力(引っ張り力)による破壊作用を生じる。この高速破壊現象はスポーリング破壊と呼ばれる。スポーリング破壊は、密度変化が大きいほど強力に作用する。また、伝播速度が音速を超えるため、数マイクロ秒程度の短時間で対象へ高圧力を作用させる。すなわち、穀物への作用時間が極めて短時間のため、このため加熱がほとんど生じないという利点がある。このような圧力を穀物に負荷することで製粉ができる。すなわち、瞬間的高圧製粉は、蕎麦の重要な風味であり揮発成分である香りの、熱による損失を最小限におさえることができる。今回は、瞬間的高圧製粉により製粉した蕎麦に対し、その粒度分布、栄養成分、加工特性などの品質を調査した結果を報告する。
  • 佐藤 恵美子, 玉木 有子
    セッションID: 2B-a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】 ゴマ豆腐の力学的性質に関する研究を行ってきたが、ゴマ豆腐はゴマと本葛澱粉を主体とした混合ゲルであり、ゴマ由来の油脂を含有する。新潟のゴマ豆腐は甘味が強く和菓子感覚で供される。本実験では葛澱粉ゲルの力学特性に及ぼすショ糖とゴマ油添加の相互作用について検討した。
    【方法】 葛澱粉ゲルの調製は、開放系「煮詰め法」により行い、本葛澱粉40g、加水量400gとし、ショ糖は無添加(0g)、10g(ショ糖濃度2.2%)、20g(4.4%)、30g(6.4%)である。ゴマ油は無添加(0g)、5g(ゴマ油濃度1.1%)、10g(2.2%)、15g(3.3%)添加し、攪拌した試料を直径20mm、高さ20mmのテフロン製円筒リングに流し入れ、上下をガラス板で密閉し、10℃で保存後破断測定、クリープを測定し、調製後5日間のコンプライアンス値の経時変化を測定した。官能検査はSD法及び順位法を用いた。
    【結果及び考察】 瞬間弾性率(E₀)は、ショ糖及びゴマ油添加量の増加に伴い低下した。全試料のコンプライアンス値は、貯蔵日数に伴い低下した。ショ糖含有試料は、ゴマ油添加の増加に伴って老化しにくくなった。破断測定結果から、全ての試料が延性破断を示した。破断応力と破断歪率はショ糖添加により増大し、ゴマ油添加により低下した。ショ糖の保水性によりゲルを安定化させ壊れにくくし、ゴマ油の疎水性によりゲルの内部結合力を弱め、軟らかくなると考えられ、ゴマ油添加により老化しにくい傾向がみられた。ショ糖よりもゴマ油添加の方が老化抑制への影響が大きいと考えられた。官能検査結果から、ショ糖及びゴマ油の添加は、粘り、口当たりのなめらかさにおいて高く評価された。
  • 菱田 瞳, 安藤 真美, 門上 剛, 白坂 直輝, 北尾 悟
    セッションID: 2B-a3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】ホスホリパーゼA2(PLA2)は、卵黄に多く含まれるレシチンなどグリセロリン脂質のグリセロール2位のエステル結合を加水分解し、遊離脂肪酸とリゾリン脂質を生成させ、耐熱安定性、乳化性および起泡性の改善などが期待できる。先に検討したカスタードクリームでは、酵素処理卵黄を使用した場合、冷凍耐性の向上などの利点が明らかとなったが、遊離脂肪酸の影響による苦味が残るため官能評価では必ずしも好まれる結果が得られなかった。今回は、苦味による影響を低くするために高温で焼成するスポンジケーキを対象に、酵素処理の有無による比較検討を行った。
    【方法】Streptomyces属起源の食品添加物として認可を受けたPLA2を使用した。無改質、分解率50%、分解率80%の3種類の卵黄を用いて170℃、25分の条件で作製したスポンジケーキを測定試料とした。さらに生地を調製後1週間冷凍し焼成(以下A)、および卵黄のみを1週間冷凍し解凍後生地調製・焼成(以下B)した場合も検討した。焼成後、高さや比容積などを測定し、物性測定はクリープメーターを用いた。官能検査は評点法にて実施した。
    【結果】酵素処理卵黄を用いた場合、分解率に関わらず高さおよび比容積が有意に高く破断エネルギーは有意に低かった。官能検査では、「苦味」は無処理卵黄を用いた場合と差がなく、かつ分解率が上がるほど有意に「甘く」感じられることが認められた。A条件でも同様の結果が得られたが、B条件では高さおよび比容積以外有意差は認められなかった。以上の結果からPLA2処理卵黄を用いたスポンジケーキは、生地を冷凍保存してもボリュームアップ効果や食感・食味の向上が期待できると考えられた。
