日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-a2
会議情報

口頭発表
スチームコンベクションオーブンによる調理品の嗜好性と栄養機能の向上
*山本 淳子森山 三千江
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】 新調理法といわれるスチームコンベクションオーブン(スチコン)を用いた調理法は、スチームを用いることから、機能性成分の損失が少なく、より効率的に栄養を摂取することができ、表面の水分蒸散が少ないことから、ふっくらと仕上がるとされている。しかし、スチコンでの食品の効果的な機能性や嗜好性などに関する報告はあまりない。そこで、機能性の向上と嗜好的に好ましい調理条件を明らかにすることを目的とし、新調理法と従来の調理法を用いた調理作業を行い、色調および機能性成分の変化を追跡するとともに官能評価を行った。
【方法】 ほうれん草とジャガイモを試料として、茹で加熱、蒸し加熱(スチコン)を用い、異なる加熱時間での比較を行った。色調は色差計、総VC量はHPLCポストカラム誘導体法、ミネラル量はイオンクロマトグラフ法、ポリフェノール量はFolin-Denis法、抗酸化活性はDPPH法で測定した。官能評価は、11名をパネラーとし「見た目」、「香り」、「食感」、「味」、「総合」の5項目について5点評点法を用いて行った。
【結果】 ほうれん草、ジャガイモとも、VC量およびミネラル量は調理操作により経時的に減少したが、ほうれん草5分加熱品、ジャガイモでは、ゆで加熱に比べ、スチコンで高く残存した。ポリフェノール量、DPPHラジカル捕捉活性も、同様にスチコン調理品の方が高かった。色調は、加熱調理することで明度が下がったが、茹で加熱品に比べスチコン調理品で高かった。ほうれん草5分加熱品、ジャガイモ20分加熱品の官能評価を行った結果、ともに総合評価でスチコンの評価が高くなり、スチコンによる調理操作の機能性成分が高く、かつ嗜好的に好まれることが示唆された。

著者関連情報
© 2015 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top