日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1D-4
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口頭発表
パウンドケーキの嗜好性
桑野 恵理子*中條 祥子*佐藤 幸子
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抄録

【目的】フランスの伝統的なお菓子であるパウンドケーキは、バターを主材料とした焼き菓子である。しかし、現在、安価なパウンドケーキはバターを使用せず植物油を使用した商品も多く見かける。そこで本研究では、バターおよび植物油を使用したパウンドケーキを調製し、機器分析として破断特性、GC/MSおよびGC/Oによる香気成分を検証し、その特徴を検討した。さらに調製したパウンドケーキについて官能評価を行い、パウンドケーキの嗜好特性について考察した。
【方法】試料調製は、油脂と砂糖を混ぜたあとに、卵、薄力粉を加える「シュガーバッター法」を採用した。試料は、バターを使用したパウンドケーキ(以下A)を基準とし、油脂としてバターと同量の植物油100gを使用した試料(以下B)の2種について機器分析を行った。さらに試料は、高さ、表面および断面の焼き色、水分含有率を測定した。また官能評価は30名を対象とし、試料はAおよびBの他に植物油の分量を60gとした試料(以下C)の3種類を調製し、嗜好型5段階尺度による評点法で行った。
【結果】機器分析の結果、破断強度は、試料Aよりも試料Bの破断応力が高く硬かった。パウンドケーキの調理香気は、試料Aで確認されたが試料Bでは確認できず、バターを使用することで香りを感じることがわかった。水分含有率、焼き色の明度は、試料Aが高かった。官能評価の結果、「香りの良さ」および「香りを感じる」において試料Aと試料Cに5%危険率で有意差が認められ、「総合評価」において試料Aが最も高評価であった。以上のことから、パウンドケーキの嗜好特性はバターを使用した方が嗜好性が高く、その硬さや風味が嗜好性に影響をもたらすことがわかった。

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