  • 山内 彩子, 大久 長範
    セッションID: 2B-a4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】餅・団子等の米粉ゲルは時間経過と共にデンプンの老化により硬くなる傾向がある。一般的に硬化を抑制する方法として糖類や酵素を添加する等の方法が知られている。本研究では、米粉ゲルの硬化抑制技術を見出すことを目的とし、米粉から作る餡である米餡を形成する方法を利用して米粉ゲル様の組成物を作製し、硬化の進行の度合いを米粉ゲルと比較した。そして米餡の餅製品へ応用が可能であるかを検討した。
    【方法】糯米のみやこがねもち、粳米のひとめぼれ、低アミロース米のたきたて、LGCソフト、ゆきむすび、淡雪こまち、ミルキープリンセス、ミルキークイーンの8品種をミルで粉砕し、60メッシュの篩を通過した米粉を供試した。米粉濃度40%(w/w)に調製し加熱した(100℃,1h)米粉ゲル、この米粉ゲルに糖類を添加した糖類添加米粉ゲル、米粉と糖を混合して加水し加熱した(80℃,2h)米餡を作製した。糖類添加米粉ゲルにはマルトース、トレハロース、ショ糖を使用し、米餡にはマルトースを使用した。調製した米粉ゲル、糖類添加米粉ゲルおよび米餡を低温保存し、テクスチュロメーターの1バイト測定により、硬さの経時変化を測定した。
    【結果】米粉ゲルの硬さを品種間で比較すると、8品種の中ではひとめぼれ(粳米)が最も硬く、他の7品種はひとめぼれの硬さの値の2/3以下となった。糖類を添加した場合、マルトースおよびトレハロースは硬化を抑制する効果が見られ、ショ糖は効果が少なかった。米餡においては最も硬化が抑制されており、ほぼ同量のマルトースを添加した米粉ゲルと比較して硬さの値が低く抑えられた。
  • 土屋 京子, 早川 佳奈子, 成田 亮子, 峯木 眞知子
    セッションID: 2B-a5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    [目的] 近年環境及び資源の利用に伴い、米粉を利用した加工品が開発されている。日本人には身近な米粉製品には、独特の匂いや老化が早いこと、また、小麦粉製品と比較すると、膨化率の低下が見られる等の問題点がある。一般に団子調理では、テクスチャー改良や老化抑制の目的でもち米粉を混合していることに着眼し、もち米粉を添加した米粉ケーキを調製し、その影響について検討する。[方法] 粒度分布のわかっているうるち米粉と粒度の異なるもち米粉(粗・微)を用い、オールインミックス法により、米粉ケーキを調製した。ケーキの配合は、米粉(群馬製粉)100g、鶏卵100g、上白糖(三井製糖)100g、マーガリン(不二製油)100gで調製し、160℃、28分で焼成した。もち米粉の添加量は0,10,20%とし、保存条件は1,7日間とした。焼成した米粉ケーキについて、重量・体積を計測して比体積を求め、色度やテクスチャーを測定し、官能評価を行った。 [結果] もち米粉の添加は、含有量・粒度の差異にかかわらず、ケーキの比体積に影響はなかった。ケーキの色度では、もち米粉の添加量に伴い、L*値は低下し、a*値は赤味が増した。粒度の差異をみると、10%添加試料では色の変化は見られなかったが、20%添加では粗粒の方がa*値は高い傾向を示した。もち米粉を添加した試料では、凝集性及び付着性は高くなる傾向を示した。粗粒のもち米粉添加試料では20%試料が10%より硬さ応力は高い傾向を示した。粒度の差異によるテクスチャー特性を比較すると、凝集性は粗粒の試料が高い傾向を示した。7日間保存した試料はもち米粉の添加量にかかわらず、硬さ応力及び凝集性は低下の傾向を、もろさ応力は高くなる傾向を示した。
  • 露久保 美夏, 大倉 哲也, 香西 みどり
    セッションID: 2B-a6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/25
