日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-43
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ポスター発表
販売形態の変化が購入状況に及ぼす影響
-豆腐と牛乳の購入量・購入単価に関する50年の変遷-
高橋 洋子
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抄録

【目的】地域で製造・販売されていた豆腐が,過去50年ほどの間に製販分離・広域流通化していった様子を検証し,日本家政学会大会(2014年)および日本調理科学会大会(2014・2015・2016年)で報告した。本報では,豆腐と同様に販売形態が大きく変化した牛乳にも着目し,豆腐と牛乳について購入量・購入単価の変遷を属性別に比較し,購入形態の変化との関連について考察した。
【方法】1965年から2015年までの5年毎に11時点を設定し,「家計調査年報」に掲載された各年のデータをもとに,<都市階級>(大都市・全都市・町村,1965年から11時点)・<収入階級>(五分位,1970年から10時点)・<世帯主の年齢階級>(10歳毎,1980年から8時点)の属性別に,1世帯当たりの豆腐・牛乳の購入量・購入単価の変遷を調査した。
【結果】(1) 購入単価:豆腐は1985年頃から,牛乳は1975年頃から,収入・都市階級による購入単価の差が拡大する傾向がみられた。これは,かつて近所の豆腐屋で購入されていた豆腐・最寄りの牛乳販売店から宅配されていた牛乳が,次第にスーパー等で廉価から高価まで幅広い価格帯の商品が販売されるようになり,各人のニーズに応じて選択購入されるようになった状況を反映していると推察された。(2) 購入量:豆腐は1970年頃まで,牛乳は1975年頃まで,購入量に大都市>町村の傾向がみられた。その後,豆腐は大都市<町村の傾向に転じ,牛乳は都市階級による差が拮抗していった。かつては都市部の方が購入しやすい状況であった豆腐・牛乳が,販売形態・購入方法が変化して町村部でも購入しやすくなったことも,そのような変化の一因と考えられた。

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