抄録
【目的】生活習慣病の増加に伴い、個人の食事管理の重要性が指摘されているが、その困難さから、写真撮影法などを用いた新たなサービスが提供されている。しかし、栄養計算には管理栄養士などの人の手が必要な場合が殆どで、すべてを自動化するには現在のところ至っていない。食事管理には摂取栄養素量だけでなく、摂取栄養素のバランスを評価することも重要である。そこで我々は、まず調理操作が簡単なサラダに着目し、食材の色面積割合を利用して栄養素バランスが評価できないかを検討し、その可能性を報告した1)。本研究では、色面積算出の自動化について検討した結果を報告する。
【方法】資料としては、レシピーが記載されているweb上のサラダ写真24枚を用いた。写真のホワイトバランスを自動調節した上で、皿と背景を青に塗り、Feelimage Analyzer(ビバコンピューター(株))を 用いて11色(黒、白、緑、黄緑、黄色、橙、赤、茶、ピンク、紫、クリーム)の占有色面積割合を求めた。一方、先の報告と同様に、Paint機能を用いて、人的に色分けを行った場合の色の占有色面積割合を求め、両者を比較した。
【結果】先の研究1)では、出現頻度が少なく、かつタンパク質量の多い食材が用いられたサラダを除き、色彩分析によって栄養素の摂取バランスが一定評価できる可能性が示唆された。今回、色彩分析を自動化し、旧来の結果と比較したところ、黒、緑、赤色では高い相関が認められたものの、白やクリーム色と識別された色面積が特に大きくなった。これは、光の反射があると色が判別できず、これらの色に判別されたためと考えられた。現在、料理の背景を自動的に削除することも含め検討中である。
1)Y.Muramoto et al. Trace Nutrients Research 30:1-6(2003)