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    【目的】炊飯中の還元糖増加に寄与するデンプン分解酵素について,演者らはコシヒカリにおける米粒内局在や炊飯中の溶出挙動を報告した。本研究では,異なる品種の米における酵素の局在と溶出挙動を明らかにし,品種間の比較および炊飯過程における糖生成機構について総合的な考察を行うことを目的とした。
    【方法】試料米には平成17年度滋賀県産日本晴および平成21年度滋賀県産羽二重糯を用いた。局在の解析は,試料米より5画分 (玄米全体,搗精部位層100-90 %,90-80 %,80-70 %,70-0 %) の米粉を調製し,50 mM PBSとTCAにてタンパク質を沈殿・回収して粗酵素液を調製後,各種デンプン分解酵素に対する特異的抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った。溶出挙動の解析は,歩留まり90 %に搗精した試料米に加水し,20℃で1時間浸漬後,および加熱開始後40℃,60℃に達した時点で米粒と炊飯液を分け,各々から粗酵素液を調製後,同様の抗体にてウエスタンブロッティングを行った。
    【結果】酵素の米粒内局在および炊飯中の炊飯液への溶出挙動は品種によって異なっており,これは粳種と糯種の違いによるものと,その他の要因によるものとが示唆された。得られた結果から炊飯中の糖生成機構を総合的に考察したところ,炊飯中の還元糖の増加は主にα-グルコシダーゼやプルラナーゼの作用によるものと考えられた。また,従来明らかにされていなかった炊飯液中での糖量増加に関し,酵素は炊飯液中へ溶出しているものの糖量増加にはほとんど寄与しておらず,米粒内で生成した糖が元々米粒内に存在する糖とともに溶出することによって増加するものであることが明らかとなった。
  • 綾部 園子, 平方 千裕, 武田 明日香, 藤間 美咲
    セッションID: 2B-p1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】米の需要拡大を目指して、米を用いた各種パンの製法が検討されている。微細な米粉を用いる方法と米を穀粒のまま用いる方法に大別されるが、家庭では精白米粒を用いる方法が受け入れやすく、その中で、米をペーストにする製法(米ペーストパン)と炊飯米を用いる製法(ご飯パン)が実践しやすい方法であろう。そこで、2法によりパンを調製して、物性および嗜好性を検討し、特徴とその要因について検討した。<BR>【方法】通常のパン(食パン)の配合に対し、小麦粉の30%を米ペースト、炊飯米または米粉(米粉パン)に置換して自動ホームベーカリー(SD-BH103、Panasonic)を用いてパンを調製した。製品の比容積、水分量、物性(TPU-2、山電)、色、全糖(フェノール硫酸法)と還元糖(ソモギ・ネルソン法)を測定し、官能評価(評点法)を行った。<BR>【結果】パンの比容積と高さは食パン>米ペーストパン>ご飯パン>米粉パンの順、水分はご飯パン>米粉パン=米ペーストパン=食パンの順となり、米を置換したパンは、色が白く、水分が多く、比容積の小さいパンであった。物性測定の結果、硬さはいずれのパンでも差がなく、凝集性はご飯パンと米ペーストパンで小さかった。官能評価の結果、ご飯パンは甘く、しっとり感ともちもとした弾力があり、総合的に好まれた。甘味の違いを明らかにするために、パンの糖量を測定したところ、全糖量はご飯パンが有意に多かったが、還元糖量には有意の差がなかった。ご飯パンでは炊飯中に生成したグルコースがイースト発酵時に優先的に利用され、結果的にスクロースの残存量が多なり、甘いパンとなったことが示唆された。
  • 深井 康子
    セッションID: 2B-p2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    [目的]市販米粉は、産地や製粉方法等、消費者が再現性のある製品を作るために必要な情報がほとんど表示されていない。そのため米粉加工製品の出来上がりのおいしさに差が生じ、常に再現性のある高品質な製品を作ることが難しい。そこで米の品質が明らかな米を用い、その米をペースト状に調製し、調理・加工が可能な新規な製造技術マニュアル化を行い、そのおいしさ評価法の確立を目的とする。
