日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2E-p2
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口頭発表
製造法の異なるしょうゆの嗜好性および調理特性に関する調査
*宮本 有香篠原 梨瑶田川 由紀子山本 亜弥橋本 多美子小幡 明雄
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キーワード: しょうゆ, 官能評価, たれ, 炊飯
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抄録

【目的】近年、食嗜好の多様化に伴い、通常のしょうゆと異なり、色が薄く、香りが穏やかなしょうゆ(生しょうゆ)が開発され、話題を集めている。生しょうゆはしょうゆの香りの強さに関係する火入れ(加熱処理)をしていない。本研究では、通常のしょうゆ(火入れしょうゆ)と製造法の異なる生しょうゆの官能評価および、それらに適したメニューについて検討し、それぞれのしょうゆの嗜好性および調理特性を調べた。 【方法】製造法の異なるしょうゆとして、火入れしょうゆ(丸大豆しょうゆ:キッコーマン)と、生しょうゆ(丸大豆生しょうゆ:キッコーマン)を用い、女子大学生420名(19.6±1.9歳)およびその保護者156名(49.5±4.5歳)に対し、味や香りについて分析型および嗜好型官能評価を行った。さらに、火入れしょうゆと生しょうゆを用いた調理品として「炊き込み御飯」、「酢豚のたれ」に対する官能評価もあわせて実施した。 【結果】女子大学生、保護者間で大きな差はなかった。両者ともに、「火入れしょうゆ」に比べ「生しょうゆ」は、色が薄くて、香りが弱く、塩味を弱く感じる人が多く、嗜好試験では生しょうゆのほうが、「香り」、「旨味」、「塩味」、「甘味」の項目で有意に好まれていた(χ2検定)。また、調理品の官能評価では、生しょうゆを加えて炊飯した「炊き込み御飯」で、「甘味」を強く感じている傾向があったが、有意な差は認められなかった。一方、「酢豚のたれ」では、生しょうゆを用いたたれのほうが「香り」、「甘味」、「酸味」で好む人が多く、総合的な嗜好評価でも有意に好まれていた(χ2検定)。以上の結果から、生しょうゆは「穏やかな香り」、「旨味」、「塩味」などで好ましく感じられており、「酢豚のたれ」ではその特性が活かされたものと推察した。

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