日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-08
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ポスタ―発表
線虫C.elegansを用いた国産パン用小麦全粒粉中の寿命延長因子探索
*阿部 愛波中川 久子宮崎 忠昭中島 肇
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抄録

【目的】全粒粉には様々な活性成分があることが知られており、全粒粉パン摂取量と生活習慣病リスクには負の相関があることが疫学調査から明らかになっている。活性成分のひとつであるポリフェノールは品種や系統で含量が異なるため、国産小麦全粒粉の優位性を見出すことを目的とし、寿命延長因子の探索をおこなった。
【方法】大腸菌OP-50株を塗布したNGM寒天培地で継代した線虫C.elegansの卵を採取し培養し、国産パン用小麦全粒粉(WG)・WG水溶性画分(WSF)・WG水溶性食物繊維画分(W-fiber)とOP-50株を塗布した2%グルコース添加NGM寒天培地にて飼育し寿命延長試験を行った。平均寿命はSPSS ver21.0.0を用い、Log Rank (Mantel-Cox)によるペアごとの比較を行った。また遺伝子発現変化を検討するため5FU添加終了後1日(生後6日)、5日(生後10日)後にRNA抽出を行い、daf-2、daf-16の発現変化をRealtime PCRにて検討した。
【結果】2%グルコースおよびOP-50添加NGM培地(対照群)、WG添加群、WSF添加群、W-fiber添加群の線虫の平均寿命は、それぞれ14.3、15.3、15.1、15.9日となり、対照群とWG添加群、WSF添加群、W-fiber添加群との有意確率は、p=0.126、0.399、0.044であり、対照群とW-fiber添加群との平均寿命の差が統計的に有意であった。  遺伝子発現の検討では、5FU除去後5日においてはdaf-16の発現量は寿命が統計的に有意に延長したW-fiber画分で約13倍に増加しており、延長傾向の見られたWGでも約15倍に増加していることが明らかとなった。一方、daf-2は、全ての添加群で発現が上昇したものの、5FU除去後6日では1~3倍程度であり、daf-16の増加量に比べて変化量は小さかった。

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