日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-a6
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口頭発表
マッシュポテトの食塊形成に及ぼす油脂の影響について
*大須賀 彰子岩崎 裕子高橋 智子大越 ひろ
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抄録
【目的】ヒトはペースト状の食品を口腔内に取り入れると、舌と硬口蓋で咀嚼しながら、唾液と混合し、飲み込みやすい食塊を形成している。本研究では、マッシュポテトの一部を水および異なる融点をもつ3種の油脂で置換した試料を喫食し、形成された食塊について、テクスチャー特性と摩擦特性の測定及び顕微鏡観察を行い、マッシュポテトの食塊形成に及ぼす油脂の影響を検討した。
【方法】マッシュポテトはポテトフレークに3倍量の温水を加え、調製した。マッシュポテトに加える副材料は常温(20℃)で液体状の水とサラダ油、固体状はキャノーラ油を固形状に加工した固形脂F及び固形脂S(ショートニング)の4種とし、マッシュポテトの10%を各々置換したものを試料とした。調整したマッシュポテト試料(20℃)を5gずつ自由に咀嚼してもらい、嚥下開始直前に吐き出したものを食塊試料とし、10回分を収集し、ケース内で均一に混合したものを測定用食塊試料として用いた。マッシュポテト試料を口腔内に入れてから食塊形成までの咀嚼回数、咀嚼時間及び食塊の温度を求めた。また、食塊の力学的特性として、テクスチャー特性と摩擦特性の測定を行った。併せて、食塊の油脂の分散状態をみるために顕微鏡観察を行った。
【結果】咀嚼回数と咀嚼時間は液体状置換試料が固体状置換試料に比べて、有意に低値を示した。食塊の温度はいずれの試料も30℃前後を示した。食塊のテクスチャー特性の硬さと付着性は液体系置換試料が固体状置換試料に比べて、有意に低値を示し、摩擦特性の初期摩擦力と平均摩擦力も同様の傾向を示した。食塊の油脂の分散状態は液状油置換試料と固体状置換試料では異なり、固体状置換試料では分離した油脂が確認された。
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© 2012 日本調理科学会
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