日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
選択された号の論文の251件中1~50を表示しています
口頭発表
  • 金成 はるな, 大石 恭子, 香西 みどり
    セッションID: 1A-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】これまでアルカリ性の竹炭や酢酸添加炊飯により飯の粘りが増加することが報告されており, 炊飯液のpHは米飯の物理化学的性質に影響を及ぼすと考えられる. しかし, これまで種々の緩衝液を用いて炊飯液のpHそのものが米飯の性状にどのように影響するかについての報告はほとんど見られない. 演者らは先に通常調理に使用される食酢, 重曹によりpH3, 5, 7, 8.5に調整した液を用いた炊飯米について報告した1). 本研究では炊飯液のpHの影響を明らかにするため, 対応するpHの緩衝液(pH3, 5, 7, 9)で炊飯を行い, 米飯の成分・物性及び炊飯後保存に伴う飯の老化について比較検討を行った.
    【方法】炊飯直後の米飯から終濃度30および80%エタノールで成分抽出液を調製し, 還元糖(ソモギーネルソン法), 全糖(フェノール硫酸法)およひ゛遊離糖(HPLC)を測定した.米飯のテクスチャーは, 炊飯直後の米飯および4℃14時間保存米飯を試料とし, テクスチャーアナライザーによる一粒法(低高圧縮2バイト法)で測定した. 生米を1.5倍量の各緩衝液に50℃1時間浸漬し, 溶出タンパク質(Lowry法)の測定とSDS-PAGEを行った.
    【結果】緩衝液を用いて炊飯液をpH5一定に保ったときの米飯抽出液中の還元糖量は, pH7と比べて有意に増加した. 炊飯直後の飯の表層部の粘り・付着性は, pH7に比べてpH3, pH9において増大し, 冷蔵保存後の飯においてもその影響がみられたが, pH5では炊飯直後および保存後の飯の付着性は有意に減少した. 生米を50℃で1時間浸漬した液中のタンパク質量は, pH7に比べて, pH3およびpH9は増加, pH5は減少した. このことから, pH5では澱粉周囲のタンパク質の溶出が抑制され, 米飯表層部の付着性低下に寄与することが示唆された. 
    1)金成はるな他: 日本調理科学会平成28年度大会, p59 (2016)
  • 奥西 智哉, 塚原 知里, 加古 さおり, 依田 香子, 新田 浩朗, 岡留 博司, 五月女 格, 安藤 泰雅
    セッションID: 1A-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】炊飯は水を吸わせた米に熱を加えることにより、米の主成分であるデンプンを糊化させることで食事に適した状態にすることである。デンプンの糊化度合の評価は1)BAP法等の酵素を用いた方法、2)示差走査熱量測定(DSC)等が用いられてきた。しかしながらこれらの手法は炊飯により十分に糊化された米飯の品質を直接評価することは困難である。一方、RVA では一般的に粉末生米試料を用いて米飯物性および米飯老化性の推定がされているが、今回、粉末米飯試料を用いて品質評価の可能性を検討したので報告する。
    【方法】炊飯器機種あるいは炊飯モードが異なる方法で調製した各種米飯を約7倍量のメタノールに分散し、即座にホモジナイズした。ろ過により得た沈殿をアセトンで十分に洗浄し、風乾したもの次の条件にてRVA分析した。パドル回転数は160rpm で1分まで50℃を保ち4分間で93℃まで昇温し7分間保った。4分間で50℃まで降温し4分間保った。DSC(SII、6220)は試料4mgにミリQ水12mgをアルミ製缶に封入し、20℃から120℃まで毎分5℃の昇温条件で行った。
    【結果】生米を粉砕した米粉を試料に用いると、加熱によるデンプン糊化挙動が、RVAでは最高粘度、DSCでは吸熱ピークを示すことからわかる。これらのピークは炊飯加熱に伴い小さくなるが、炊飯時に加えた水を米がすべて吸収した時点の米飯試料ではDSCピークは観察されなくなった。一方RVAにおいては蒸らし過程を終えた試料においても最高粘度ピークを概ね示した。また、炊飯時加水が増えることにより、最高粘度を示す時間(ピーク時間)が変化した。ピーク時間のずれは炊飯機種およびモードが異なる場合でも見られた。
  • 北原 茉美, 大田原 美保, 香西 みどり
    セッションID: 1A-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】米飯中の糊化デンプンは温度低下により一部再配列し、その結果、米飯の硬さや粘りなどが変化して嗜好性が低下する。これを米飯の老化といい、これまでに米飯粒の物性や色の変化によって評価されてきた。本研究では、圧縮米飯粒を用いた新たな老化の客観的評価方法を検討することを目的とした。
    【方法】アミロース含量が異なる4品種の米(アミロース含量が高い順に、ホシユタカ、日本晴、コシヒカリ、ミルキークイーン)を加水比1.5で常法炊飯し、4℃で0、6、12、16、20、24、48時間冷蔵した。各試料米飯を1粒ずつ、テクスチャーアナライザーを用いて厚さ0.1 mmに圧縮し、圧縮米飯粒プレパラートとした。このプレパラートの顕微鏡撮影画像を得た。これをグレースケール変換し、輝度分布を解析した。また分光測色計により色測定(L*、a*、b*)を行った。さらに、同じ試料米飯について官能評価、物性測定を行った。官能評価では、外観、テクスチャー、老化感については評点法で、受容度については白飯として「受け入れられる」から「受け入れられない」までの5段階で評価を行った。
    【結果】官能評価において、ホシユタカは冷蔵初期から老化感が高く、ミルキークイーンは24時間冷蔵後も老化感が低いと評価された。日本晴とコシヒカリは両者の中間的な老化感の変化を示し、日本晴のほうが、同じ冷蔵時間における老化感が高かった。画像解析で得られた圧縮米飯粒の輝度分布は、クラスター分析により5つのパターンに分類でき、パターンの違いは品種や冷蔵時間による老化感の程度の違いを反映していた。また圧縮米飯粒のL*は輝度平均との相関が強く(r=-0.93)、いずれも圧縮米飯粒を用いた老化の指標として有用であることが示された。
  • 塚原 知里, 加古 さおり, 中須 慧, 依田 香子, 新田 浩朗, 奥西 智哉
    セッションID: 1A-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】炊飯をするのに大事な要素の一つに火加減がある。家庭用炊飯器においては、おいしく炊き上げるために常圧より高い沸点を実現できる圧力機能を付与したものが市場に供給されているが、そのほとんどは1.2気圧以下の微圧であり、家庭用炊飯器の高圧炊飯における炊飯米特性の学術的知見はほとんどない。今回、家庭用炊飯器では比較的高圧である1.5気圧程度での炊飯を行い、できた米飯の特徴を明らかにした。
    【方法】家庭用炊飯器(パナソニック製SR-SPX106)の調圧弁を調整することにより微圧(1.2気圧)あるいは高圧(1.5気圧)炊飯による米飯を得た。まず、32人のパネリストにより2つの試料を比較して7段階で評価した。その後、米飯をホモジナイズし、50%エタノール抽出物を得、遊離アミノ酸と、米飯表層および米飯全体の遊離糖含量を求めた。それぞれ、アミノ酸分析機(日本電子JLC-500/V2)、フェノール硫酸法、イオンクロマトグラフ(Dionex ICS-3000)で測定を行った。常温まで放冷した米飯のテンシプレッサーによる硬さ粘り測定を行った。米飯を粉砕後乾燥した試料を用いてRVA測定を行った。
    【結果】官能評価によると、高圧炊飯で得られた米飯は有意に硬く、粘りも大きな数値を示す傾向であった。味に関しては差が見られなかったが、米飯粒全体のアミノ酸量は多かった。物性評価では米飯の硬さと粘りは高圧炊飯で有意に増加していた。RVAでは高圧炊飯米飯はブレークダウンを示さず、微圧炊飯とはまったく異なる挙動を示した。これらの結果から高圧炊飯では、炊飯中に結晶構造の崩壊がより進み、かなり特徴的な米飯となることが明らかとなった。
  • 北海道産と鹿児島県産の「えびす」の研究
    白 ろ, 山田 伽奈子, 松枝 博明, 宮崎 直人, 吉元 寧, 川邊 清隆, 西田 毅, 松田 寛子, 白井 隆明, 島本 国一
    セッションID: 1B-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】国産カボチャ生産量の,1位は北海道,2位は鹿児島県であるが,収穫時期が異なり,夏期に収穫される鹿児島県産と秋期の北海道産では,食味や食感に差がある。本研究では,北海道と鹿児島県のカボチャを収穫時と貯蔵中の成分,抽出でん粉の理化学的性質,サラダの嗜好性を見ることで,両者の変化を比較し差違を明らかにすることを目的とした。
    【方法】前報での北海道産「えびす」カボチャと同様に鹿児島県産「えびす」カボチャを貯蔵し,収穫直後と1か月貯蔵の分析をおこなった。カボチャのでん粉を精製し,ラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)で粘度測定,粒度分布,損傷でん粉,顕微鏡観察によりでん粉の分解の評価をおこなった。同時にカボチャの固形量や遊離糖量などの基本成分を測定した。サラダは,マヨネーズタイプで作製し官能評価による嗜好調査をおこなった。
    【結果】鹿児島県産のカボチャでん粉(6%)のRVA粘度特性は,収穫直後では,馬鈴薯のように急激に粘度が上昇した後粘度が低下し冷却後粘度が上昇する。1ヵ月貯蔵すると急激な粘度上昇ピークが消失し,最高粘度は約70% に減少するが,冷却後の粘度上昇は一致した。粒度分布による平均粒径は,小さくなり,損傷でん粉は,増加した。収穫直後の結果は、北海道産と鹿児島県産で一致した。また北海道産の2か月貯蔵と鹿児島県産1ヵ月貯蔵の粘度や粒度分布は一致したが,遊離糖,Brix糖度は鹿児島県産が高い傾向にあり,でん粉分解速度が速いことが示唆された。サラダの嗜好性は,鹿児島県産は,早期に加工すると北海道産に近い固形感を持つが,貯蔵による固形感,硬さは急速に変化する傾向にあった。
  • 「えびす」の澱粉の物理化学的性質
    吉元 寧, 宮崎 直人, 白 , 山田 伽奈子, 松枝 博明, 川邊 清隆, 西田 毅, 松田 寛子, 白井 隆明, 島本 国一
    セッションID: 1B-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】カボチャに含まれる澱粉は収穫時期の遅れやまた貯蔵中に分解が始まり,その結果食味やサラダの嗜好性に影響を及ぼすことが示唆されている。このように,澱粉の分解は利用面において重要な因子であるにも関わらず,澱粉を調製してその物理化学的性質の変化を調べた報告はほとんど見当たらない。そこで本研究では主要品種である「えびす」について,産地並びに収穫時期が異なる果実から澱粉を調製し,その物理化学的性質の変化の挙動を明らかにすることを目的とした。
    【方法】供試した「えびす」は鹿児島並びに北海道で適正時期に収穫したもの,収穫後1ヶ月間保蔵したもの,並びに1ヵ月後に収穫したものを用いた。調製した澱粉の糊化特性はラピッドビスコアナライザー(RVA),熱特性は示差走査熱量計,粒度分布はレーザー回折式測定装置で測定した。損傷澱粉とアミロース含量は市販のキットを用いて求め,澱粉粒の表面は走査型電子顕微鏡で観察した。
    【結果】RVAによる糊化特性では北海道産,鹿児島県産いずれも適正時期に収穫したものは類似したプロフィールを与えた。一方,収穫時期の相違においては,最高粘度は適正時期に収穫したものが最も高く,保蔵したものと収穫時期をずらしたものはほぼ同程度の値を示した。粒度分布でも顕著な相違が認められ,適正時期の平均粒径は他のものと比較して最も大きく,また15mm以上の粒が多いことが特徴であった。これらのことから,適正時期に収穫すると産地が異なるにも関わらず、澱粉の糊化特性は類似していることがわかった。一方,収穫時期の相違においては,いずれの産地においても澱粉の含量はもとより,その物理化学的性質も大きく変化することが明らかとなった。
  • 東 亜莉沙, 森 太郎, 岡本 藍, 山下 悟, 上町 達也, 畑 直樹, 久保 加織
    セッションID: 1B-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】伝統野菜は、地域の気候や風土のなかで種子の保存がなされてきた。また、味や形、香りなどに特徴を持つものが多く、地域の食文化とも密接な関係がある。しかし、生産性や流通性の問題、食生活の変化などにより、均一な形と大きさの生産物が収穫できるF1種子が市場に出回るようになり、継承が危ぶまれている伝統野菜もある。そこで本研究では、滋賀県の伝統野菜の継承を目的として、近年注目されている機能性を一般野菜と比較することにより評価した。
    【方法】滋賀県内で栽培された伝統野菜10品目17品種と滋賀県内のスーパーマーケットで購入した一般野菜を供試した。HPLCによりアスコルビン酸、βカロテン、クロロゲン酸、カプサイシノイド類を定量した。比色法によりアントシアニン、ピルビン酸を、フォーリン・チオカルト法により総ポリフェノールを、測定キットを用いてレジスタントスターチをそれぞれ定量した。抗酸化性についてはDPPHラジカル消去活性を測定して評価した。
    【結果】抗酸化性および抗酸化性関連物質含量は、弥平とうがらし(カプサイシノイド類、DPPHラジカル消去活性)、坂本菊(βカロテン、総ポリフェノール、DPPHラジカル消去活性)、多くのカブ類の根部(総ポリフェノール)、日野菜の葉部(総ポリフェノール含量、DPPHラジカル消去活性)、北之庄菜の葉部(βカロテン)、伊吹大根(DPPHラジカル消去活性)において同品目の一般野菜より高かった。また、秦荘やまいもでは食物繊維に関連するレジスタントスターチ含量が同品目の一般野菜より高かった。以上より、滋賀県の伝統野菜には機能性においても特徴的な品種があることが明らかになった。
  • 黒飛 知香, 干野 隆芳, 風見 由香利, 早川 文代, 羽倉 義雄
    セッションID: 1B-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ジャムの製品受容性に欠かせないテクスチャーは,ペクチンの種類や濃度によって大きく変化する.これまでに,官能評価によるジャムのかたさ,なめらかさ,口どけ等の項目が見かけ粘度と高い相関を示し,口腔内の状態(ずり速度)を調節しながら知覚していることを報告した.本研究では,ジャムの風味に及ぼすテクスチャーの影響について検討した.
