日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-63
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ポスタ―発表
甘味感受に及ぼすハイドロコロイド添加の影響(第3報)
*岡本 洋子吉田 惠子
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キーワード: 甘味, 寒天, 粘度
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抄録

【目的】呈味に影響を及ぼす因子のうちで、ハイドロコロイド、とくに寒天を添加したときの甘味の感じ方について調べた。前報では甘味物質としてスクロースを用いた。本報告ではD-グルコースを用いて、寒天濃度が増すとともに、我々の感じる甘味強度がどのように変化するのか検討することを目的とした。さらに、グルコースゾル試料とゲル試料について粘度と破断特性を測定し、甘味強度との関係を明らかにした。
【方法】寒天濃度0.025,0.05,0.10,0.15,0.20,0.30,0.40,0.50,0.60%の9種類、3.9,13,39%グルコースの3種類の計27種類のゾル・ゲルを試料とした。3.9,13,39%グルコース溶液を基準液とした。なお、スクロースとグルコースが同一甘味度になる濃度を3点識別試験法によって調べた。官能評価の手法(両極7点評点法)によって甘味強度の評価を行うとともに、ゾル試料についてはTV-22形粘度計(東機産業)を用いて粘性を測定した。ゲル試料の破断特性の測定には、クリープメータ(RE2-3305B:株式会社山電製)を用いた。
【結果】ゾル6試料のうち、「3.9%グルコース」では、寒天濃度0.025%,0.05%の2試料において、「グルコース溶液」に比べ甘味を強く感じた。「13%グルコース」では、寒天低濃度の3試料おいて、「溶液」に比べ甘味を強く感じた。「39%グルコース」では、寒天低濃度の5試料において、「溶液」に比べ甘味を強く感じた。ゲル3試料では、いずれの場合にも「溶液」に比べ甘味を弱く感じた。ゾルにおける甘味強度と粘度の関係では、低粘度の試料を除いて、粘度上昇にともない甘味強度が低下することがわかった。ゲルにおける甘味強度と破断応力の関係では、応力の高値のゲルほど甘味強度が低下することが示された。

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