日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a1
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口頭ー発表
岡山県特産野菜の黄ニラに含まれるアスコルビン酸含量の周年変動
*加賀田 江里
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抄録

【目的】岡山県の特産品である黄ニラは、青ニラに比べ、独特の香りがなく、柔らかく、中華料理では高級食材として使われている。青ニラは抗酸化ビタミンが多いことや脳の老化を予防するアホエンの存在が知られており、黄ニラについても同様の機能性が期待される。今回は、市場に出回る黄ニラおよび青ニラを試料として、抗酸化作用のあるアスコルビン酸含量の経月変化を調査し、成分的価値の観点から、気温との関連性ならびに黄ニラおよび青ニラの差異を検討した。
【方法】2012年8月~2013年7月の各月1回、岡山市内のスーパーマーケットから購入したものを試料として、水分量及びアスコルビン酸(総アスコルビン酸、還元型、酸化型)含量を測定した。アスコルビン酸の測定は高速液体クロマトグラフィー法を、気温は気象庁気象データより該当年の月ごと日平均値(岡山市)を採用し、アスコルビン酸含量は乾燥重量1gあたりに換算した。
【結果】青ニラおよび黄ニラの乾燥重量1gあたり総アスコルビン酸含量は、青ニラ5.1mg、黄ニラ3.5mgとどちらも1月でもっとも高く、一方、前者は7月で0.7mg、後者は8月で1.2mgと最も低かった。青ニラでは、総アスコルビン酸量と気温との間に有意な相関関係(p<0.05)があり、気温が下がる冬場に多く合成していることが示された。黄ニラは有意差があるとまではいえないものの、同様の傾向を示した。黄ニラは周年変動が青ニラに比べて小さく、5月から11月の時期では、アスコルビン酸含量は青ニラを上回り、暑い時期での成分的価値は大きいと推察される。今後は、黄ニラの特産品としての価値の向上を図る点から、カロテノイドやフラボノイドなどの抗酸化成分の測定、抗酸化成分の減少の少ない調理法や食べ方の工夫等を検討していきたい。

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