抄録
【目的】有色素米を水に浸漬し、ペースト状にしてアイスクリームの調製を行うことによりテクスチャーおよび嗜好面で良好なアイスクリームを得ることが認められた。そこで牛乳および豆乳ペーストに富山県産農作物を混合させてアイスクリームを調製し、両者の嗜好性を官能評価により検討し、アイスクリームの開発に役立てることを目的とした。
【方法】試料は平成26年度富山県産赤米「富山赤78号」を使用した。赤米ペーストは赤米100gに95W/W%の純水を混合させて作成した。そのペースト150gに牛乳および豆乳300gを混合させ、上白糖を加えて加熱し、冷却後、生クリームを加えて5種類の農産物を加えて混ぜ合わせアイスクリームを調製した。農産物は、水島柿、トマト(婦中産、フォレストフルテイカ)、池多りんご、大沢野産いちじく、呉羽梨とした。アイスクリームについて富山短期大学専攻科18名により2点嗜好試験法および順位法(味、口触り、総合的評価)を用いて官能評価を行い、有意差検定を行った。
【結果】2点嗜好試験法により牛乳および豆乳を混合させた5種類のアイスクリームでは、いちじくは豆乳が有意(α<0.05)に好まれ、トマトは牛乳が有意(α<0.01)に好まれた。しかし有意差はなかったが、りんご、柿、梨は豆乳より牛乳を混合させたアイスクリームが好まれることが示された。また牛乳アイスクリームは、呉羽梨が味、総合的評価で好まれ、いちじくが口触り、総合的評価で有意に好まれない(α<0.05)ことが認められた。一方豆乳アイスクリームは、味、口触りは有意差はなかったが、呉羽梨が総合的評価でのみ好まれる(α<0.05)ことがわかった。以上の結果より有色素米でアイスクリームを作るには、豆乳より牛乳をペーストに混合させ、呉羽梨を混ぜることにより嗜好的に好ましいアイスクリームになることが明らかになった。