抄録
【目的】
本研究ではアオサの機能性成分を生かし、かつ嗜好的にも好まれるアオサ添加パンの開発を試みた。乾燥アオサ粉末を1%、2%、3%添加したパンを調整して、アオサの添加量がパンの物性と嗜好性に及ぼす影響について検討した。
【方法】
三河湾産アオサを250μmの粉末にした。これを1%、2%、3%添加した食パンを試料とし、対照としてアオサ無添加パンを用いた(対照パン)。各試料は菜種置換法で比容積を、クリープメーターの設定を荷重2×10N、歪み率50%、使用プランジャーNo.3でテクスチャーを測定した。色差計でL*、a*およびb*値を測定した。官能評価は、パネル20名(32.6±14.3歳)を対象に5点尺度の評点法による分析型評価と順位法による嗜好型評価を行った。得られた結果は多重比較(Tukey-Kramer法)と順位法はNewel & MacFarlane法で解析した。統計的有意水準は5%以下で示した。
【結果】
比容積では2%と3%のパンが有意に対照パンより低下し、アオサの添加による膨化の阻害を認めた。テクスチャーのかたさ荷重と凝集性では、2%と3%のパンが有意に対照パンより硬く、凝集性は低かった。色調では、アオサの添加量増加に伴い対象パンより有意に明度が低く、緑色が濃く、黄色みが濃くなった。官能評価の評点法で最も評価が高かったのは対照パンで次に1%パンであった。順位法では1%パンが最も有意に好まれた。対象パンと1%パンの間に有意差は認められなかったが、2%と3%では有意に対照パンより好まれなかった。したがって、アオサ1%添加パンは対象パンと同等の硬さと凝集性を有し、最も嗜好性において好まれるパンであることが明らかになった。