日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-13
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ポスター発表
未利用魚を使ったすり身加工品の検討
-「フィッシュカツ」への活用-
植田 和美
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抄録

【目的】徳島県は豊かな自然環境と豊富な水産資源に恵まれた地域であり、鳴門ダイ、シラス、ハモなどの水産物が有名であるとともに練り製品をはじめとした水産加工品の製造も行われてきた。近年、徳島のローカルフードとして「フィッシュカツ」が注目されているが、徳島県で漁獲された魚種の利用は少ないと考えられる。また、未利用魚の活用が全国で進められているが、これまで徳島県内(鞆浦漁業協同組合)で漁獲される未利用魚の活用に取り組んできた。本研究では、地元でほとんど流通・消費されないシイラを用いて、「フィッシュカツ」への活用を検討した。
【方法】徳島市および板野郡内で購入した市販「フィッシュカツ」6種類を試料として、品質表示、性状測定(大きさ、重さ、厚さ、色、水分含量など)、物性測定(破断強度試験)から、「フィッシュカツ」の特徴を明らかにした。さらに、シイラを用いた「フィッシュカツ」を調製し、性状・物性測定や官能評価からシイラ活用の適性を検討した。
【結果】市販「フィッシュカツ」は、表示や測定結果から各製造者が特徴のある製品を製造・販売していることがうかがえた。使用魚種が原材料に記載されていたのは3試料であり、スケトウダラ、タチウオ、エソ、グチの利用が確認できた。徳島県で漁獲される魚種の中では、タチウオが利用されていると推察された。原材料の中では、カレー粉と唐辛子が全試料に共通して用いられており、「フィッシュカツ」の特徴となっていた。また、シイラを用いた「フィッシュカツ」と市販品との比較において、食感に差異が認められた。しかし、大型魚であり大きな身を確保できるシイラの「フィッシュカツ」への活用は、未利用資源の有効利用につながると期待できる。

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