    【方法】試料は,イチゴ(45%),糖類(44%),クエン酸(0.25%)にゲル強度がほぼ同程度である市販LMペクチン4種(A~D)をそれぞれ0.4,0.6,0.8%添加・調製した合計12種類とした.官能評価には,訓練パネル(n=13)を用い,3項目(甘味・酸味・イチゴの香り)のImax(最大強度)についてTime-Intensity(TI)法で評価した.物性測定では,動的粘弾性測定法,ショートバックエクストルージョン(SBE)法,ラインスプレッド(LST)法およびリングろ紙法により定量的な評価を行った.また、SBE法では,20℃および29.3℃(人工唾液なし・あり)の3条件において測定を行った.相関分析および重回帰分析を用い,官能評価値と物性値との相互関連性から風味に寄与する因子を把握した.
    【結果】酸味は動的粘弾性による20℃の降伏値(ゲル→ゾル)と高い相関(r=-0.84)を示したことから,ゲル構造からゾル状態へ変化させる降伏値の強弱が酸味の強度に大きく影響しているものと推測した.一方,甘味は,29.3℃(人工唾液あり)条件における見かけ粘度(ずり速度0.01[1/s])との関連性が高く(r=-0.72),喫食直後の唾液と混合した際の見かけ粘度が甘味強度に影響していると推察した.イチゴの香りは,29.3℃(人工唾液あり)条件での見かけ粘度(ずり速度13.6)と高い相関(r=-0.93)を示したことから,飲み込む直前の見かけ粘度の影響が大きいと推測した.さらに,重回帰分析よりイチゴの香りには離水の寄与率も高いことが明らかとなった.
  • 福留 奈美, 池田 彩子
    セッションID: 1C-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】教科書で使用される用語は、学年が上がるにつれて多様化し複雑化する。新規用語の習得の難易は、複数教科における既習内容と関係すると考えられる。そこで本研究では、たんぱく質関連用語に着目し、小・中・高校の検定教科書における用語の取扱いの実態を明らかにすることとした。

    【方法】小・中・高校の家庭科計11冊、小・中学校の理科計11冊、高校生物基礎計8冊の検定教科書を分析対象とした。たんぱく質関連の単元に出現するたんぱく質関連用語を抜き出し、本文・注釈・図表等での取扱い、小・中・高校の使用用語、家庭科と理科・生物との領域区分、学習指導要領との関連等について使用実態の傾向を分析・考察した。

    【結果】小学校では家庭科で「五大栄養素」のひとつとして、中学校では家庭科の「栄養素の種類とはたらき」、理科の「細胞のつくり、タンパク質の消化吸収」に関連づけて基礎的な用語のみが使用されていた。一方、高校では、家庭科で「たんぱく質」が独立した項目として取扱われ、生物基礎では「酵素、タンパク質のはたらきと重要性、遺伝子情報」等と関連づけて多様なたんぱく質関連用語が出現し、広範囲の内容にわたっていた。高校教科書で新たに出現する用語には、たとえば「アミノ酸評点パターン」等の複合語があり、個々の語の概念的理解ができていないと理解しづらいものが増える。また、文字から意味が推測できる漢語に対して、「メチオニン」「アミラーゼ」等の外来語がとくに物質名で増える等、専門的な内容に大きく発展・拡充していることが用語使用の面から確認できた。また、高校教科書では、学習指導要領で言及された項目以外により詳しい内容が図表や補足資料で追加される傾向があった。
  • 佐藤 幸子, 桑野 恵理子, 中條 祥子, 宇都宮 由佳
    セッションID: 1C-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】学生たちの取り巻く食環境は、消費社会の中で家庭での調理体験が極端に少なくなっている現状にある。そのため調理過程を想像することができず, 個々の家庭で経験する調理は危機的状況にある。高等教育機関において, 調理教育は体系的に調理に関わる知識や科学的に解明できる技術を習得できる教育である。また, 多くの場合, 教員の主観に委ねられた評価が先行し, 良否を判定し質的評価とする場合が多い。そこで, 本研究は, 学習者自身が自分のパフォーマンスを直接評価するために質問紙調査を実施し, 学生が「何ができると思っているのか」「どのように学習したいか」, 学生自身に提示させることで現状を明らかにし, 今後の調理教育における有効なアクティブラーニングを検討することを目的とした。
    【方法】調理教育の現状について、対象は女子大生251名とし, 2015年と2016年に調理実習科目(2単位)を履修した学生にアンケート調査を行った。内容は大学入学前の7項目の食環境について, 調理実習科目を履修した後に「学んだこと」23項目, 調理実習の学習方法,教育方法について調査を行い, 選択回答は項目ごとに集計した。なお, 本研究の調査の対象とした授業は, 調理の基礎的知識と技術をデモンストレーションとグループ実習を組み合わせて行う調理学実習である。授業の進め方は, 事前に授業内容を学内LANで共有し授業を受講するスタイルである。
    【結果】アンケートの結果,「調理実習への態度」の質問では, 最も多かった回答は「他人へ指示はできないが,自分が何をするか周囲に伝えて調理するタイプ」61%,次いで「積極的に声をかけ,周囲へ指示するタイプ」18%を示した。また,「積極的に声をかけ,周囲へ指示するタイプ」の約半数が3歳から6歳の幼児期から家で調理をしていると回答したことから, 個々の経験や体験が調理教育において重要であると推察された。履修後のアンケート「実習班は固定より変わるほうが良いか」では約74%が良いと回答し, グループメンバーをローテーションすることで「何ができたか」など思考力の質的向上を認識できると思われた。「胡瓜の小口切りの技術は身についたか」では約85%が身についたと回答した。調理教育においてパフォーマンス評価は, 学生自身の感性を引き出し,個々を評価することができるとわかった。 今後, グループ実習スタイルの中で自己評価するためのパフォーマンス評価を確立していきたい。
  • 福田 ひとみ, 勝川 路子, 村越 直子
    セッションID: 1C-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】近年、災害時の栄養・食生活支援マニュアル等の対応についての出版物は増えてきたが、栄養士、管理栄養士には非常事態における基本的な知識にとどまらず、臨機応変に対応できる能力が求められている。そこで、非常時を想定した実習を行い、防災食の利用や様々な状況下での食事提供についての問題点を探った。
    【方法】本学食物栄養学科2回生(n=130)を対象に、防災食の備蓄状況についてのアンケート調査と、備蓄食材を使用した調理実習を行った。実習では、各自がポリ袋を用いて白飯とカレー、副菜を調理した。調理および片づけの過程で消費した水とキッチンペーパーの使用量の測定などを行った。
    【結果と考察】アンケートの回収率は100%で、3日以上防災食を備蓄している人16 %で、備蓄していない人が多かった。備蓄している食材は「ツナ缶」「コーン缶」「わかめ」「高野豆腐」「ジャガイモ」が多かった。水は40%の人が用意していた。また、ローリングストック法について知っている人は10%であった。災害時には水の確保が困難であるため、飲食用には適さない水の使用が想定される。そこで、実習では飲食用水(水道水)と加熱用水(飲食用には適さない水)に分け、加熱用水には赤色色素を加えて区別した。その結果、マニュアルをもとに炊飯した学生の70%で加熱用水の混入が認められた。調理や片づけに用いた飲食用水量は1班(6人)当たり1940±191 mLであった。キッチンペーパーの使用量は20.1±26.8 gであった。ポリ袋を使用することにより、アレルギー対策や塩分の調整などきめ細かく対応することができるが、非常時に実践するためには実習による事前学習が必要である。
  • 橋本 ヨシイ, 関 郁美
    セッションID: 1C-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】日本の伝統的な食文化である家庭料理は2013年12月にユネスコの無形文化遺産にも登録され、世界的に見て和食ブームと言われている昨今であるが、現実的には家庭料理の基本ともいえるみそ汁離れが杞憂されている。中でも特に若い世代(10~20代)に於いては顕著である。しかしながら、多くの研究により一日一杯のみそ汁は生活習慣病をはじめ、様々な疾患の予防に有効とされている。このことから、若い世代におけるみそ汁の喫食状況と嗜好の傾向を調査し、人気のみそ汁ベスト10を選定して嗜好性と栄養面から検証した。合わせて簡便なインスタントみそ汁の利用状況や即席だしの素の使用状況にも触れ、若い世代の食生活の実態に迫った。
    【方法】平成22年10月に実施した小中学生対象のみそ汁アンケート調査と平成29年5月に実施した大学生アンケート調査の結果から人気のみそ汁ベスト10を選定し、官能試験や栄養成分の比較検討を行った。また、インスタントみそ汁喫食頻度と使用だしの種類の割合、若者世代が抱くみそ汁のイメージを明らかにするとともに、他の世代との比較検討も行った。
    【結果】平成22年時に実施した小中学生アンケートと、平成29年5月に実施した大学生アンケートの結果から、みそ汁の喫食状況、及び好みの具材の種類、好きなみそ汁ベスト10において嗜好の経年変化と共通性を見つけ出した。他の年代との比較検討の結果からは、若者特有の部分も明らかになり、今後のみそ汁離れ防止の課題点も見えてきた。また、今回の大学生のアンケートではインスタントみそ汁の喫食状況や使用だしの種類から簡便さを求める食事情、みそ汁の捉え方が見え、その傾向は今後加速度的に増加する可能性が示唆された。一方で、一日一杯のみそ汁を取り入れた食事は大変バランスがよいことから、今後は小児期、学童期の食習慣が成人の食習慣へ移行することを鑑み、保育園や学校給食でおいしいみそ汁のついた和食献立が頻繁に登場するような提案を重ねていくこととした。
  • 三宅 紀子, 竹中 真紀子, 三好 恵子, 長田 早苗, 小野 裕嗣
    セッションID: 1D-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】アクリルアミド(AA)は、食品を120℃以上で加熱したときにメイラード反応によって非意図的に生成する有害化学物質である。炊飯は湿式加熱の調理法であるが、低濃度のAAが生成することが知られており、鍋肌での高温加熱が主な原因と考えられている。しかし、品温が120℃を超える加圧や副材料の存在がAAの生成に与える影響については不明な点が多い。本研究では、精白米を加圧条件も含む様々な条件で炊飯した白飯および炊き込み飯を対象として、AA生成の実態を明らかにすることを目的とした。
    【方法】各種調理器具(圧力鍋(146 kPaG、80 kPaG、0 kPaG(常圧)の異なる加圧条件が可能、内鍋を使用可能)、炊飯器(マイコン式、IH加圧式)、土鍋)を用いて、常温で30分間浸漬した精白米を用いて、白飯および炊き込み飯(ゴボウ、ニンジン等の具を含む)を炊飯した(n=4)。炊飯時に鍋内側底面および米(飯)中央部の温度を測定した。炊飯後、飯全体を攪拌し、一部を採取してAA濃度を測定した(LC-MS/MS法、検出限界 0.2 μg/kg、定量下限 0.5 μg/kg)。
    【結果】各種方法で炊飯した白飯中のAA濃度範囲は1.2~2.8 μg/kg、炊き込み飯中のAA濃度範囲は1.4~2.7 μg/kgであったが、調理器具の種類、炊飯中の加圧条件および鍋肌近傍での局所的な高温加熱の違いによってAA濃度に顕著な差は認められず、また、白飯と炊き込み飯の間でも差は認められなかった。炊飯米のAA濃度は概して低いものの、日本人の食生活において白飯の摂食量が大きいことを考慮すると、日本人が食品を通じて摂取するAAにおける米飯の寄与には慎重な評価が必要と考えられた。