    [方法] 試料の平成23年富山県産古代米は、搗精歩合を玄米、3分、5分、7分とし、抗酸化性、吸水率、色度を測定した。ペーストは、20℃24時間浸漬後の試料をフードプロセッサーで撹拌し調製した。ペーストおよびそれにコンニャクグルコマンナン(KG)添加試料について粘度およびアミログラフを測定し、糊化特性を求めた。ペーストを基にしてグルテン無添加パンおよび麺を調製し、そのおいしさは官能評価により評価した。
    [結果]米の吸水率は、浸漬4時間で赤米より黒米が4~6%高く吸水し、しかも玄米・3分は5分・白米より吸水率が高いことから糠層を無駄にしない抗酸化力の強い玄米での加工利用が可能なことが示唆された。アミログラフによる糊化温度では、KG添加により開始温度が低くなった。つまり無添加より糊化が早く始まり、最高粘度も高く、最終粘度は搗精度に関わらず310~360B.U.を示し、ブレークダウンも20B.U.で小さく、KG添加で老化抑制効果が認められた。ペーストの活用は、今までの調理加工に新たな高品質製品を生み出し、より広範囲な製品開発に応用できる。
  • 小河 拓也, 澤田 富雄, 永井 耕介
    セッションID: 2B-p3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    目的】兵庫県では環境創造型農法の一環として「コウノトリ育む農法」を推進している。技術的課題の一つとしても良食味化があげられているが、本農法がコメの食味におよぼす影響については不明であることから、3カ年間コメの食味に関する成分を調査した結果を報告する。【材料および方法】1)調査年度:2009~2011年(3カ年)2)調査ほ場:兵庫県豊岡市・朝来市「コウノトリ育む農法」無農薬栽培、減農薬栽培および慣行ほ場3)品種:コシヒカリ4)調査方法:タイプ別実証ほ場において収穫適期に各ほ場2ヶ所より試料を収穫し、収量構成要素、水分、タンパク質、脂質、灰分、炭水化物、アミロース等を分析した。【結果】灰分、脂質およびアミロースは栽培による差が小さく、タンパク質含有率は差が大きかった。タンパク質含有率が高いコメは炭水化物含有率が低かった。無農薬栽培ほ場は炭水化物収量が少ない傾向がみられた。各栽培タイプの平均タンパク質含有率は無農薬(2009年:6.3%、2010年6.2%、2011年5.9%)、減農薬(2009年:6.2%、2010年6.1%、2011年5.8%)、および慣行(2009年:5.6%、2010年6.1%、2011年6.3%)であり、全体的に含有率は低かった。無農薬と減農薬は3年間の経過として減少傾向であった。タンパク質含有率が6.5%を超えるサンプルの割合は無農薬(2009年23.7%、2010年30.0%、2011年17.7%)は減農薬(2009年18.8%、2010年25.0%、2011年0%)および慣行(2009年0%、2010年33.3%、2011年12.5%)と比べ高く、含有率が7%を超えるサンプルも3年間を通してみられた。各栽培タイプにおいて収量45kg/a以下では平均のタンパク質含有率が高く、7%以上の割合も高かった。また、無農薬タイプにおいては登熟歩合の低下によるタンパク質含有率の増加がみられた。
  • 大坂 佳保里, 蓮沼 良一, チェン メイ フェイ, 青木 正敏, 福永 淑子, 高橋 良佳
    セッションID: 2B-p4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】米粉は様々な調理分野において利用されているが、乾式製粉法では米粉を微粒子化するための設備が高額で、米粉の値段も高い。しかしタイ、台湾の水挽き製粉法を利用すると、安価な微粒子米粉を製造することができる。著者らは水挽きに先だって浸漬する水温(5℃、10℃、15℃、25℃)により、製造できる米粉の微粒子径を制御できることを明らかにしている(2011年発表)。本研究では、日本米の浸水温度を同様に4段階に設定し、その粒度分布を詳細に調べるとともに、これを日本で販売されている微粒径乾式製粉米粉、タイおよび台湾の米粉の粒度分布と比べることを目的とした。さらに米粉の製品に関わる米粉の損傷度合などについての特性を明らかにすることも目的とした。
