日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2P-62
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ポスター発表2日目
鶏卵の起泡性からみたケーキの膨化と食味特性
*時藤 亜衣三成 由美吉岡 慶子
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抄録

【目的】  ケーキの膨化は調製時に用いる鶏卵と小麦粉の気孔構造に影響を及ぼし、膨化率をはじめ、食感、食味や色調など、ケーキの性状を左右することが考えられる。本研究ではスポンジケーキおよびシフォンケーキを調製し、膨化率の算出、気孔構造の観察、物性測定および官能評価を行い、鶏卵の起泡性がケーキの食感および食味に及ぼす影響を検討した。【方法】  ケーキの調製は鶏卵A:ヨード強化鶏卵、B:白色レグホーン鶏卵を用いた。スポンジケーキの配合割合は薄力粉:上白糖:鶏卵=1:1:1とした(スポンジケーキA、B)。シフォンケーキの配合割合は、薄力粉1に対して、卵黄0.7、卵白2.2、上白糖0.9、サラダ油0.4、水0.5とした(シフォンケーキA、B)。各々ケーキの膨化率(菜種法)、電子顕微鏡による気孔構造観察、表皮および内相の測色、物性測定および官能評価を行った。【結果および考察】スポンジケーキの気孔構造は、Aは連続した気孔がみられ、気孔壁に小孔が認められたことに対し、Bでは部分的に気孔の亀裂が認められた。シフォンケーキの内相の色相では、明度はAの方が若干高く、黄の度合が高値を示し、A、 B間の色差は3.77であった。テクスチャー特性のかたさは、スポンジケーキではAの方がBよりも低い値を示したが、シフォンケーキではAの方が高い値を示した。官能評価は両ケーキ共に、風味、味の項目でAの方が高く評価され (p<0.05)、特に、シフォンケーキでは総合評価と最も高い相関関係を示した (r=0.728)。さらに、シフォンケーキAの方がBよりも弾力があるとされ、鶏卵Aの安定した起泡性が影響したものと考えられた。

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© 2013 日本調理科学会
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