日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-17
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ポスター発表
かりんあめの着色と食味特性におよぼす糖質系甘味料の影響
*阿部 雅子松岡 寛樹小澤 好夫綾部 園子
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抄録

【目的】かりん果実は豊かな芳香を持つが、果肉が硬く強い渋みを持つため、生食には向かず、果実酒やはちみつ漬けやゼリー(かりんあめ)として利用されている。かりんあめはアク抜きした果実を煮沸して得た抽出液に砂糖を加え加熱して製造する。製品は美しい茜色に着色する特性があるが、その着色についての詳細な研究は少ない。そこで、添加する糖の種類や抽出液の成分に着目して研究した。
【方法】群馬県産かりん果実の芯部分を除去して薄切りし、水さらし後、水を加えて30分間加熱して抽出液を得た。抽出液に上白糖、マルトース、グルコース、フルクトース、キシリトール、パラチノースなどの糖質系甘味料を果実の30%添加して最終濃度50%になるまで煮熟しあめを調製して、あめの色(色差計、分光光度計)の測定および7段階尺度の評点法による官能評価を行った。また甘味料添加前の抽出液を樹脂(アーバンライトXAD-7)に吸着させ、吸着部と非吸着部に分離し両者を用いてあめ調整し、着色画分の分離を行った。
【結果】抽出液に上白糖を添加し調製したかりんあめは、390および500nmの吸収が大きく赤色が強かった。甘味料の種類を変えるとフルクトース>上白糖>パラチノース>グルコース>マルトース>キシリトールの順に赤みを示すa*値が高く、甘味料無添加のものはゲル化せず赤みも弱かった。官能評価ではフルクトースとパラチノースを添加したあめの赤みが有意に高く、総合的な好みではフルクトースが有意に好まれ、フルクトースがあめの着色ならびに食味に影響することが示唆された。樹脂により分離した抽出液は、吸着部のみが赤色に着色した。さらに吸着部をODSカラムクロマトグラフィーにより分画したところ、50%メタノール溶出画分が鮮やかに着色した。

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