    【方法】まず、日本米を上記4種類の水温の水に12時間に浸漬した後、水挽き法により製粉し、水分を赤外線水分計によって12%前後に調整した。次いで、4種類の浸水温度の米を水挽きした日本米粉と一般に市販されている日本の乾式微細米粉、タイ米粉と台湾の米粉との粒度分布をレーザー回折式粒度分布機と測色色差計で測定した。さらに、米粉のデンプン粒の損傷状態を調べた。
    【結果】5℃の米粉の粒度分布ではもっとも細かい粒径が得られ、メジアン径は18μmであった。米粉のメジアン径は水温が高いほど粗くなり、25℃の場合は64μmであった。タイの米粉は37μm、台湾米粉は18μmであった。色相については浸漬水温の差は認められなかった。デンプン粒の損傷状態によって生地の様子は異なり、低温の浸漬水温の米粉ほどコシの強い米麺ができることが明かになった。 
  • 藤田 修三, 矢本 美香, 幾田 実希, 駒延 菜月, 土谷 みなみ
    セッションID: 2B-p5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    演者らは、もち小麦の食品機能性および調理加工性の研究を行っている。研究過程で、もち小麦は老化しにくいこともあり小麦の炊飯に関心を寄せ、ラボ内で炊飯してみたところ、粒食が可能性がおおいに示唆された。しかし種皮が硬いため精麦する必要があるが既製の精麦器でとう精できることも明らかにした。本発表では、炊飯の条件、他の小麦品種との比較食味調査、もち小麦粒食のグリセミック指数(GI)について検討したので報告する。【方法】実験材料は、青森県で収穫された平成23年産もち小麦(もち姫)を用いた。炊飯は、通常の炊飯器(NS-UB05、象印(株))を準備し、浸漬時間、加水量を変えて炊飯条件の検討を行った。比較食味調査には、もち小麦以外に、きたかみこむぎ(菓子用小麦)、ゆきちから(麺用小麦)の3種類とし、同じ規格の炊飯器で同時に炊きあげ、20分間保温後、シェッフェの一対比較法で食味実験を行った。グリセミック指数(GI)は、実験材料を通常の米飯(サトウの御飯)ともち小麦飯とし、ISO26642(GIの測定と食品への分類応用)に準じて操作手順通りに実施した。なおISO26642では基準物質はブドウ糖である。【結果】現段階での炊飯条件は、4分つきもち小麦(150g)を洗麦し、水を切った後、210gを加水し30分間15℃で浸漬し、精白米と同様の条件で炊飯すれば適切な仕上がりとなった。今後、最適条件を求めてさらに検討を行う。比較食味試験については、もち小麦がきたかみこむぎ、ゆきちからに比べて評価が高かった。炊飯後、1時間20℃放置後のそしゃく試験(TPU-2C、山電(株))でも軟らかさが同じ結果であり、食味試験結果を裏づけられた。GIについては、もち小麦のGIが普通米より有意に低いことが示された。
  • 村上 崇幸, 井上 淳詞, 長沢 規史, 村瀬 昇, 崎村 祥太郎, 千田 昇平, 和田 律子, 原田 和樹
    セッションID: 2C-a1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】海藻は旨味成分を多く含むなど日本料理には欠かせない素材であり、最近ではフコキサンチンやフロロタンニン類などの抗酸化成分が見出され注目されている。褐藻綱カジメ科に属する海藻は適度な温度、時間で加熱するとワカメのように鮮やかな緑色を呈し、かつ強い粘りが出ることから、特定の地域では好んで食されるなど新たな献立を提案できる食材でもある。我々はこのカジメ類について他の海藻には見られないほど高い抗酸化活性(ORAC値)を示すことを見出したことから、この高い抗酸化性を活かした調理法を提案するため、加熱温度・時間の違いによる色調、粘り成分、その他有効成分の変化について検討した。
    【方法】市販の海藻類のうち褐藻綱カジメ科に属するアラメとクロメの他、カジメ科以外のコンブ類の1種、ワカメ、ヒジキ、アカモク、クロモの藻体、及びワカメの胞子葉(めかぶ)を原料に用いた。またクロメについては島根県浜田市沖で採取した後、50℃、8時間乾燥した物も併せて検討した。ORAC値はAAPH溶液からペルオキシラジカルを発生させ、それによって分解される蛍光をベルトールド社製Mithras LB940プレートリーダを用いて測定し、既知の標準物質Troloxに対する相対値として求めた。
