抄録
【目的】 エストロゲンは女性の生殖機能調節をはじめ様々な重要な役割を担う。大豆に多く含まれるイソフラボンはエストロゲン受容体に結合し、女性ホルモン様作用を示すことから、乳がんの予防や更年期障害の緩和などの効果が期待さ【目的】 エストロゲンは女性の生殖機能調節をはじめ様々な重要な役割を担う。大豆に多く含まれるイソフラボンはエストロゲン受容体に結合し、女性ホルモン様作用を示すことから、乳がんの予防や更年期障害の緩和などの効果が期待されている。 私たちが食品から摂取している大豆イソフラボンは主にダイゼインなどで腸内細菌によって代謝を受ける。ダイゼインはエクオールまたはO-DMA (O-デスメチルアンゴレンシン) へと最終的に変換され、エクオールは女性ホルモン作用を、一方のO-DMAは、逆の作用を示す。今回は大豆食品摂取後のイソフラボン代謝と腸内細菌について、ミニスケールでの解析を行った。 【方法】 研究室内において13名のイソフラボン代謝細菌の有無を調べた。納豆1パック食後36時間経過した尿をβグルコシダーゼで処理し酢酸エチルで抽出し薄層クロマトグラフィーにてその代謝産物を明らかにした。うち0-DMA生産能を有する腸内細菌を有する者のうち1人分の糞便をGAMブイヨン培地に植菌し嫌気にて培養し適宜希釈後、0-DMA生産能を有する単一の個体にした後DNAを抽出し菌の属レベルで特定した。 【結果】 13名中エクオール産生菌を有した者が2名、O-DMA産生菌を有した者が10名であり、うち両方を所有するものが1名であった。このデータは、成人においてO-DMA産生菌所有者が8割程度、エクオール産生菌所有者が3~4割程度という情報からも支持できる。また報告されている産生菌についての系統は様々であるが今回新たにスクリーニングした菌については既報のものと同属であった。今後このデータを基に更に大豆食と腸内細菌の関係を明らかにしていく。れている。 私たちが食品から摂取している大豆イソフラボンは主にダイゼインなどで腸内細菌によって代謝を受ける。ダイゼインはエクオールまたはO-DMA (O-デスメチルアンゴレンシン) へと最終的に変換され、エクオールは女性ホルモン作用を、一方のO-DMAは、逆の作用を示す。今回は大豆食品摂取後のイソフラボン代謝と腸内細菌について、ミニスケールでの解析を行った。 【方法】 研究室内において13名のイソフラボン代謝細菌の有無を調べた。納豆1パック食後36時間経過した尿をβグルコシダーゼで処理し酢酸エチルで抽出し薄層クロマトグラフィーにてその代謝産物を明らかにした。うち0-DMA生産能を有する腸内細菌を有する者のうち1人分の糞便をGAMブイヨン培地に植菌し嫌気にて培養し適宜希釈後、0-DMA生産能を有する単一の個体にした後、DNAを抽出し属を特定した。また、既報であるエクオール産生微生物については、その代謝メカニズムを明らかにした。 【結果】 13名中エクオール産生菌を有した者が2名、O-DMA産生菌を有した者が10名であり、うち両方を所有するものが1名であった。このデータは、成人においてO-DMA産生菌所有者が8割程度、エクオール産生菌所有者が3~4割程度という情報からも支持できる。また報告されている産生菌についての系統は様々であるが今回新たにスクリーニングした菌については既報のものと同属であった。今後このデータを基に更に大豆食と腸内細菌の関係を明らかにしていく。