日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2P-62
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口頭ー発表
マナ板の洗浄・消毒における除菌効果
*中嶋 加代子
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キーワード: マナ板, 消毒, 食中毒
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抄録

【目的】マナ板は、調理の際に重要な役割をもつ調理器具で、食中毒の原因になりやすいので衛生管理が大切である。細菌性食中毒を予防するためには、調理器具とくにマナ板からの二次汚染防止対策が重要だといわれている。本研究では、日常的に使用しているマナ板について洗浄・消毒の除菌効果を検討した。
【方法】栄養士養成課程の学生が調理実習で使用しているプラスチック製マナ板を検体とした。検体aは日常的な保管状態のマナ板、bはaを熱湯消毒した状態、cはbで鶏生肉(ささみ)を切断した状態、dはcを流水で洗浄した状態、eはdを台所用合成洗剤で洗浄し洗剤を除去した状態、fはeを熱湯消毒した状態のマナ板である。検体表面の細菌は、ふき取り法およびフードスタンプ(日水製薬)を用いたスタンプ法で採取し、培養したあと一般生菌数を計測した。培養温度は37℃、培養時間は24時間である。
【結果】検体aは、一般生菌数の計測平均値がフードスタンプ1個当たり3.2個であったが、bはコロニーが検出されず熱湯消毒により完全に除菌されていることが分かった。この除菌マナ板bで生肉を切断すると、コロニー数は174.7個に増加した(マナ板c)。cを水洗いすると、コロニー数25.1個になり、除菌率は85.6%を示した(マナ板d)。dをさらに中性洗剤で洗浄したマナ板eはコロニー数11.7個となり、生肉切断マナ板からの除菌率は93.3%であることが分かった。eを熱湯消毒すると、コロニー数0.5個となり、除菌率は99.7%に達した。マナ板を洗浄・消毒する場合、水洗い、洗剤洗い、熱湯消毒によって除菌効果が異なること、十分な除菌効果を得るためには洗浄・消毒の方法を正しく行う必要があることが示唆された。

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