    【結果】今回測定したカジメ類のORAC値は29,561 μmolTE/100gであり、他の海藻類の約10倍も高い値を示したことから、機能性素材としての有用性を確認できた。また70、75、80、85、90、95℃と異なる温度で加熱をした結果、1分間の加熱ではいずれの温度でも鮮やかな緑色を呈したが、5分間の加熱では70、75℃のみが緑色に呈し、80℃以上の加熱では全て褐変した。
  • イソフラボン類の挙動
    近藤(比江森) 美樹, 永易 あゆ子
    セッションID: 2C-a2
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    [目的] これまで、黒大豆の種皮に存在する色素成分であるシアニジン 3-グルコシド(C3G)に着目し、黒大豆の抗酸化能に及ぼす調理の影響を検討してきた。しかし、黒大豆の抗酸化能は種皮由来成分に加えて、胚乳に存在する成分の関与が強く示唆された。そこで、今回は、胚乳に含まれるイソフラボン類の挙動と抗酸化能について検討した。
    [方法] 黒大豆は2009年の岡山県産の丹波黒とし、対照には黄大豆のサチユタカを用いた。大豆100 gを水400 mLに添加物(鉄釘、重曹、鉄釘と重曹の併用)とともに8時間浸漬した後、圧力鍋(60 kPa)を用いて加圧3分、蒸らし10分の条件で調理し、一晩室温で放置することにより煮汁を含ませた。煮豆を凍結乾燥して粉砕後、酸性エタノールによる抽出液を濃縮し、測定試料とした。試料中のイソフラボン類(6”‐O‐マロニルダイジン、6”‐O‐マロニルゲニスチン、ダイジン、ゲニスチン、グリシチン、ダイゼイン、ゲニステイン)をHPLC-PADにより定量した。抗酸化能は、活性酸素消去能(ORAC)により検討した。
    [結果及び考察] 調理により、ダイゼインおよびゲニステインを基本骨格とするマロニル配糖体は有意に減少し、配糖体ならびにアグリコンが増加したが、総量に有意な差は認められなかった。一方、抗酸化能は調理後にも維持され、鉄釘の存在下で有意に高い値を示した。イソフラボンの標準品のORAC値はアグリコンで有意に高値を示した。各成分の含有量と標準品のORAC値から求めた抗酸化能への寄与率は、イソフラボン類が約55 %、C3Gおよびその分解物が約5%、その他成分が40%であった。これらの結果から、調理過程でイソフラボンの組成は変化するが総量に変化は無く、イソフラボン含量が抗酸化能に大きく起因することが明らかになった。
  • 飯島 久美子, 香西 みどり
    セッションID: 2C-a3
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    目的 ハッショウマメはムクナ属マメの一種であり、多収穫でL-DOPAを約4%含有するという特徴があるため、L-DOPAは通常は調理による除去がのぞましい。これまで煮物、餡やきな粉などを調製し、調理操作によりL-DOPA量を制御できることを明らかにした。本研究では発酵食品に着目し、ハッショウマメを用いた味噌を調製してL-DOPA量の変化や嗜好性を把握し、ハッショウマメの味噌への利用可能性を明らかにすることを目的とした。
    方法 試料はハッショウマメと大豆を用い、米麹辛口味噌(塩分濃度12%,豆10:麹7)、米麹甘口味噌(塩分濃度9%,豆10:麹15)と麦麹甘口味噌(塩分濃度9%,豆10:麹15)の3種類の味噌を調製した。味噌の一般分析法に準じ、味噌浸出液については食塩濃度、水溶性窒素、直接還元糖を、味噌そのものについては水分、測色(Y% x, y)、pH、酸度I・II、全窒素を経時的に0,1,2,4,8,12,16,21,26週目まで測定した。L-DOPAの測定はハッショウマメ味噌について行い、合わせて嗜好性について官能評価を行った。
