抄録
【目的】給食管理実習における大量調理は、取り扱う食材の量、使用器具の大きさ、調理開始から終了に至るまでの長時間労働と慣れない立ち作業の連続で、終了時の学生の疲労度は大きい。本研究では学生の疲労度の原因となる要因を検討することを目的とした。
【方法】本学2年生を対象に、平成24年度前期(4月~7月)、後期(9月~1月)までの実習期間の延べ8日間の実習開始前と終了後に、日本産業衛生協会産業疲労研究会が作成した、「疲労自覚症状調査」を記入させた。合わせて体温測定と前夜の就寝時刻並びに実習当日の起床時刻を自記させ、実習日の体調を調査した。生理的疲労度の測定として、フリッカー測定器を用いCFF検査法により疲労状況を確認した。実習開始前と終了後に「上昇法」、「下降法」の何れについても測定し、実習前後におけるCFFの変化を比較した。
【結果及び考察】自覚症状調査において、実習前後における訴え率ではほとんどの項目に対し、実習前に比べ実習後が高値を示した。実習開始前のⅠ群(ねむけとだるさ)の訴え率とCFFとを関連付けて分類すると10の項目に分類された。 また7時間以上の睡眠時間がとれている者は、実習前後においてCFFの低下を示す率が低かった。睡眠時間の短い者は、CFFでも疲労傾向を示す者が多かった。生活状況調査で、「体力がない」若しくは「疲れやすい」と回答した「体力なし群」は、「体力あり群」と比較するとⅠ群の訴え率は、実習前後で2倍以上に高くなっている。安全な実習を実施する上で、また疲労度を軽減するためにも実習当日は疲労感のない状況で臨めるよう基礎的な体力の向上を図ると共に適切な睡眠時間を確保することは重要課題であると言える。