抄録
食パンの物性と食味に及ぼす米粉の種類の影響
○宮地洋子1)、齊藤寛子1)
1)県立米沢女子短大
【目的】現在、米の消費拡大が図られ、米粉の洋菓子や各種パンへの利用が増している。米粉の製パンへの利用の多くはうるち米であり、これまでうるち米の米粉を用いたパンの報告はあるが、他の種類の米を用いた報告は少ない。そこで本研究において、もち米や他品種の米粉を用いて食パンを調製し、テクスチャーに及ぼす影響について検討した。【方法】米の種類は山形県産米のはえむき(うるち米)、ヒメノモチ(もち米)、越しのかおり(高アミロース米)、インディカ米とし、乾式気流粉砕法で製粉して用いた(200メッシュ)。食パンの小麦粉のうち30%を各種米粉で代替し、副材料として砂糖、無塩バター、スキムミルク、塩、ドライイースト、蒸留水を添加してホームベーカリーを用いて焼成した。各種パンの比容積、水分含量、色差、テクスチャーを測定した。さらに食パンの形状及び断面の観察を行った。併せて官能評価を行った。対照として100%小麦食パンの測定を行った。【結果】小麦粉の30%を代替することで、米粉食パンの体積、比容積の低下が認められたが、このうちヒメノモチは対照と同程度であった。水分含量はいずれの米粉食パンも対照より低値を示し、色差測定では、米粉食パンのL*値が増加し、a*値は減少し、b*値はあまり差が認められず、インディカ米と越しのかおりの米粉食パンの色差が大であった。テクスチャー測定では、インディカ、越しのかおり、はえぬきの米粉食パンは硬さともろさが対照パンより高く、これに対してヒメノモチは低く、凝集性は最も高値であった。官能評価において、ヒメノモチが甘さ、きめ、焼き色、硬さの項目で最も高く評価され、インディカは香りが強く硬い、越しのかおりは硬くパサつくとして評価が低かった。