    結果 ハッショウマメで調製した味噌のL-DOPA量は麹量により異なるが味噌仕込み直後には0.15~0.26 g /(100g味噌)残存していたが、熟成2~3か月後にL-DOPAは検出されなくなった。味噌の色は、熟成3か月後まではハッショウマメ味噌のほうが濃かったが、熟成5か月以降米麹辛口で大豆味噌のほうが濃くなった。これは辛口大豆味噌のタンパク質量が多いためアミノカルボニル反応により褐変が進んだものと考えられる。ハッショウマメ味噌は大豆味噌より、酸度I・IIが低く、緩衝能が低いことが分かった。官能評価によりハッショウマメ味噌は大豆味噌より香りが穏やかで塩味を感じやすい傾向があり、味噌として好ましいと評価された。
  • 鈴木 栄貴
    セッションID: 2C-a4
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    【目的】大根の乾物である切干大根は近年健康食品として評価されている。著者らは農水産物に光(UV-A、青)を照射すると旨味成分である遊離アミノ酸が増加することを報告している。この研究結果を元に、光照射を行う光源を用いた機械乾燥が天日で乾燥したものと遜色がないかを検討するため、大根を様々の光を照射して乾燥して切干大根を製造し、遊離アミノ酸、GABA、抗酸化性および色彩を測定した。【方法】実験材料として、愛知県知多半島で栽培された大根を使用し、それぞれUV-A、青、非照射の3つ分けて2日間光源付き乾燥器で乾燥させ、天日干し切干大根と比較した。乾燥させた大根は前処理を行い、高速液体クロマトグラフィーで遊離アミノ酸量とGABAの分析を行い、抗酸化性は分光光度計を用いて測定した。【結果】分析の結果、遊離アミノ酸・GABA共に光照射乾燥した大根の方が増加しており、各アミノ酸では旨味成分であるグルタミン酸、甘味成分であるプロリン、苦味成分であるバリンが増加した。遊離アミノ酸総量は平均で、非照射に比べて天日干しが1.37倍、UV-A照射が1.33倍、青照射が1.09倍と増加した。GABAも非照射に比べ天日干しが2.64倍、UV-A照射が2.64倍、青照射が2.82倍増加した。このことから天日干し切干大根のおいしさはUV-Aのような太陽の波長の短い光の効果であることが判明した。
  • 青木 秀敏, 大浦 和也, 和田 大輔, 田口 洋輔, 平野 勉央
    セッションID: 2C-a5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/24
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    [目的]収穫後の野菜は一般的に低温で貯蔵されるが、野菜の生理活性が断続しているため、日数が経過するにしたがって栄養価が低下し、品質が劣化してしまう問題がある。そのため、野菜の貯蔵には温度や湿度を調整するCA貯蔵で鮮度保持を行っている。本研究では、温度、湿度に合わせて光照射を行うことによって鮮度保持ができるのではないかと考え、野菜の低温貯蔵中に種々の波長の光を照射し、食品の品質を維持もしくは向上させる可能性を検討した。
    [方法] 実験材料として、抗酸化性物質を多く含み、低温貯蔵が適しているホウレンソウとシソを用いた。供試材料を市販の鮮度保持フィルムで密封して包装し、大型冷蔵庫(縦3m×横3m×高さ2.5m)の48時間貯蔵した。冷蔵庫の設定温度を5℃、10℃、光照射はUV-A(ピーク波長nm)、青(450nm)、緑(550nm)
    、赤650 nm)、非照射の5つの条件下で行った。測定項目は重量減少率、クロロフィル含量、アスコルビン酸含量、DPPHラジカル消去能とした。
    [結果] クロロフィル含量は光の種類によって顕著な差が認められなかった。重量減少率に関しては、青色照射の試料の重量が14%と大きく減少した。アスコルビン酸については、1日目は光照射によって、赤照射1.25倍~青照射1.75
    倍増加した。赤色と青色については、光合成によってアスコルビン酸の合成が促進したと考えられる。抗酸化性も青、緑、赤を照射した場合は非照射に比べ1.0~1.5倍増加した。これらの結果から、出荷後の野菜に光照射することで品質を保ったまま、さらに栄養価の高い野菜を流通させることが可能になる。

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