日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a5
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口頭ー発表
かりんジャムの着色に関する研究
*倉林 友崇中野 礼菜阿部 雅子綾部 園子小澤 好夫
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キーワード: かりん, ジャム, 着色
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抄録
【目的】かりん果実は豊かな芳香を持つが、果肉が硬く強い渋みを持つため、生食には向かず、果実酒やはちみつ漬けやジャム(かりんあめ)として利用されている。かりんジャムはアク抜きした果実を煮沸して得た抽出液に砂糖を加え加熱して製造する。ジャムは美しい茜色に着色するが、その着色についての詳細な研究はない。そこで、本研究ではかりんジャムの特性と着色について研究した。
【方法】かりんは本学で栽培したものを用いた。果実の芯部分を除去して薄切りし、水さらし後、水を加えて30分間加熱して抽出液を得た。抽出液をイオン交換樹脂に吸着させ、吸着部と非吸着部に分離した。抽出液、樹脂吸着部および非吸着部に砂糖(果実の0、10、20、30、40%)を添加して加熱し糖濃度60%のジャムを調製した。ジャムの色(色差計、分光光度計)、物性(テクスチャーアナライザー)を測定した。また、着色したジャムのメタノール可溶区分を濃縮し、ゲルろ過して5つのフラクションに分画し、塩化シアニジンとアントシアニジンを標準物質としてペーパークロマトで展開した。
【結果】抽出液から調製したかりんジャムは、果実に対し30%の砂糖を添加したものが、最もL値が低く、a値とb値が高く、390nmの吸収が大きく赤色が強かった。砂糖無添加のものはゲルとならず、10%添加では、硬すぎて流動性がなかった。アンバーライトXAD-4吸着部は砂糖を加えても着色せず、非吸着部は赤色に着色した。ペーパークロマトの結果、かりんジャムの5つのフラクションは、塩化シアニジンおよびアントシアニジンのような単一のスポットは得られなかった。また、各フラクションにはポリフェノールが含まれていた。
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© 2014 日本調理科学会
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