日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-4
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ポスター発表
大麦粉パンの性状に及ぼす加水量及び各種増粘多糖類添加の影響
小林 理恵*小更 かおる*原 沙友子橋詰 奈々世榎本 俊樹
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抄録
【目的】大麦は食物繊維を多く含み、特にβ-グルカンは優れた健康機能性を有する。我々は健康増進に寄与する大麦粉パンの創製を目指し、その調製条件を検討している。本研究では、大麦粉パンの膨化性を向上させる適性加水率を見出すとともに、米粉パン製造において有効とされる各種増粘多糖類を大麦粉パン調製に応用し、これらの添加がその性状に及ぼす影響を検証した。
【方法】小麦粉パン(対照)及び増粘多糖類無添加大麦粉パン(基準)は前報に準じて調製した。増粘多糖類添加大麦粉パンは、予備実験を踏まえ、グアガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースをそれぞれ1%添加し調製した。各大麦粉パン生地の加水量は、小麦粉パン生地と同程度の硬さになる換水量130~150%とした。30℃で3時間発酵させた各パン生地内のガス量は、ファーモグラフにより測定した。各パン生地はセルクル型に入れ、35℃で90分発酵後、190℃のオーブンで15分焼成した。各焼成パンの比容積及びすだち形状から膨化性を評価し、破断強度測定により物性を比較した。
【結果】大麦粉パンの比容積が最大となる加水率は、いずれの試料においても140%であり、これを適正加水率と判断した。この加水率においては、全ての大麦粉パンの破断エネルギー値が最も低く、柔らかい性状となった。各測定において、増粘多糖類添加の有無、またその種類による有意な差は認められなかったが、ローカストビーンガム添加大麦粉パンのすだち形状は他試料と比較して大きく、小麦粉パンのそれに類似していた。各大麦粉パンの試食時の食感から増粘多糖類の種類による相違が感じられたため、今後は官能評価を加えそれぞれの効果を追究する。
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