日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2D-a8
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口頭発表
デジタル塩分計による味噌汁の塩分測定における留意点
*吉澤 蘭中野 智香綾部 園子阿部 雅子松岡 寛樹
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抄録
【目的】味噌汁は和食の一汁三菜を構成する汁物である。生活習慣病予防の観点からは、具沢山の味噌汁が推奨されている。これは、野菜を多く摂取するとともに、汁の量を減らすことで、相対的に減塩できるためである。栄養指導においては、塩分濃度は簡便なデジタル塩分計を用いて指導することが多いが、電気伝導度を利用した塩分計では、野菜から溶出するカリウム等のイオンの影響を受けるため、実際よりも塩分濃度が高く表示される可能性がある。そこで、野菜を豊富に使った味噌汁について、溶出する無機質の量と塩分濃度について、デジタル塩分計と原子吸光度法による測定を行い、効果的な使用方法を明らかにすることを目的とした。
【方法】デジタル塩分計は、電気伝導度法7機種、Naイオン電極法1機種を用い、無機質の測定は原子吸光度法によった。まずNaCl、KCl、MgCl2溶液を測定し、精度を確認した。味噌汁はきゃべつ・ごぼうに3または6倍の水を加えてIHヒーターにかけ、沸騰後5分間加熱し、0.8%塩分濃度に相当する味噌を加え調製した。ゆで水と味噌汁の汁はそのまま、具は加熱前、ゆで加熱後、味噌汁調製後の各段階で、4倍量の1%HClを加え、粉砕・遠心分離し測定した。
【結果】KClとMgCl2溶液に対し、電気伝導度法では、等モル濃度に相当する%を示し、Naイオン電極法では反応しなかった。味噌汁の濃度は電気伝導度法ではNaイオン電極法より、生味噌液で0.1%、ゆで汁で0.19%、味噌汁で0.21%高い値を示し、具から溶出した無機質の影響を受けた。また、NaClは具にも拡散しているため、汁の塩分濃度は設定濃度を下回った。指導の際はこれらに配慮することが必要である。  
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