抄録
【目 的】給食施設等において,調理・加工後に一定の間冷蔵された食品が,提供前に再加熱される場合がある。しかしながら,魚の品質,特に臭いに及ぼす貯蔵の影響についてほとんど検討されていない。我々は,これまでに再加熱した蒸しハマチ肉の品質に及ぼす再加熱前貯蔵の影響について報告した。1)そこで,今回,再加熱した焼きハマチ肉について脂質酸化の品質指標および臭い成分の分析を行うとともに官能評価を行った。【方 法】試料としてハマチの切り身を用いた。250℃,7分間焼いた後に,急速冷却し,3℃で貯蔵(7日間)した。再加熱は 110℃で40分間加熱した。分析項目は,普通肉(OM)および血合肉(DM)について脂質含量,脂肪酸組成,チオハ゛ルヒ゛ツール酸反応性物質(TBARS),過酸化物価(POV)および臭気成分とした。官能検査は臭いについて行った。【結 果】脂質含量および脂肪酸組成は,OMおよびDMともに貯蔵による有意な変化は認められなかった。TBARSは,OMの貯蔵7日目で焼きのみの試料と比べて有意に高い傾向,DMでは貯蔵7日目に有意に高い値を示した。POVは,OMで貯蔵3日目に焼きのみの試料と比べて有意に高い傾向,DMで貯蔵7日目に有意に高い値を示した。臭い成分については現在詳細を検討中である。官能検査の結果,焼き魚らしい臭い,油くさい臭いともに,貯蔵7日目で焼きのみの試料と比べて有意差が認められた。したがって,焼きハマチは,再加熱前の貯蔵中に脂質酸化による臭い変化が生じるため,貯蔵3日までの喫食が好ましいことが示唆された。1)谷本ら,第60回(一社)日本家政学会 中国・四国支部研究発表会(2013)