    ※農林水産省の委託研究事業を活用して本研究を実施した。
  • 竹中 真紀子, 三宅 紀子, 三好 恵子, 長田 早苗, 小野 裕嗣
    セッションID: 1D-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】アクリルアミド(AA)は、食品を120℃以上で加熱したときにメイラード反応によって非意図的に生成する有害化学物質である。これまでに、炊飯時のAAの生成については、玄米や発芽玄米は精白米よりもAAを生成しやすいことなどが報告されているが炊飯条件による影響等の詳細は不明であった。そこで本研究では、玄米について加圧調理を含む様々な条件で炊飯し、炊飯後のAA濃度に関係する要因を見出すとともに、AAの低減に資する知見を得ることを目的とした。
    【方法】各種調理器具(圧力鍋(146、80、0 kPaG(常圧)の異なる加圧条件が可能、内鍋を使用可能)、炊飯器(マイコン式、IH加圧式)、土鍋)を用いて、4℃で16時間以上浸漬した玄米を炊飯した(n=4)。炊飯時に鍋内側底面および米(飯)中央部の温度を測定した。炊飯後、飯全体を攪拌し、一部を採取してAA濃度を測定した(検出限界 0.2 μg/kg、定量下限 0.5 μg/kg)。
    【結果】炊飯玄米中のAA濃度範囲は2~8 μg/kg、各種炊飯中の中央部の最高温度範囲は100~125℃であったが、AA濃度と最高温度の間に明確な相関は認められなかった。内鍋を使用した圧力鍋での炊飯を比較すると、加圧(146 kPaG)条件では常圧条件よりも炊飯玄米中のAA濃度が有意に高くなり、加圧による高温がAAの生成に与える影響が確認された。また、調理器具の種類や炊飯時の水量など、鍋肌でのおこげの出来やすさとも関連する複数の要因がAAの生成に少なからぬ影響を与えていることも示唆された。炊飯の際の加水量を増やすと、検討した全ての圧力条件においてAAの生成量は有意に減少したことから、玄米の炊飯でAA生成量を低減させるポイントとなりうることが示唆された。
    ※農林水産省の委託研究事業を活用して本研究を実施した。
  • 土岐田 佳子, 柏崎 英里子, 濱中 真理子, 藤井 恵子
    セッションID: 1D-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】アレルギー対応食としてのグルテンフリー食品は、卵もしくは乳製品を使用している場合が多い。本研究では、小麦、卵、乳のアレルギー対応食品として、米粉と豆乳泡沫を用いた米粉スポンジケーキに着目した。生地の調製時に添加する糖は、非う蝕性、エネルギー低減効果のあるキシリトールを使用し、スポンジケーキの品質と保存性に与える影響を検討した。
    【方法】米粉スポンジケーキは、起泡した豆乳に糖を添加した後、米粉と混合し、150℃で30分焼成して調製した。糖にはグラニュー糖、キシリトール、両者の混合系を用いた。豆乳の起泡力と泡沫安定性、生地の特性、ケーキの力学特性及び老化特性を調べ、併せて官能評価を行った。
    【結果】豆乳の起泡力はキシリトール単独系では添加量の増加により低下したが、混合系では糖濃度55%まで低下が抑制された。泡沫安定性は、キシリトール単独系はグラニュー糖単独系に比べ、離水が速くなった。ケーキの比容積は、グラニュー糖単独系では、糖濃度の影響をあまり受けないのに対し、キシリトール単独系は糖濃度55%までは添加量が増えると増大した。ケーキの硬さは、グラニュー糖単独系が最も硬くなり、キシリトールを添加することでやわらかくなった。これらのケーキを25℃で2日間保存したところ、グラニュー糖、キシリトール単独系では、経時的に硬くなったのに対し、混合系では硬化速度が抑制された。官能評価においては、小麦、卵を使用したスポンジケーキと比べ、キシリトール混合系は、グラニュー糖単独系と同様に、きめが細かくしっとりしていると評価され、グラニュー糖単独系と同等の品質が期待できることが示された。
  • 桑野 恵理子, 中條 祥子, 佐藤 幸子
    セッションID: 1D-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】フランスの伝統的なお菓子であるパウンドケーキは、バターを主材料とした焼き菓子である。しかし、現在、安価なパウンドケーキはバターを使用せず植物油を使用した商品も多く見かける。そこで本研究では、バターおよび植物油を使用したパウンドケーキを調製し、機器分析として破断特性、GC/MSおよびGC/Oによる香気成分を検証し、その特徴を検討した。さらに調製したパウンドケーキについて官能評価を行い、パウンドケーキの嗜好特性について考察した。
    【方法】試料調製は、油脂と砂糖を混ぜたあとに、卵、薄力粉を加える「シュガーバッター法」を採用した。試料は、バターを使用したパウンドケーキ(以下A)を基準とし、油脂としてバターと同量の植物油100gを使用した試料(以下B)の2種について機器分析を行った。さらに試料は、高さ、表面および断面の焼き色、水分含有率を測定した。また官能評価は30名を対象とし、試料はAおよびBの他に植物油の分量を60gとした試料(以下C)の3種類を調製し、嗜好型5段階尺度による評点法で行った。
    【結果】機器分析の結果、破断強度は、試料Aよりも試料Bの破断応力が高く硬かった。パウンドケーキの調理香気は、試料Aで確認されたが試料Bでは確認できず、バターを使用することで香りを感じることがわかった。水分含有率、焼き色の明度は、試料Aが高かった。官能評価の結果、「香りの良さ」および「香りを感じる」において試料Aと試料Cに5%危険率で有意差が認められ、「総合評価」において試料Aが最も高評価であった。以上のことから、パウンドケーキの嗜好特性はバターを使用した方が嗜好性が高く、その硬さや風味が嗜好性に影響をもたらすことがわかった。
  • 村上 匡, 児玉 ひろみ, 細山田 洋子, 豊満 美峰子
    セッションID: 1E-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】近年、学生の調理用語の認知度の低下が指摘されている。そこで、学生の調理用語の認知度を調査して実態を明らかにし、今後の調理教育の基礎資料としたいと考えた。
    【方法】調理用語131語について認知度のアンケート調査を行った。用語の選択については、小・中・高の家庭科教科書、大学の調理学教科書、調理実習テキスト、料理用語辞典等から教育上必要と思われるものを選択した。調査対象は栄養士養成課程の短大、管理栄養士養成過程の4年制大学、調理師専門学校の新入生とし、361名から回答を得た。調査票の選択肢は、「知らない」、「聞いたことがある」、「知っているが使わない」、「知っていて使う」の4段階とした。得られた回答は数値化し、その平均値を求めた。
    【結果】認知度が高い用語は、「みじん切り」4.0、「せん切り」3.9、「輪切り」3.9などの切り方や、「炒める」4.0、「焼く」4.0、「茹でる」4.0、「揚げる」4.0、「煮る」4.0などの基本的な加熱調理操作及び、「なべを火にかける」4.0、「ザルにあける」4.0、「あくを取る」3.9などであった。一方、認知度の低い用語は、「ねじり梅」1.7、「松かさ切り」2.4、「菊花切り」2.6などの飾り切りに類するものや、「含め煮」2.3、「砂出し」2.3、「えんぺらをはがす」2.3、「すがたつ」2.3、「茶巾絞り」2.2、「塩出し」2.1、「白煮」1.8、「色煮」1.7などであった。単純で基礎的な用語の理解は高いが、それらを変化させた用語や、飾り切り・下処理用語の認知度は低い値であった。
  • 川崎 寛也, 笠松 千夏, 野中 雅彦, Thomas Arnaud, Schlich Pascal
    セッションID: 1E-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】 飲料や食品を一食分摂取する間に知覚される官能特性は経時的に変化し、その摂取物に対する嗜好や飽きに影響すると考えられる。そこで、市販スープをベースにして、知覚される官能特性に違いを持たせた複数の試料を用い、一食摂取条件で、複数官能特性の経時的変化を1回の評価で捉えられるTemporal Dominance of Sensations(TDS)法と嗜好(liking)および飽き(satiation)との関連を解析し、嗜好と飽きに影響する知覚経時変化の要因を探索した。
    【方法】 フランス人消費者84名を対象とし、一食摂取条件におけるTDSとlikingおよびwanting(satiationの対義)の時間的変化をTimeSenscにより計測した。サンプルには、市販野菜クリームスープにうま味としてのグルタミン酸ナトリウム(MSG)、脂質としての生クリーム、野菜風味としての野菜ペーストをそれぞれ1%、10%、1%添加したスープを用いた。
    【結果と考察】 一食摂取する条件でドミナントに感じる味・風味要素のTDS、liking、wantingの時間的変化を得た。また、摂食前半、中盤、後半と全体でlikingおよびwantingに影響を与えるドミナントな味・風味要素(Temporal drivers of liking、Temporal drivers of wanting)を知るための手法を構築した。本手法により一食全部摂取する条件において、味風味の印象がどのように変化するか、後半に嗜好性が低下した場合の要因等を広く考察すること等が可能となった。
  • 森山 三千江
    セッションID: 1E-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    目的:クローン病は近年、その患者数が急増している炎症性腸疾患である。その原因は遺伝的要因、環境要因などのうち生活習慣、中でも日本の食生活の欧米化が大きく影響を与えると言われているが、現時点では原因不明の難病とされている。発症年齢は10歳代後半から20歳代に多く、男女別では2:1で男性に多い。クローン病の治療法として栄養療法から最終手段としては手術であるが、この病気は食事に対する免疫反応という説が有力であるため、特に重要なのは栄養療法だと考えられている。クローン病患者が食事療法や絶食時に精神的に辛い思いをすることが多いため、患者の食生活が精神面にどのように影響するのかを関係性を追跡し、より精神的が良好に過ごせる方法を模索することを目的とした。
    方法:クローン病患者28名を対象とし、手術歴に加えて質問項目として現在の症状、身体的要素、家庭生活及び社会生活の要素、精神的背景、家族及び交友関係、などの36項目について5段階評価で回答を得た。
    結果及び考察:回答者は男性17名、女性11名で14歳から54歳であった。食事制限として脂質の少ないもの、肉、ファストフード、食物繊維など消化の悪いものを避ける、外食をしないなどの回答が得られた。また辛いと感じることで腹痛、吐き気、下血や入退院の繰り返し、学校で何も食べられない、職場での理解が得られないことなどが挙げられた。さらに、鬱やパニック障害などで通院している者もおり、病気に対する不安を訴えるものが半数以上であった。こうした患者に対して家族や職場など周囲の理解が大きな支えが重要であり、さらには若年層の発症を抑えるような食生活を探求していくことも大きな課題と考えられる。
  • 由良 亮, 浜野 純, 萩原 勇人, 楠瀬 千春
