日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-34
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ポスター発表
包丁の切れ味の違いによる食材の品質への影響調査
石原 佑希子*野坂 隆文*池野 潤藤江 未沙上田 恭己
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キーワード: 食材の品質, 包丁, 切れ味
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抄録

【目的】包丁は,調理において要となる道具である。包丁の切れ味を維持するために「研ぎ」の手入れが重要とされ,包丁の切れ味は料理の美味しさに影響するといわれている。しかし,美味しさの要因には,味・外観・食感など様々なものがある。そこで,本研究では切れ味の違いによって食材の品質にどのような影響が現れるのか調査を行った。
【方法】切れ味の良い包丁(A)と切れ味の悪い包丁(B)を用いて,キャベツ・玉ねぎ・胡瓜・大根を切砕した。(A)・(B)は材質が鉄である薄刃包丁を用いた。切砕直後・切砕1時間後・切砕2時間後における見た目・味・食感について,栄養士科1年生33名を対象とし評価を行った。また,光学顕微鏡を用いて切砕した食材の断面を観察した。さらに,切砕した食材を冷蔵庫・常温でそれぞれ放置し,切砕12時間後・24時間後・48時間後・72時間後における食材の褐変の様子を観察した。
【結果】(B)を用いたものは官能評価において時間の経過とともに見た目・食感が悪化する傾向にあった。特に,キャベツの見た目に関し(A)と比較して(B)を悪い・やや悪いと答えた者の割合は,切砕直後に42%,切砕1時間後に60%,切砕2時間後に87%と評価が悪化した。顕微鏡観察では(A)を用いたものは切断面が滑らかであるのに対し,(B)ではすべての食材において切断面の凹凸が見られた。また,(B)では常温・冷蔵放置ともに切砕24時間後には褐変がみられたのに対し,(A)では切砕48時間後に初めて褐変を確認できた。切れ味の悪い包丁を用いることで,食材の見た目や食感などの品質低下を招くことが示唆される。

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