平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-a7
会議情報
主催:
(一社)日本調理科学会
会議名:
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
開催地:
名古屋学芸大学
開催日:
2016/08/28 - 2016/08/29
【目的】アシタバはポリフェノールなど機能性成分を含んでいる。強力粉の5%をアシタバ粉と置換したパンは機能性は高いが、膨化が抑制され嗜好的に好まれない。本研究では膨化及び保水効果の期待できるグルテンとトレハロースを用い、機能性と嗜好性を兼ね備えたアシタバ置換パンの改良を試み、その力学物性と嗜好性、保存性に及ぼす影響を検討した.【方法】添加・置換量決定のための予備実験として、アシタバ無置換ドウと同等の膨張率となるグルテン量及び砂糖の一部をトレハロースに置換する膨張実験を行った。その結果、アシタバ無置換パン(C)、強力粉の5%をアシタバ粉と置換した5%置換パン(A)、Aにグルテンを5%添加したパン(AG)、AGに砂糖の80%をトレハロースに置換したパン(AGT)を焼成し試料とした。比容積は菜種置換法、力学物性はテクスチャーを測定した。膨化組織は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。官能評価は採点法と順位法で行った。保存性は試料を3日間保存しテクスチャーを測定した。【結果】Cに比べAは、比容積が有意に低く、かたさ荷重が有意に高く、凝集性が有意に低かったが、AG・AGTに有意差はなかった。SEM観察でAを除く試料では、気孔の大きさが均一で薄いグルテン膜が見られた。官能評価はCに比べAは有意に低い評価であったが、AG・AGTは有意差がなかった。保存性はC・A・AGでは1日目に比べ3日目は有意に硬くなった。3日目はCに比べ、A・AGは有意に硬かったが、AGTは有意差がなかった。アシタバ5%置換パンにグルテン5%添加、トレハロースを80%置換することで、嗜好性が高く保存性も期待できる機能性を有する改良パンを作成することができた。