    セッションID: 1E-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】包丁技術の育成は、栄養士養成において必須の課題である。この技術は調理経験によって、比較的誰でも習得できるものである。しかし、近年、入学までの調理経験が少ない学生が増加している。そのために、卒業までに十分に期待されるだけの練度を積むことができない状況にある。
    こうした、練度を要する技術は、無意識・無自覚で行う所作に違いがあると考えられる。しかし、無意識・無自覚であるために、熟練者も学習者もその違いに気がつくことは難しい。そのため、技術向上につながる的確なアドバイスが難しいと考えられる。そこで、包丁操作を詳細に記録する方法を検討した。これにより、その人の包丁操作の特徴を見出すことができれば、それを熟練者との違いを明確にすることできると考えられる。そして、その人の上達を促すアドバイスが可能となる。
    【方法】本研究では、その方法として6軸モーションセンサー(3軸加速度,3軸角速度)を利用した。近年これらのセンサーは非常に小型化しており、包丁操作を妨げることなく、その状況を記録することができる。
    このセンサーを、包丁の柄の両端に取り付けて、キュウリの小口切り,人参と大根のイチョウ切り,大根の桂むきの動作を記録した(サンプリングレート 200 Hz)。その記録を高速フーリエ変換にかけ、周波数解析を行った。そして、切り方および被験者について比較を行った。
    【結果】どの切り方および被験者においても、包丁操作のパワースペクトルは概ね15 Hz 未満の周波数領域に集中していた。また、両端のセンサーが検出した加速度は、信号強度に差異が認められた。しかし、角速度ではわずかな違いしか認められなかった。
    それぞれの材料・切り方において、パワースペクトルに明確な違いが認められた。キュウリの小口切りでは,加速度・角速度のパワースペクトルに明確な倍音成分が認められた。人参のイチョウ切りでは,包丁の切断動作に伴う軸方向で,加速度・角速度スペクトルに特徴的なピークが確認された。大根のイチョウ切りでは一定の傾向は認められなかった。
    また、被験者間においても明確な違いが認められた。違いについては、解釈を検討する必要があるものの、特徴点を見出すことが可能と考えられる。
  • 谷口 明日香, 京極 奈美, 長尾 慶子, 小林 理恵
    セッションID: 2A-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】雑穀粉は健康増進の観点からその機能性が注目されているが、調理への利用は限定的である。そこで我々は、グルテンを含まない雑穀の特性を生かした用途として、天ぷら衣への応用を検討している。これまでに各穀物粉(小麦粉・うるち米粉・もち米粉・大麦粉・ソバ粉・ハトムギ粉)の揚げ衣の品質を機器測定により評価し、健康機能性評価も踏まえ、天ぷら衣として大麦粉とハトムギ粉は小麦粉の代替適性が期待できることを報告した。今回は雑穀の好まれない特性の一つである“におい”に注目し、揚げ衣のにおいの特徴を検討すると共に、天ぷらに用いた際の嗜好性を官能評価により明らかにした。

    【方法】各穀物粉の揚げ衣の“におい”は、におい識別装置にて測定した臭気指数相当値で比較した。官能評価は女子大学生をパネルとし、5段階嗜好型評点法で実施した。試料は既報に準じて調製した各穀物粉バッターを衣に用いて180±5 ℃で140秒間揚げたさつまいも(紅あずま)の天ぷらとした。評価項目は、揚げ衣のにおい、色調、食感、衣の油っぽさの程度、総合評価とした。

    【結果】いずれの雑穀粉揚げ衣試料も小麦粉のそれより臭気指数相当値が有意に低かった。においが弱いことは食べやすさにつながると期待できる。官能評価ではいずれの項目もソバ粉試料の評価が低かった。吸油率が最小のうるち米粉及び最大の大麦粉試料は共に油っぽさの程度において好まれる傾向にあった。衣の食感は、各試料の中間的な硬さの大麦粉試料が最も好まれ、硬い揚げ衣のうるち米粉及びハトムギ粉試料も好まれていた。総合評価ではハトムギ粉試料、次いで大麦粉試料が好まれており、嗜好性の高い大麦粉とハトムギ粉は、天ぷらの衣として利用適性があると結論付けた。
  • 仲西 由美子, 江口 由, 入江 謙太朗
    セッションID: 2A-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】パスタはイタリアを起源とし、いまではすっかり日本にも定着した料理である。パスタは通常、ソースと絡めた状態で食べられるものであるため、その状態で評価される必要があるが、これまでの研究ではパスタ単独もしくはソース単独での評価がほとんどであった。最近では消費者の志向も高度なものになってきており、パスタメニューのさらなる高品質化を目指すためにはソースを絡めた状態でのパスタを評価する必要がある。そこで本研究では、トマトソースを絡めたパスタについて、茹で時間によりソース由来成分の浸透度合いや分布がどう変わるか、MRIにより評価した。
    【方法】太さ1.7mm径のスパゲティを3条件の時間で茹で(短:6分30秒、中:8分30秒、長:11分)、トマトソースに浸して絡めた。これらをソースから取り出し、MRIによる分析を行い、T2値を指標として評価した。比較としてトマトソースを絡めないサンプルも測定した。
    【結果】全てのサンプルにおいて、パスタ断面の表層から0.5mmまでは、ソースを絡めることでT2値が低下した。8分30秒茹でのパスタでは、中心部のT2値がソースを絡めることで上昇した。11分茹でのパスタでは、ソースを絡めた後に中心部のT2値がわずかに低下しているように見られた。6分30秒茹でのパスタではソースを絡める前と後のサンプルが共に中心部のT2値が検出限界以下の値をとっていたため、ソースが浸透しているかどうかを判断することができなかった。8分30秒茹で、11分茹でのパスタにおいてはソースを絡めることにより中心部までT2値に変化が生じており、ソースの成分が浸透していることが示唆された。
  • 加藤 和子, 駒込 乃莉子, 峯木 眞知子, 森田 幸雄
    セッションID: 2A-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】米は、世界の二大食糧作物で、日本のみならずアジア諸国でも食べられている。近年、米の入手方法も多様化し、家庭における保存状況も様々である。米を安心で安全に喫食するための一助として、日本およびアジアの米の細菌汚染状況を調査した。
    【方法】日本の家庭米35(精白米29、無洗米6)、自家米14、市販米11の計60検体、および韓国6、タイ7、フィリピン8検体の市販米、計21検体について一般生菌、大腸菌群、大腸菌、食中毒菌(ウェルシュ菌、バチルス属菌)を定量検査した。大腸菌群、大腸菌、食中毒菌の同定は食品衛生検査指針に準じた。
    【結果および考察】生米の一般生菌の検出状況は、平均菌数(対数値/g)はタイ米が2.45±0.09と低く、日本の市販米は3.88±0.11と高かった。タイ米、フィリピン米は日本の家庭米である精白米・無洗米・自家米・市販米および韓国米の検体に比べて、一般生菌数は有意に低かった。大腸菌は韓国米1検体のみ検出された。大腸菌群は日本の無洗米1検体が3.82と高く、タイ米・フィリピン米からは検出されなかった。ウェルシュ菌は、いずれの検体からも検出されなかった。バチルス属菌の検出では、日本の無洗米6検体中2検体から検出され、陽性検体の平均菌数(対数値/g)は4.06±0.16と高く、タイ米(7検体中3検体が陽性)は2.54±0.14と低かった。日本の家庭米の精白米1検体、タイ米2検体、フィリピン米1検体の加熱検体から平均菌数(対数値/g)約2のバチルス属菌が検出された。陽性検体数は少ないものの加熱して喫食する米飯ではバチルス属菌による危害を防止することが必要であると思われた。
  • 佐藤 之紀, 野村 詩織
    セッションID: 2A-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】食パンをトーストすると,焼き目が付く。その際の色の変化とトースト表面および内部の力学物性を比較し,人間の官能評価値との関係を調べた。
    【方法】家庭用製パン器 (Panasonic SD-RBM1001)で,厚さ25 mmパンを調製し,市販のポップアップトースターで加熱レベルダイヤルに従い,パン表面の色を色差計(CR-10, コニカミノルタ)で追跡した。その後,AACC変法に従って,deformation curve (FTL曲線) を描き,25 % deformation (L=6.25 mm)での力(CFV20)を求めた。さらに,CFV20算出時のFTL曲線上のL=1 mmまでpenetrateさせた際のLに対するFT の変化割合を初期傾斜Sinと定義し,トーストの表面とトースト内部までの力学物性値(CFV20)および平均年齢21.6±1.02歳の5名の男女パネルの指先でトーストを圧す感覚を数値化した官能評価値と比較した。
    【結果】加熱レベルダイヤルを高くすると,焼き目が濃くなった。その際,加熱レベルに伴い,L値は顕著に下がったが,aとb値は加熱レベルとはあまり対応していなかった。一方,食パンの力学物性をAACC変法を用いる方法で調べたところ,食パン表面のSin も加熱レベル上昇に伴って大きくなった。さらに,Sinをトーストの表面の力学物性値としてトースト内部の力学物性値CFV20との関係を調べたところ,双方は高い相関で直線に近似可能であった。このことから,トースト表面と内部の力学物性値はほぼ対応していると考えられた。また,トーストした食パン表面の明度(L値)とCFV20も,高い決定係数で双方が直線に近似されたため,限定的な条件ではあるものの,非侵襲的な方法でトーストした食パンの力学物性を推定できると思われた。一方,加熱レベル0と加熱レベル5のトーストを指先で圧して受ける感覚をそれぞれ最小(-3),最大(+3)のかたさ標準として,焼き目の強弱によるトースト色のかたさ判断への影響をマスクさせた系を用いて加熱レベル0,1,3,5のトーストの指先感覚の官能評価を行ったところ,トーストの加熱レベルと人間の指先感覚の官能評価値はよく対応していた。
  • 西原 百合枝, 池口 舞, 田﨑 奈緒子, 藤本 彩花, 朝倉 富子, 舟木 淳子
    セッションID: 2A-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高齢者は食事摂取量低下などによって、タンパク質やエネルギーなどが不足しがちとなる。本研究では、われわれが嚥下困難者用食品として作製しているパン粥において、不足しやすい栄養を補給することを目的に、タンパク質を多く含む大豆製品を添加したパンを作製し、これらのパンを使用したパン粥の作製を検討した。
    【方法】パンはホームベーカリー(SD-BMT2000、パナソニック株式会社)を用いて作製した。大豆製品はきな粉、おからパウダー、大豆粉を使用し、それぞれ強力粉重量の20%を置き換えた。これらのパン(きな粉20%、おからパウダー20%、大豆粉20%)について、比容積を測定した。その後、パンのクラムを水とともに攪拌、加熱しパン粥を作製した。パン粥はクリープメータ(株式会社山電)を用いてテクスチャー解析を行った。
