日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-9
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ポスター発表
紫黒米「ゆかりの舞」玄米飯の色調,物性および抗酸化性に及ぼす有機酸の影響
*岸本 律子長谷川 悦子中嶋 加代子小幡 真理子森 光寿地上 博子
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抄録
【目的】紫黒米「ゆかりの舞」は兵庫県立農業水産技術総合センターで育成されたウルチ品種の色素米である。ゆかりの舞玄米の種皮およびヌカ層に大量に含まれる色素アントシアニンは, 抗酸化作用を有し, 視力改善や老化防止などの生理的機能性成分として注目されている。アントシアニンはpHによって呈する色が変化する。演者らは, 紫黒米「むらさきの舞」に有機酸を添加して炊飯すると, 赤色が強く鮮やかになり, 米粒が軟らかくなることを見出した。本研究では、数種の有機酸を用いて, 「ゆかりの舞」玄米飯を調製し, 玄米飯の色調, 物性および抗酸化活性の変化について検討した。
【方法】「ゆかりの舞」の一般成分およびアントシアニン量の測定は日本食品分析センターに依頼した。玄米飯の調製は, 玄米150gを洗浄した後, 16時間蒸留水に浸漬後, 有機酸(酢酸, クエン酸, コハク酸)を添加した炊飯溶液を加え, 全量を480g, 最終有機酸濃度を0.1Mとして, 家庭用電気炊飯器で炊飯した。玄米飯の水分含量は赤外線水分計により, 色差は測色色差計により測定し, テクスチャーと米粒の破断強度はクリープメーターで解析した。抗酸化活性はDPPH法で測定した。
【結果および考察】「ゆかりの舞」玄米のアントシアニン含量は, シアニジン-3-グルコシドとして0.14g/100gで, 炊飯後の残存率は有機酸により異なった。玄米飯のかたさ応力は, 酢酸添加は蒸留水よりも高く, 凝集性はすべての有機酸添加で低下し, 付着性は酢酸およびクエン酸添加で上昇した。玄米飯には抗酸化活性が認められ, アントシアニン量の多い飯ほど高い値を示した。
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© 2012 日本調理科学会
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