日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-a2
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口頭発表
とろみを付加したゲル状パン粥の物理的特性と食べやすさの検討
*高橋  智子河村 彩乃大越 ひろ
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抄録

【目的】本研究ではサラダ油を油滴の状態で分散させた均一ゲル状パン粥表面にとろみを付加することが、ヒトの口腔感覚および嚥下状態にどのように影響するかを検討した。 【方法】とろみを付加していない均一ゲル状基本パン粥試料、加えてグルコマンナンを主原料とした市販とろみ調整食品により調製した粘性率の異なるとろみを付加したゲル状パン粥試料2種類((日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013(とろみ)濃いとろみ)、流動食用なめらかプラスいちごソース程度とろみ付加パン粥試料の計3種類を用いた。試料のテクスチャー特性、圧縮によるひずみと荷重の関係、官能評価、嚥下筋電位測定、食塊のテクスチャー特性を品温20℃、45℃において測定した。 【結果】官能評価結果、口中で感じるかたさは、品温20℃、45℃ともに試料間に有意差は認められなかった。品温20℃において食べやすいと評価されたとろみ付加パン粥試料のテクスチャー特性は有意に軟らかく、付着性が小さいことが認められた。一方、温かい品温45℃においては、口中感覚の評価項目に有意差は認められなかった。試料品温20℃の嚥下直前の食塊の硬さは基本パン粥、とろみ付加パン粥ともに口中で食塊形成中に顕著に軟らかくなることが示された。嚥下筋電位測定の嚥下時筋活動時間において、品温20℃基本パン粥試料の筋活動時間は、品温45℃とろみ付加パン粥試料に比べ有意に長いことが認められた。以上の結果より、本研究で用いたパン粥試料はとろみを付加して供食することで口腔感覚も改善し、食べやすくなると考える。ことに、温かい状態で提供したパン粥が冷めた場合、とろみを付加することが食べやすさに大きく影響することが示された。

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© 2015 日本調理科学会
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