    【結果】パンの比容積は、きな粉20% 3.10±0.06 ml/g、おからパウダー20% 1.50±0.03 ml/gとなり小さかったため、4.35±0.10 ml/gとなった大豆粉20%についてパン粥を作製した。加熱時間5分30秒間のパン粥を45±2℃で測定した場合のパン粥の硬さは0.69±0.06 kPa、付着性は0.42±0.09 kJ/m3、凝集性は0.70±0.04となった。20±2℃で測定した場合の硬さは1.46±0.28 kPa、付着性は0.79±0.14 kJ/m3、凝集性は0.62±0.05となった。これらの値は消費者庁のえん下困難者用食品たる表示の許可基準に当てはまっており、大豆粉を添加したパンを使用したパン粥は、嚥下困難者用食品として利用できる可能性があると考えられた。
    本研究の一部は、総合科学技術・イノベーション会議のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「次世代農林水産業創造技術」によって実施された。
  • 山地 美樹, 伊藤 聖子, 新井 映子
    セッションID: 2A-6
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】パンは多孔質で水分含有量が少ないため、唾液分泌が低下した高齢者には食べにくい。先行研究では、少ない唾液量でも食塊形成が容易なパンを調製するため、0.8%寒天ゲル添加による加水量の増加が、パンの特性や食塊物性に与える影響について検討した。これまでに、高含水パンはやわらかく付着しにくい食塊を形成することが明らかとなった。しかし、加水量の増加に伴って比容積は低下し、クラムのかたさも増加することがわかった。本研究では、寒天濃度を増加させることでパンの膨化性やテクスチャーの改善が可能か検討することとした。

    【方法】寒天濃度1、2、3%のゲルを調製し、添加量を変化させて加水量が120、140、160%になるよう生地を調製した。焼成後のパンの比容積、クラムの水分含有率およびテクスチャーを測定した。寒天濃度の増加に伴い、焼成条件の最適化も行った。

    【結果】寒天濃度1%では、140%以上加水すると生地がバッター状となり、比容積が低下してかたさが増した。寒天濃度2%および3%では、140%以上の加水でも膨化性とテクスチャーの改善が認められたが、ケービングが生じたため、120%加水が最適と考えられた。寒天濃度2%および3%の120%加水パンは、比容積が4.0 mL/g以上となり、パンの内相も良好だったことから、添加するゲルの寒天濃度を高めることは、膨化性に優れた高含水パンを調製するために有効であることが明らかとなった。
  • 川口 典大, 伊藤 聖子, 新井 映子
    セッションID: 2A-7
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年,小麦アレルギーの増加に伴い,米粉を原料とするグルテンフリー食品の需要が増加している。しかし,米粉はグルテンを形成しないため,パンやケーキに用いた場合に膨化性が悪く,小麦粉とは異なる特有のテクスチャーを示す。先に我々は,グルテンフリー米粉パンに豆乳を使用すると,膨化性が改善することを報告した。本研究では,米粉を用いて鶏卵,乳製品,小麦の3大食物アレルギー物質を含まないパウンドケーキを調製するに当たり,豆乳に代わって米粉パウンドケーキの膨化性やテクスチャーの改善に寄与する豆類抽出液の探索を目的とした。

    【方法】豆類は,一般的に入手しやすく系統の異なる,ささげ,大福豆,緑豆および大豆を用いた。各豆に乾燥重量の7倍量の水を加えて2日間浸漬後,ミキサーで破砕し,遠心上清を豆抽出液とした。パウンドケーキ(以下ケーキ)の材料は,小麦粉を米粉,バターをオリーブオイルに置換し,鶏卵の代わりに水または豆類抽出液を加えてケーキを調製した。ケーキの比容積,テクスチャー,色調,クラム組織について,水および豆類抽出液の影響を比較した。

    【結果】大豆と大福豆を使用したケーキの比容積は,水,ささげ,緑豆よりも高値となり,大豆と大福豆の間に有意差は認められなかった。クラムの硬さは,ささげと大福豆が大豆と同程度であった。クラストの色調は,大豆が最も焼き色が濃くなったが,クラムの色調に差は認められなかった。以上の結果と,大豆アレルギーを考慮した場合,3大食物アレルギーフリーの米粉パウンドケーキには,大福豆抽出液の使用が有効であると考えられた。
  • 山本 淳子, 森山 三千江
    セッションID: 2A-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】むらさき麦は、愛知県岡崎市藤川地区において江戸時代から染料の材料として栽培されていた。一旦、栽培が途絶えたが、町おこしの一環として栽培し、食利用が進められている。むらさき麦は、大麦品種で、アントシアニン色素を含む紫色を有し、大麦同様食物繊維の摂取が期待できる。また、小麦製品を食べられない人にもグルテンフリー食品としての利用が考えられる。小麦のタンパク質と違い、むらさき麦粉では、ドウ形成ができず膨らみが悪くなることが分かっている。そこで、身近なケーキを用い、膨化の検討を行い、機能性を付与したケーキの開発を目標とした。本実験では、薄力粉を使用せずに、むらさき麦粉のみのケーキの性状におよぼす影響を明らかにすることを目的とした。
    【方法】ケーキ材料は、卵、砂糖、水に粉を加え作製した。ケーキの膨化は、卵の泡立て(泡)とベーキングパウダー(BP)を用いた。むらさき麦粉を用いたケーキをむらさき麦粉泡、むらさき麦粉BPとし、むらさき麦粉の対照として薄力小麦粉を用いたケーキを小麦粉泡、小麦粉BPとした。測定項目は、破断応力測定は、クリープメーター(山電)を用いた。色調は、色差計(日本電色)を用い測定した。官能評価は、分析型官能検査(n=9)および嗜好型官能検査(n=43)を5点評点法で行った。
    【結果および考察】むらさき麦粉は、小麦粉に比べ高さが低くなった。特に、BPは膨化が小さく破断応力が2.88×105N/m2と、小麦粉BPの約1.2倍、小麦粉泡の約1.5倍に増加した。色調は、茶色となり、L*値、a*値、b*値ともに下がった。そのため、分析型官能評価結果は、むらさき麦粉BPが小麦粉に比べ色が悪く、きめが粗く硬い評価となった。一方、むらさき麦粉泡は、小麦粉BPよりも硬さで良い評価となった。さらに、嗜好評価の結果、むらさき麦粉泡が小麦粉に次いで好まれた。以上のことから、卵の泡立てにより食感の改善ができることが示唆された。
  • 永井 紘太, 佐藤 恵美子, 吉村 美紀
    セッションID: 2A-9
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】米粉を用いた調理加工品は小麦粉とは異なる特有のテクスチャーがみられ,米粉の特性や製粉方法について研究されている。米粉には小麦粉のグルテンのような粘弾性をもつ成分がないため,米粉単独では展延性を有する生地の調製が困難である。この性質をふまえ,本研究では米粉生地に粘弾性を付与し栄養面の改善にも期待できるものとして大豆タンパク質に着目した。米粉に大豆タンパク質を混合した生地を調製し,その混合比率が米粉-大豆タンパク質麺の物性・熱的特性に及ぼす影響を検討した。
    【方法】米粉(RF:前原製粉)と大豆タンパク質(SPI:不二製油)の混合割合をRF:SPI=10:0~0:10とし,DSC(示差走査熱量測定)(DSC-6100:セイコーインスツルメンツ)により米粉の糊化特性を検討した。米粉,大豆タンパク質,蒸留水(DW)を加えスタンドミキサー(KSM5:キッチンエイド社)で10分混捏し生地を調製した。混捏後の生地をラップで包み,25℃で30分間熟成させた。ローラー及びカッターを用い生地の圧延,麺切りを行い麺を調製し,1Lの沸騰水中で麺50gを90秒間加熱した。加熱後流水で30秒間麺を洗い,表面の水分を拭き取ったものを測定試料とした。測定はクリープメータ(RE2-3305B:山電)を用い破断測定を行った。
    【結果】DSCでは,RF:SPI=8:2において糊化ピーク温度が最も低く,米粉1mgあたりのエンタルピーが大きくなるが,RF:SPI=7:3以上でエンタルピーが小さくなることから,大豆タンパク質が多くなると米粉の糊化を抑制することが考えられた。このことからRF:SPI=8:2とし,蒸留水比率(DW)を変えて破断特性を検討した。破断応力が7.88×104Paを示した比率RF:SPI:DW=8:2:5を最適と判断した。
  • 石井 麻美子, 細田 捺希, 吉村 美紀
    セッションID: 2A-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】食品ハイドロコロイドは、ゲル化性、増粘性などの様々な優れた機能特性をもち、広く家庭や産業界で使用されている。異なる食品ハイドロコロイドを混合することによる新しい食品ハイドロコロイドの開発が期待されている。これまで、食品ハイドロコロイドである寒天と分子量の異なるコンニャクグルコマンナンの混合系ゲルについて検討したが、本研究では、ショ糖を添加した混合系ゼリーの物性・嗜好性・咀嚼性を検討した。
    【方法】試料には、寒天(AG)と、分子量の異なるコンニャクグルコマンナン3種類(LKGM、MKGM、HKGM)、ショ糖を用いた。AGと各KGMの総濃度を2.0w/w%、ショ糖濃度を10%としてゼリーを調製し、破断測定、テクスチャー測定、官能評価、咀嚼筋筋電位測定を行った。
    【結果】破断測定では破断応力、破断エネルギー、破断歪、テクスチャー測定ではかたさにおいて、AG-LKGMが他の2つより有意に低値となった。付着性はAG-LKGMが他の試料より有意に高くなった。これは、LKGMの分子量が小さく分子鎖が短く、付着性を高めAGの架橋形成を阻害したことによると推察した。咀嚼筋筋電位測定では、咬筋と舌骨上筋群の咀嚼回数、咀嚼時間、総筋活動時間はAG-HKGM、AG-MKGM、AG-LKGMの順で減少する傾向がみられた。咬筋の総筋活動量は、AG-KGM、AG-MKGM、AG-LKGMの順で減少する傾向がみられ、これらは、破断測定、テクスチャー測定のかたさと同様の傾向を示した。一方で、舌骨上筋群の総筋活動量は、AG-KGM、AG-MKGM、AG-LKGMの順で増加する傾向がみられ、付着性と関連がみられた。ユニバーサルデザインフードとしての区分では、AG-HKGMとAG-MKGMはの区分1の「容易に噛める」に分類でき、AG-LKGMは区分2の「歯ぐきでつぶせる」に分類できた。
  • 古谷 彰子, 大西 峰子, 三星 沙織, 米山 陽子, 平尾 和子
    セッションID: 2A-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】ワラビの根から抽出されるワラビ澱粉は、高価で保存性も悪い。わらび餅の調製に用いるわらび粉の市販品には安価な甘藷澱粉やクズ澱粉が混合されているもタピオカ澱粉を利用したものが多い。しかし、これらの澱粉は安価であるという利点はあるものの、ワラビ澱粉で調製した本わらび餅とは食味・食感がかなり異なっていた。本報告では、加工タピオカ澱粉を用いて、本わらび餅に近い食感のわらび餅の調製法を検討した。
    【方法】澱粉は、未加工タピオカ澱粉(NT)、リン酸架橋タピオカ澱粉(P)、Pの酵素処理澱粉(PE)、アセチルリン酸タピオカ澱粉(AP)、APの酵素処理澱粉(APE)の5種(グリコ栄養食品(株))とし、上白糖(三井製糖)と蒸留水を用いてわらび餅を調製した。加水量は各澱粉の水分量を求めて調整した。またシェッフェの単純格子計画法を用い、NTと2種の加工タピオカ澱粉(PE、APE)を3成分として配合割合の異なる9つの格子点を設定した。物性測定はクリープメータ((株)山電)、官能評価は本わらび餅を対照として、つり合い不完備型ブロック計画法を用いて行った。
