日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a6
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口頭発表
加工食品(ハム)中の卵白アレルゲンの定量
卵アレルギー患者の食事指導のために
山田 千佳子小瀬木 一真*和泉 秀彦
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抄録
食物アレルギーの治療に免疫療法がある。この治療法によって原因食品が食べられるようになる,もしくは食べられる量が増えるなど,食物アレルギーの改善という点で最も効果的な治療法である。しかし,免疫療法によって少量の卵が食べられるようになっても,卵を使用している加工食品を食べる場合はどの程度食べられるかはわからない。そこで,本研究では,食物アレルギー誘発食品の中でも食物アレルギーの発症頻度が最も高く,加工食品に多く使用されている卵に着目し,卵1個が食べられる場合、加工食品であるハムは何枚食べられるかを求め,食物アレルギー患者への食事指導の際に活用できる資料を作成することを目的とした。5社のハムに含まれるOVA量とOM量を定量した結果,OM含有量からは,卵1個が食べられる場合にはハムは7枚まで食べられることが明らかとなった。OVA含有量からは,卵1個が食べられる場合にはハムは30枚まで食べられることが明らかとなった。イムノブロットの結果より,ハム中のOMは多少の重合は見られるものの、精製OMと同様のバンドで検出され,ハム中での形態は卵白中における形態と同一であると推察された。一方,OVAの場合は複数のバンドが検出され,ハム中での形態は卵白中とは異なっており、加工中に変性,分解,重合などがおこり,OVAのアレルゲン性は低下している可能性が示唆された。加工過程での加熱などによるタンパク質のこのような変化が,OM含有量とOVA含有量から算出した摂取可能なハムの枚数の差に影響を及ぼしたと推察され,OM含有量から算出したハムの摂取可能枚数を食事指導の際に活用した方が、信憑性が高くなると考えられる。
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© 2013 日本調理科学会
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