    【結果】官能評価の嗜好では、PEとAPEを用いたものが総合評価の項目で有意に好まれたが、どちらも本わらび餅の食感とは異なっていた。そこで、シェッフェの単純格子計画法を用いて3種澱粉(NT、PEおよびAPE)の配合割合の影響を検討したところ、格子点⑦のNT:PE:APE=1:1:1の配合割合のわらび餅が本わらび餅に最も近い物性値を示した。官能評価の特性評価においても、弾力と口どけの項目で有意にあると評価された。嗜好においても、本わらび餅と同様に「好き」「非常に好き」と評価され、有意に好まれた。
  • 芹生 直子, 近堂 知子, 高橋 節子, 平尾 和子
    セッションID: 2A-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】近年タピオカ澱粉にリン酸架橋,アセチル化リン酸架橋を施した後,これらに酵素処理を施した加工澱粉が開発された。我々はこれら加工澱粉の基礎的性質およびカスタードクリームへの利用について報告した1)。本研究では,これらのカスタードクリームを用いて,嗜好に大きく影響を与えると考えられる「口どけ」の測定法について検討を行った。
    【方法】試料はタピオカ澱粉にリン酸架橋(P),アセチル化リン酸架橋(AP),リン酸架橋+酵素処理(P+E),アセチル化リン酸架橋+酵素処理(AP+E)を施した加工澱粉4種(グリコ栄養食品(株))を用いたカスタードクリーム,比較として薄力粉,とうもろこし澱粉,タピオカ澱粉を用いたもの,市販品2種を使用した。測定はクリープメータによるテクスチャーおよびレオログラフゾルによる動的粘弾性を行った。また流動特性はコーンプレート型粘度計を用い,ずり速度を1~100sec-1まで増加させた後,再び1sec-1まで減少させて測定した。さらにクリープメータによる連続圧縮測定により,最初の圧縮距離を5mm,加算距離0.5mmとして20回圧縮したときの硬さを求めた。官能評価は順位法により行った。
    【結果】薄力粉と加工澱粉3種(P,P+E,AP+E)を用いたカスタードクリームの硬さ,付着性は,室温より口腔内温度で小さくなり,同程度の値を示した。動的粘弾性では,P,P+EのクリームはAP,AP+EよりもG'およびG”が高い値となった。降伏応力は加工澱粉3種が薄力粉に比べて大きく,チキソトロピー特性値,粘稠性係数は薄力粉,P+Eが小さい値となった。粘度測定から求めたチキソトロピー特性値および流動性指数は,官能評価のなめらかさ,口どけと高い相関が認められた。連続圧縮測定では,P+Eは口どけが良いとされる一般食品に最も近い図形を示した。これらのことから粘度測定および連続圧縮測定が口どけを示す測定法として有効と考えられた。(1)日本調理科学会平成27年度大会要旨集 p.50)
  • 秋山 聡子, 池田 昌代, 鈴野 弘子
    セッションID: 2B-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】野菜にはポリフェノールやミネラルが多く含まれており、その生理的機能が近年明らかにされている。これらの成分は喫食者の疾病などの状況によっても望まれる摂取量が異なる。また、野菜を摂取するためには非加熱や加熱調理を行うが、これによりポリフェノールやミネラルは消長する。そのため、調理操作の違いによる野菜に含まれるポリフェノールやミネラル量を把握は重要である。そこで本研究では、切栽方法3種、浸漬方法2種、加熱方法2種を組み合わせ、調理後のごぼう中ポリフェノールおよびミネラルの残存率を明らかにすることを目的とした。
    【方法】切栽方法は、「輪切り」「せん切り」「ささがき」を設定した。浸漬方法は、「水浸漬」「酢水浸漬」を、加熱方法は、「水ゆで」「酢水ゆで」を設定した。各切栽方法、浸漬方法、加熱方法を組み合わせ、ごぼう中のポリフェノールはFolin-Denis法にてクロロゲン酸量を測定し、ミネラルは原子吸光光度法にて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム量を測定した。残存率は切栽のみのごぼうに含まれる量を100%とし算出した。
    【結果】残存率は、ポリフェノールは8~72%であり、切栽方法および浸漬方法に関わらず、「水ゆで」に比べ、「酢水ゆで」で高かった。切栽方法別では「ささがき」で最も低かった。ナトリウムは20~54%であり、「せん切り」で低かった。カリウムは2~24%であり、切栽方法に関わらず、「酢水浸漬後水ゆで」で高く、切栽方法別では「輪切り」で高かった。カルシウムは43~72%であり、調理操作による残存率の差は小さかった。マグネシウムは31~63%であり、「せん切り」と「ささがき」では「酢水浸漬後酢水ゆで」で最も低かった。
  • 毛利 哲, 千葉 早也賀, 内藤 志保, 早坂 夏実, 仲川 清隆, 津志田 藤二郎
    セッションID: 2B-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】パプリカには機能性フラボノイドの一種であるルテオリンが含まれており,果皮中にはルテオリン-7-アピオシルマロニルグルコシド(L-7-AMG)配糖体の状態で存在している。しかしペースト状に加工し保存すると,L-7-AMGは減少しルテオリン-7-アピオシルグルコシド(L-7-AG)が増加する。一方,一般にフラボノイドは配糖体よりもルテオリン-7-グルコシド(L-7-G)やアグリコンの方が体内吸収が良いとされている。これらのことから加工条件をコントロールすることで,ルテオリンの体内吸収力を高めたペーストを作れるのではないかと考えた。そこで,ルテオリン配糖体の加水分解に関わる要因を特定し,効率的な加水分解条件について検討した。
    【方法】パプリカをミキサーにて粉砕しペーストを調製した。酸濃度,加熱時間を変えて反応前後のフラボノイド配糖体の組成を測定した。測定はODS系カラムを接続したHPLCを用いて行った。
    【結果】パプリカ果皮由来のフラボノイドの加水分解は,マロニルエステラーゼ活性の存在が原因であった。80℃で20分以上加熱するとペーストのルテオリン配糖体組成には変動は見られなくなった。この酵素はマロニル基の離脱のみを促進していたので,更なる加水分解には酸性条件下での加熱が必要であった。クエン酸を添加し加熱加圧処理を2段階行うことでL-7-Gを多く含む配糖体が得られた。さらにpHを調整後にβ-グルコシダーゼを添加するとルテオリンアグリコンが生成された。この過程によれば,ペースト中のルテオリン含量はほとんど損失することなくL-7-Gやアグリコンを得ることができた。
  • 飯村(久松) 裕子, 笹倉 仁美, 長尾 慶子, 小林 理恵
    セッションID: 2B-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】これまで半乾燥野菜についての基礎特性を評価し,天日乾燥法による重量減少率30 %試料が茹で加熱調理品として良好な品質となることを報告した。本報では,基礎特性の評価の際に行った機器測定に併せて,咀嚼音の測定と官能評価を行い,機器測定で得られた結果が実際に人で感知できるのかを確認した。そこから明らかにされる半乾燥野菜の感覚特性について検討した。
    【方法】試料のダイコンは円柱状に成型し,乾燥させない生試料と,天日乾燥法(直射日光下)にて重量減少率30 %まで乾燥させた半乾燥試料を調製した。それらを内部温度が98℃になるまで茹で加熱し,各測定用試料とした。機器測定は,測色色差計による色度,におい識別装置によるにおいの強弱,レオナーによる破断強度,糖度計による糖度(Brix値),及び骨電動マイクロフォンを用いた咀嚼音・咀嚼回数とした。官能評価は,生と半乾燥試料の品質の差を認識できるか否かについて色,におい,硬さ,味,咀嚼音の識別試験を行った。
    【結果】生と半乾燥試料の機器測定結果で,有意差の見られた「臭気指数が低くなる」,「糖度が高くなる」の2点については,官能評価からも人の感覚で両試料の違いをとらえられることがわかった。また,色度測定で有意差のあった「a*値が低くなる」は,人の感覚ではとらえられなかった。さらに咀嚼音の測定では,機器測定及び官能評価ともに差はみられなかったものの,半乾燥試料の咀嚼回数が生試料のそれよりも増加する傾向が観察された。以上の結果から,生野菜と比較した際の半乾燥野菜の明らかな感覚特性として,「においが弱くなり」,「甘味が強くなる」こと,そして「咀嚼回数を増加させる」可能性が抽出された。
  • 山田 直史, 守田 栞捺, 山本 紗佑里, 植田 華, 小橋 一咲凪, 加藤 奈々, 中村 宜督, 伊東 秀之
    セッションID: 2B-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】
    廃棄される野菜の皮や種子に含まれるフィトケミカルを有効に得る方法としてベジブロスが注目されている。我々は先行研究として,トマトホモジネートとキュウリホモジネートを混合するとこで,トマトが保有する機能性の低下を確認している。本研究では,タマネギとニンジンの廃棄部位を用いてベジブロスをつくり,抗酸化活性,ポリフェノール含有量および抗糖化活性を測定し,ベジブロスにおける食品間相互作用の影響による機能性への影響を検討した。
    【方法】
    1.試料の調製
    タマネギ2個,ニンジン2個,およびタマネギとニンジンを2個ずつの三条件で試料を作成した。それぞれ,沸騰したお湯400mLの中に料理酒大さじ1杯とともにいれ,15分間弱火で煮た。これをガーゼでこし、その出汁を試料とした。抗糖化活性測定においては,Bond Elut C18を用いて除糖を行い,蒸発乾固したものに蒸留水を加え濃度を試料濃度を調製した。
    2.抗酸化活性の測定
    DPPHラジカル捕捉活性により測定した。
    3.ポリフェノール含有量測定
    フォーリンチオカルト法により測定した。
    4.抗糖化活性の測定
    グルコースとアルブミンによるメイラード反応によって生成する糖化最終生成物AGEsの生成阻害率により確認した。陽性対照区として塩酸アミノグアニジンを用いた。
    【結果】
    抗酸化活性とポリフェノール含有量の結果はともに,ニンジンでは確認されなかったが,タマネギとニンジンを合わせて得た試料では,タマネギのみよりも高くなることが確認された。抗糖化活性はいずれの試料でも確認されなかった。
  • 水田 晴野
    セッションID: 2B-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】減塩食などおいしさに満足できない食をおいしくすることは、摂食量を増加させ、低栄養を防止するうえで重要である。シジミの味噌汁はコクがありおいしいことから、シジミに多く含まれるオルニチンを減塩味噌汁に添加することにより嗜好性が高まる可能性を動物の行動実験により検討した。
    【方法】C57BL/6雄性マウスを用い、減塩味噌汁とオルニチン添加減塩味噌汁をそれぞれボトルに入れ、2ビン選択実験を行った。24時間ごとに左右のボトルを入れ換え48時間の摂取量を測定し嗜好度を求めた。水とオルニチン水溶液の2ビン選択実験も同様に行い、オルニチン単独の味の嗜好性を調べた。また、味噌汁の好ましい味を構成すると考えられる甘味、うま味、塩味のいずれにオルニチンは影響を及ぼすのかを調べるため、ショ糖、グルタミン酸ナトリウム(MSG)、食塩の混合溶液、単独溶液につきオルニチンを添加し、2ビン選択実験を行った。さらに、コクの受容体とされるカルシウム感知受容体のアンタゴニスト(NPS2143)を用い、嗜好性増強効果がコク発現によるものかを検討した。
    【結果】減塩味噌汁の2ビン選択実験において、マウスはオルニチン添加の方を有意に好んだ。水の2ビン選択実験ではオルニチン単独の嗜好性は認められなかった。甘味、うま味、塩味の混合溶液にオルニチンを添加すると、3種混合溶液とMSG単独溶液にオルニチンを添加したとき有意に嗜好性が増大し、MSGとショ糖、MSGと食塩の混合液についてもオルニチン添加により嗜好性は増大する傾向を示した。NPS2143の作用によりオルニチンの嗜好性増大効果は消失した。減塩味噌汁に添加されたオルニチンは、味細胞のコク受容体に結合することによりうま味を強め、おいしさ増強効果を生じるものと考えられる。
  • 安藤 真美, 北尾 悟, 小幡 明雄
    セッションID: 2B-6
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】生醤油は、火入れ(加熱処理)を行っていないため、鮮やかな色やおだやかな香りが特徴である。また、酵素類が失活していないため、食材に対してプロテアーゼ作用などを活用することも期待できる。昨年度までの研究において、生醤油に牛肉を浸漬後、調理したものは、通常の醤油を用いた牛肉に比べ軟らかくなることを明らかにした1。本研究では、醤油を用いた未加熱調理として“まぐろの漬け”をとりあげ、生醤油の調理特性を明らかにすることを目的とした。
    【方法】キッコーマン製濃口生醤油(試験区)または濃口醤油(対照区)を用いて、醤油:みりん=1:1(v/v)に調製した調味液に、4℃、10・35・60分間浸漬処理したキハダマグロ(静岡県産:解凍)を試料とした。分析項目は、色調(測色色差計)、破断強度と摩擦特性解析(レオメーター)、たんぱく質組成(SDS-PAGE)、元素分析(元素分析装置付き走査型電子顕微鏡)および官能検査(評点法)である。
    【結果と考察】色調は、試験区のまぐろの方が浸漬10分までは食材の色を活かして明るく鮮やかな色合いとなった。破断強度解析では、破断エネルギーは浸漬35分で試験区が有意に低い値を示し、弾性率の値も同様の傾向となったが、浸漬60分になると有意差がなくなった。摩擦特性解析の結果は、浸漬35分以降で対照区の初期および平均摩擦荷重の抵抗値が有意に低くなり、表面にぬめりが生じたことがうかがわれた。これら物性測定結果は、たんぱく質組成や元素分析から、生醤油に含まれる酵素によるまぐろの表面のたんぱく質が分解されたことに起因するものと考えられた。さらに官能検査における外観の良さやぬめり感の結果も同様の結果であった。また、味の良さ、総合評価でも試験区が有意に好まれた。
    1)2015, 2016年度日本調理科学会
  • -減塩調理の慣れに必要な期間について-
    菊池 節子, 善方 美千子, 坂野 史明, 藤本 健四郎, 小幡 明雄
    セッションID: 2B-7
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】食塩嗜好には慣れの現象がみられるとの報告があることから、我々は大学生およびケア・ハウス入居者において、濃口醤油の半分の食塩含量である減塩醤油を継続使用することにより、低塩に対する慣れの現象がみられることを確認し、本学会で発表した1)。今回、減塩調理の慣れに必要な期間を調べることを目的に、継続使用期間を1週間に短縮して減塩醤油の使用による塩味の慣れに関する検討を行った。
    【方法】対象者はケア・ハウスに入居している高齢者42名(平均84.2±6.5歳)、女子大学生28名(平均20.1±1.3歳)で、以下の試験をお願いした。(1)官能評価(減塩生活前):濃口醤油(食塩濃度約16.0%(W/V))、減塩醤油(食塩濃度約7.8%(W/V))で「マグロ刺身」の嗜好試験。(2)減塩生活(7日間):調理に使用する醤油をすべて減塩醤油で生活。(3) 官能評価(減塩生活後):(1)と同様の試験。(4)献立からの醤油使用量の計算。
    【結果】(1)高齢者における官能評価において、減塩生活前後でマグロ刺身の嗜好性に有意な差はみられなかった。(2)女子大学生における官能評価においても高齢者と同様の結果であった。(3)施設の給食における1日あたりの平均醤油使用量は、減塩生活前は濃口醤油12.7g、淡口醤油1.8g、減塩生活中は減塩醤油13.0gであった。醤油を減塩醤油に置き換えて調理した結果、醤油からの食塩摂取量は、減塩生活前に比べ1.1g/日減少していた。これらの結果から、減塩醤油を用いた減塩調理に対する慣れが見られるまでには、最低でも2週間の継続使用が必要であることがわかった。1)日本調理科学会平成27、28年度大会
  • 杉浦 文香, 三ッ石 純子, 岡田 公一, 上野 友哉, 松田 秀喜
    セッションID: 2B-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高温加熱した食品に広く検出されるアクリルアミド(AA)は、主に還元糖とアスパラギンを120℃以上で加熱することで生じ、長期摂取による発がん性のリスクが懸念されている1)。我々は前報にて、糖化最終生成物(advanced glycation endproducts:AGEs)の一種であるNε-(carboxymethyl)lysine(CML)について、だし添加により調理中の生成が抑制されることを報告しており2)、同じく糖化反応により生じるAAに対しても生成抑制効果が期待された。本研究では、鰹節だしが調理中のAA生成に与える影響を明らかにすることを目的とした。
    【方法】鰹荒節を熱水抽出したものを鰹節だしとして試験サンプルに用いた。高温調理を模したモデルとして、グルコース、アスパラギンおよび鰹節だしを含む反応溶液をガラス繊維濾紙に塗布し、180℃で5分間オーブン加熱した試料を調製し、 AAを定量した。鰹節だしの代わりに水を用いたコントロール試料のAA生成量と比較し、鰹節だし添加時のAA生成抑制率を求めた。また、調理試験として、AAを高濃度に含む食品として知られるポテトスナックおよびビスケットの生地に鰹節だしを添加して焼成した試料を調製し、試料中のAAを定量した。AAの定量にはLC-MSおよびGC-MSを用いた。
    【結果】ガラス繊維濾紙モデルにおいて、鰹節だしを添加することによりAA生成が抑制された。また、調理試験においても、ポテトスナック、ビスケットともに鰹節だしの添加によりAA生成が抑制された。
    1)農林水産省 食品中のアクリルアミドを低減するための指針 第1版 
    2)日本調理科学会平成26年度大会研究発表要旨集 p.42
  • 大石 紗佑里, 若見 俊介, 加藤 史朋, 青山 忍, 濱千代 善規
    セッションID: 2B-9
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】マヨネーズを肉(冷しゃぶ)の下ごしらえに使用することで、食感及び食味を改善する効果があることはすでに報告した。今回は、調理によって硬くパサつきやすい鶏ムネ肉を、マヨネーズでもみ込んだ場合の食感(やわらかさ)及び食味改良効果を明らかにすることを目的とし、検証を行った。

    【方法】鶏ムネ肉にマヨネーズを加えてもみ込み、一定時間放置した後、家庭用オーブンで焼成した。対照品は、マヨネーズの代わりに、マヨネーズに含まれるのと同じ量の食塩を加えた。評価は「硬さ」、「ジューシー感」、「しっとり感」、「おいしさ」の四項目に関する官能試験(一対比較試験)で行った。更に「硬さ」については、機器測定も行った。

    【結果】官能試験において、試験品は対照品と比べ、やわらかい、ジューシー、しっとり、おいしいという結果が得られた(有意差あり)。また、機器測定における結果もこれを裏付けるものとなった。
    以上より、鶏ムネ肉にマヨネーズを加えてもみ込むことで、鶏ムネ肉の食感及び食味が改良されることが明らかとなった。
  • 福田 翼, 内山 晃一, 辰野 竜平, 古下 学, 前田 俊道
    セッションID: 2C-1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】さつま砂糖漬け鯛は、江戸時代の料理集「鯛百珍料理秘密箱」(1785年)に記載されている薩摩地方の保存食である。さつま砂糖漬け鯛は、三年味噌への漬け込みと味噌漬けした鯛の砂糖への漬け込みの二段階により製造される。さらに、文中には「風を通さなければ長期保存が可能である」と記され、発酵が寄与しているものと推測される。日本における伝統食品の場合、炭素源として米や麦などを用いるが、砂糖を利用する例はない。本発表では、味噌の種類がさつま砂糖漬け鯛の保存性や風味に及ぼす影響を調査した。
    【方法】さつま砂糖漬け鯛は、「鯛百珍料理秘密箱」を参考にして製造した。すなわち、まず、三枚におろしたマダイに魚肉重量に対して5%の食塩を添加し、4°Cで一昼夜干した。干した魚肉を1 cm程度に切断した後、滅菌ガーゼに包み、味噌に漬け込んだ(4°C、48時間)。味噌は、三年味噌、オートクレーブ処理(110°C・20分)三年味噌、現代の味噌製造法である速醸系味噌を用いた。味噌漬けにした魚肉を滅菌ガラス容器に入れ、魚肉重量に対して20%の砂糖を添加し、容器を密封後、20°Cで3ヶ月目まで発酵させた。
    【結果】発酵期間中の一般生菌数は、三年味噌および速醸系味噌では初発菌数である103~104 CFU/g程度で推移していた。一方、オートクレーブ処理三年味噌および味噌無添加の場合、発酵1ヶ月目には107 CFU/gまで達していた。発酵期間中のpHは、味噌の種類による差はなかった。有機酸を分析した結果、全ての試料において主要成分は乳酸であった。発酵期間中の魚肉の硬さは、三年味噌および速醸系味噌はオートクレーブ処理味噌および味噌無添加よりも増した。発酵2ヶ月目の試料を用いて官能評価を行った結果、三年味噌および速醸系味噌の方がオートクレーブ処理味噌や味噌無添加の場合よりも嗜好性評価が高かった。
  • 在来作物の抗酸化能評価
    豊泉 友康, 大場 聖司, 神谷 径明, 石川(高野) 祐子
    セッションID: 2C-2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】山間地域に位置する静岡県浜松市天竜区水窪町では,地域独特の在来作物が現在も栽培され,年中行事食や伝統食として活用されている.これらは食文化として定着している作物ではあるが,健康増進に寄与する機能性に関する報告はない.そこで,本研究では,抗酸化能を指標に上記の在来作物の機能性を評価した.
    【方法】2016年に水窪町で収穫された在来作物6種類(地域での名称:ナンバン(在来系トウガラシ),トウゴロアズキ,キビ,水窪ジャガタ,赤ジャガタおよび早生ジャガタ(在来系ジャガイモ))を供試した. ナンバン,トウゴロアズキおよびキビは,自然乾燥されたものを,3種類のジャガタは凍結乾燥したものを,ミキサーで粉砕処理し,分析試料とした.各試料は,酢酸酸性含水メタノール(メタノール:酢酸:水=90:0.5:9.5)抽出し,親水性酸素ラジカル吸収能(H-ORAC)法およびFolin-Denis比色法を用いて,H-ORAC値および総ポリフェノール(総PP)含量を測定した.
    【結果および考察】H-ORAC値(μmol TE(Trolox当量)/100 g乾燥重量)は,高い順にトウゴロアズキ:4743,ナンバン:3652,赤ジャガタ:2385,早生ジャガタ:2199,水窪ジャガタ:1390,キビ:1086であった.一方,総PP含量(mg(クロロゲン当量)/100 g乾燥重量)は,水窪ジャガタ:530,赤ジャガタ:475,早生ジャガタ:467,トウゴロアズキ:370,ナンバン:141,キビ:88であった.以上より,ナンバンおよびトウゴロアズキは,総PP含量に比べ,高いH-ORAC値を示すことが明らかとなった.またトウゴロアズキには,抗酸化能の高いアントシアニン類が多いと推察されるため,これによる関与と考えている.
  • 古本 美栄, 大河原 悦子, 小田中 南弓, 海老澤 隆史, 塩谷 敏明, 中島 肇
    セッションID: 2C-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】性学もちは、江戸時代の農業指導者・大原幽学が現千葉県香取・海匝地域の貧しい農民のために導入した、米粉を使わず、粒状の粳米を使用して製造する餅様食品である。性学もちは「飲み込みやすい」、「煮込み料理で崩れにくい」という特性から、現代の食品として見直されている。我々は、昨年の本学会で、性学もちは餅よりも、「飲み込み易さ」、「凝集性の低さ」が、優れていることを報告した。今回は、性学もちの水分含量と測定温度が物性に与える影響を明らかにすることを目的とした。
    【方法】TA XT Plus(TA社)付属のペルチェ式調温チャンバーを用い60、40、25℃にチャンバー内を保持して物性測定を行った。テクスチャー解析は5mmのステンレス製プランジャーを用い、80%圧縮率で測定した。幽学が伝えた調製法(幽学法)と、蒸し工程時の振り水を行うことで幽学法より水分含量が高い性学もちの二種類を調製した(振り水法)。対照として餅米を用いて調製した餅(自家製餅)を用いた。
    【結果】幽学法性学もち(水分含量50.8%)を25℃でテクスチャー解析を行ったところ、自家製餅(水分含量 39.4%)・振り水法性学もち(水分含量56.7%)のどちらよりも付着性が高く、凝集性は低かった。一方、でんぷんの老化が抑制される60℃で物性を測定したところ、25℃での各物性値に比べ大きく変化した。さらに、幽学法と振り水法で調製した性学もちを比較したところ、水分含量が増えると、測定温度に関わらず、付着性は低くなり、凝集性は高くなった。水分含量と測定温度によってテクスチャーが変化することから、性学もちの物理特性の解析には水分量と測定条件を適切に管理する必要があることが示唆された。
  • 三田村 理恵子, 宮田 信吾, 牛尼 翔太, 今村 美穂
    セッションID: 2C-4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】地域において良く使用されるしょうゆと郷土料理に相性があるか、あるとするとどのくらいの年齢からかを調べることを目的として、調査を行った。
    【方法】各地域のしょうゆは、昆布由来のうまみを特徴とした昆布しょうゆ(北海道A)、塩味がやや強めの本醸造しょうゆ(関東A)、甘みの強いうまくちしょうゆ(九州A)の3種類を使用した。被験者は全て女性で、5歳以上の幼児42名、小学生52名、中学生52名、大学生50名、大学生以外で20歳以上の成人48名、60歳以上の高齢者45名の計289名とした。北海道の郷土料理として市販の「いももち」を使用した。3種類のしょうゆは同容積として調味料を加え食品用パウチに入れて加熱し「いももち」のタレを作成した。また、全国共通の料理としてとうふを使用した。サンプルの評価は、香り、色、味等について行い、サンプルの提供順序は被験者間でランダム化した。得られたデータは、数値尺度を用いて解析した。なお、本研究は藤女子大学倫理審査委員会の承諾を得て行った。
    【結果】「いももち」の調査より大学生、成人、高齢者では、しょうゆの種類による嗜好の違いが認められた。大学生では、北海道Aと九州Aを使用した「いももち」が好まれた。成人と高齢者では、北海道Aが最も好まれた。一方、とうふの調査では、中学生以上でしょうゆの種類による嗜好の違いが認められ、好まれるしょうゆに北海道Aが含まれていた。以上の結果より、北海道では、しょうゆと郷土料理には相性があり、その地域で良く使用されているしょうゆで作った「いももち」が好まれることが示された。
  • 武田 珠美, 木本 いつか, 大友 裕絵, 牛尼 翔太, 今村 美穂
    セッションID: 2C-5
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】北海道、関東および九州の郷土料理に3地域のしょうゆを使って、しょうゆが郷土料理の嗜好性および食後の印象に影響をもたらすかを調べた。しょうゆと郷土料理に相性があるか、あるとすればどれくらいの年齢からかを明らかにすることを目的とした。
    【方法】試料は郷土料理を熊本の「だご汁」、3地域共通の料理を冷奴とした。しょうゆは3地域でよく使用されている、北海道(A・B)、関東(A・B)、九州(A・B)を用い、大学生は全6種、他の年代は北海道A、関東A、九州A・Bで試験した。パネルは、熊本在住の幼児、小学生、中学生、大学生、成人および高齢者の女性50名程度とした。官能評価は香り、色、味の嗜好性、食べた後の印象(普段の味か、ほっとするか、懐かしいか等)について9段階あるいは7段階評点法によった。検定はWilcoxonの符号順位検定(p<0.05)によった。選抜パネルによる分析型評価も行った。
    【結果】だご汁の香り、色はいずれの年代にも有意に好まれた。だご汁の味は北海道Aのみ中学生と大学生が有意に好まなかった。「普段の味」と違うと、幼児は関東A・九州A、小学生と成人は九州B以外、中学生は北海道A・九州A、大学生は北海道A・関東A・九州ABを評価した。中学生は九州Bを、高齢者は関東Aを「ほっとする」と評価した。また高齢者が九州Bを「懐かしい」とし、大学生は北海道Aと九州Aを「懐かしい」に当てはまらないとした。冷奴はだご汁よりしょうゆの嗜好がみられた。中学生から郷土のしょうゆへの嗜好が現れる傾向であり、高齢になるほど郷土のしょうゆに嗜好が限定されなくなる傾向がみられた。中学生、大学生において郷土料理としょうゆの相性がいくらか認められた。
  • 今井 悦子, 小林 久子, 牛尼 翔太, 今村 美穂
    セッションID: 2C-6
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】和食において重要な調味料であるしょうゆは、各地で独自なものが使われている。各地のしょうゆとその地の郷土料理の間に相性があるのか、相性があればどのくらいの年齢からかを官能評価を用いて明らかにすることを目的とし、本研究では関東在住者について検討を行った。
    【方法】パネルは幼児、小学生、中学生、大学生、成人、高齢者のいずれも女性(各50~80名)とした。試料は関東風大根の煮物および冷奴とした。しょうゆは、北海道、関東、九州で各地域それぞれ多く使用されているものを、中学生~高齢者は3地域の各2種類(A、B)、小学生以下は3地域の各1種類(Aのみ)用いた。官能評価は、嗜好(香り、色、味)および試食後の印象(普段の味、ほっとする味、懐かしい味)について、9段階および7段階評点法で行った。各年代、各しょうゆ、嗜好および印象の結果の解析はWilcoxonの符号順位検定を用いて行った。
    【結果および考察】大根の煮物では、香り、色、味はほぼどの年代でも有意に好まれたが、その程度は北海道A、Bと関東Bがやや低く、関東Aと九州Bがやや高い傾向があった。試食後の印象は、ほぼ全年代・項目で、北海道A、Bは有意に「当てはまらない」、九州Bは有意に「当てはまる」と評価された。総合的には、大根の煮物では九州のしょうゆのほうが相性が良いと考えられた。冷奴も香り、色、味はどの年代でも有意に好まれ、その程度は香りでは関東Aと九州Bがやや高く、味では北海道A、Bと九州Bがやや高い傾向があった。試食後の印象では、北海道Aと九州Aは有意に「当てはまらない」の評価が多い傾向にあった。冷奴でも関東のしょうゆが他しょうゆよりも特に相性がよいとは言えなかった。
  • 軽度認知症高齢者を対象とした取り組み
    湯川 夏子, 前田 佐江子, 明神 千穂, 平川 美奈子, 寺田 弘美, 村山 由美, 久保 陽子
    セッションID: 2C-7
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】料理活動は対象者の認知症の行動・心理症状(BPSD)の緩和や生活の質(QOL)の向上など様々な療法的効果が期待できる。我々はこれを「料理療法」として提唱し、実践的研究を行ってきた1)
    本研究の目的は、高齢者にとって懐かしい「粉もん」(小麦粉)メニューを開発し、効果を検証することである。今回は軽度認知障害(MCI)および軽度の認知症高齢者を対象とした実践結果を報告する。
    【方法】2016年年7月~12月、有料老人ホーム一般居室入居者を対象に「おやつの会」を月1回、合計6回実施した。参加者は1回7-9名、スタッフは3-5名であった。各回約2週間前に参加者3名スタッフ2名で試作した。介入前後に認知症程度をCDRと「物忘れ相談プログラム」、QOL評価を高齢者用多元観察尺度(MOSES)およびPGCモラールスケールにて評価した。スタッフにより各回の全体評価(支援方法等)に加え観察調査を行った。京都教育大学研究倫理委員会の承認を受け実施した。
    【結果】事前の聞き取りより、洋菓子を取り上げ、試作時の参加者からの提案を加味したレシピを作成した。初回は準備や支援方法に関して全体評価が低かったが2回目以降高評価であった。参加者への効果では、継続参加した7名中5名に認知症程度の改善がみられた。特に試作も含め全回参加した1名はMCIから健康な状態に回復し、MOSESによるQOLの向上、スタッフや参加者とのコミュニケーションの増加、表情の変化がみられた。他4名はMOSESや観察評価が向上し、他のアクティビティへの参加も増加した。また自室における料理回数が増加した参加者もいるなど日常生活の質の向上にも効果が見られた。
    1) 湯川, 前田, 明神:認知症ケアと予防に役立つ料理療法, クリエイツかもがわ (2014).
  • 佐藤 陽子, 田渕 弘子, 中田 玲子, 五十嵐 美智恵, 植木 千恵子, 萱野 静香, 石山 晃子, 鈴木 香里, 大炊 三枝子, 白澤 ...
    セッションID: 2C-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】
    「地産地消」と地方創生の一環として「我孫子市の農力発見プロジェクト」と題し,地元の野菜を用いた料理教室は二年目を迎えた。今回は4回開催し,季節野菜の魅力を生かした献立を和,洋,中華にし,選食形式で行った。アンケート調査により,参加者の料理教室後の地元野菜に対する意欲などから食生活に及ぼす影響を調べた。
    【方法】
    1. 我孫子市の年間の生産野菜を生かし,6~8回目の料理教室を計画した。6回目は10月に「我孫子の新米と秋採れ野菜でつくる旬の味」,7回目は12月に「クリスマス音楽美食と一緒においしく学ぶ」,8回目は翌年2月に「我孫子の野菜と点心の出会い」というテーマを設定した。役所から地元の市民に毎回約40~70名の応募をかけ,料理教室を開催した。
    2. 毎回,季節野菜の献立の情報を事前に広報にて知らせた。
    3. 食事後に食生活とのかかわりなどの座学を行い,最後にアンケート調査を行った。
    【結果】
    参加者の半数以上は女性で,60代と70代が多かった。6回目は丼ぶりのごぼうのだし汁炊き鶏ごぼう丼,7回目は前菜の里芋コロッケ,8回目は塩味点心の中華粥の評価が5段階で一番高かった。評価の高かった理由として,『美味しかった・好みだった』が85%以上であった。また,『自宅で作りたい』との回答が90%以上であり,その理由として『また食べたい』『家族たちにも食べさせたい』との回答が6割以上であった。前年の1~4回目の調理実習よりも選食形式を希望する者が多かった。
    【まとめ】
    地域食材を使用した選食形式の料理教室を開催すると地域食材への認識が深まり,自宅での調理に積極的に地域食材を利用する傾向が認められた。地産地消を推進するには地域食材を使用する料理講座は有効と考えられた。
  • 河村 美穂
    セッションID: 2C-9
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/31
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    【目的】 世界的に食教育の必要性が認知され、必修科目としてあらたに食に関する科目を設定する国も出現している。そこで近年注目を集めているのがFood Literacyという食生活を円滑に営むために身に付けておくべき能力を示す概念である。世界のあらゆる地域において議論され始めているが、消費者としての視点も含めた、日常の食生活に関わる能力とするものなど多様な定義があり,Food Literacyにおける調理(Cooking)の位置づけは様々である。そこで、これらFood Literacyはどのような概念で定義されうるのかを検討し、さらにFood Literacyにおいて調理がどのように位置づけられているのかを概観することを本研究の目的とする。Food Literacyにおける調理の位置づけを明らかにすることによって、私たちが日常の食生活を営む上で身につけるべき食に関する能力を再考することができると考えられる。
    【方法】 Springer Link およびEBOSCOhost を用いて入手可能となった文献(主に2010年以降のもの)を対象として、Food Literacyの定義を抽出し、さらにその中に調理がどのように位置づけられているのかを検討した。
    【結果と考察】Food Literacyの概念は、地球に生きる生活人として理解しておくべき持続可能な社会を目指す立場のものから、個別具体的な食に関する能力を示したものまである。さらに調理そのものがFood Literacy の中で明確に位置づけられることは必ずしも多くなく、Food SkillをFood Literacyの主要な要素とすることが多い。ただし、Food Skillの中のCooking Skillの位置づけや調理の知識と技能の関係は十分に説明されていない。このことはFood Literacyにおいてのみならず日本の調理学習においても問題とされる点である。
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